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お互いの宿命を乗り越え夢を掴む物語

「マリ―無事じゃったか」

「おじいちゃん!怖かったよ」

「これで依頼達成だね」

「はい、よかったです」


コウトは抱きかかえていたマリーを地面に降ろすと、泣きながら依頼主であるおじいさんの方に走っていった。


「どうしてそんな場所にいったんだ」

「ごめんなさい。猫さんと遊んでいたら知らない場所に行っちゃって」

「そうだったのか。まあ無事に戻ってきたなら、次から気をつけるんじゃぞ」

「うん!」

「猫?その話詳しく聞かせてもらえない」


二人の会話を聞いていたセリシアは二人に猫について質問した。


「黄緑色の猫さんでね三日月模様で可愛かったの」

「黄緑色、ならやっぱりあの時の」

「あの時のってマリーちゃんを助けてくれた」

「マリーちゃんお話を聞かせてくれてありがとう」


セリシアはマリーの頭をなでながらお礼に飴玉をあげた。


「報酬はギルドの方に預けておる。孫娘を助けてくれて本当にありがとう」

「お役に立てたならよかったです。それでは失礼します」

「ありがとうお姉ちゃんたちーー」


手を振りながら家に帰っていくマリーに手を振り返すとギルドの受付の方に向かった。


「マリーちゃん良いなあんなおじいちゃんがいて」

「ご主人様‥‥」

「あ、ごめんね今はセリシアがいるもんね」


悲しそうな顔をするコウトを心配そうにみるセリシアにコウトは笑ってごまかした。


「それにしてもセリシアって子供には優しく接するんだね」

「当り前ですよ。純粋な瞳をどう嫌いになれっていうんですか」

「確かに、もしかしてセリシアってかわいい物結構好きだったりする」

「それはまあ、好きですよ」


コウトが少しからかい気味に言うとセリシアは頬を赤く染めながら答えた。


「セリシアもやっぱり女の子なんだね」

「ご主人様それどういう意味ですか」

「あ、いやいつもクールだからそういうイメージ無くて」

「へーご主人様は私をどう見えてるんですかね」

「あれもしかして怒ってる」

「さーどうでしょうね」

「コウト!」


報酬を受け取って話しながら家に帰る途中にコウトは聞き覚えのある声に呼び止められた。


「お父さんどうしてここに?」

「どうしてってお前を探しに来たんじゃないか」

「僕を」


息を切らしながらコウトに近づくとセリシアの方を見た。


「君が噂の銀キツネだね、フライドから聞いているよ。私はコウトの父のコウドです」

「どうも」

「うちに帰ってこいコウトその銀キツネさんと一緒に」

「え?」


追い出しった時のコウドの表情とは真逆の笑顔にコウトは困惑した表情になった。


「どうして急に」

「どうしてもなにも家族じゃないか。家に帰らすのは当然だろ」

「ご主人様、騙されないでください!その人怪しいです」

「なに?」


コウドの言葉に揺らぎかかっていたコウトを察したのかセリシアは強い口調でいった。


「なにも怪しくはないだろ」

「いや怪しさしかありません。第一どうしてひどい追い出し方をしておいて、何の前触れもなく連れ帰るんですか」

「セリシア」

「いいですかご主人様、さっきのマリーちゃんを見て揺れ動くのはわかりますが全くの別物ですよ。同じ笑顔でもこの人の笑顔はひときは気持ち悪いです」


困惑したまま固まっているコウトに言い聞かせながらコウドの方を睨んだ。


「セリシアくんっていったかな。失礼じゃないかね初対面の人に向かって。さあコウト帰ってくるんだそのキツネと一緒に」

「僕は‥‥」

「ご主人様!」

「僕は‥‥帰らない。僕の今の家族はセリシアだ」


二人の問いかけにコウトは吹っ切れた表情でコウドの目を見ながら強くいった。


「そうか‥‥だが後悔するぞ。我が一族の恐ろしさはお前が一番わかっているはずだぞ」

「それでも僕はセリシアとともに生きていく」

「ふん、大きく出たな。そこの銀キツネがいないと何もできないくせに。聞いたぞお前は何も変わっていないそうじゃないか」

「ご主人様に近づいたのも私の力が狙いで」

「そうだよ。まったく優しくでていたらいい気になりやがって」


コウドはコウトの見慣れたごみを見るかのような目で見ながら去っていった。


「ありがとうセリシア僕を止めてくれて」

「気にしないでくださいご主人様。むしろ止まってくれてありがとうございます」


コウトたちはお互いにお礼を伝えると家に向かって歩き出した。


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