お互いの宿命を乗り越え夢を掴む物語
「朝ごはん出来ましたよご主人様」
「お!待ってました。今日のご飯は野菜炒めに、野菜スープに、野菜サラダ‥‥なんだかお肉がこいしくなるね」
「ですね、今日は昨日交渉した結果を確認したらお肉でも買いに行きましょうか」
「だね。どのくらい貰えるのかなお金」
コウトたちは緑一色のテーブルに茶色いものを想像しながら昨日の出来事を話した。
「魔物の被害から街を守ったわけですし、少なくても三千は固いんじゃないですか」
「そんなにもらえたらお肉もいっぱい買えるね」
「その時は鍋にでもしましょう、体も心も温まりますよご主人様」
「鍋か~楽しみだ。ご飯食べたら早速行こう」
「はい」
コウトとセリシアは朝食を食べ終えると、足早にギルド協会に足を運んだ。
「おはようございます。昨日魔物を倒したことでお伺いしたコウトです」
「コウト様ですね、こちらが昨日の報酬となります。お受け取りください」
「これは‥‥」
受付の女性は六千ルピを机に出すと、セリシアは驚きながらそれを受け取った。
「予想の二倍ですよご主人様!これなら当分の食費は悩まずに済みます」
「やったなセリシア、これなら豪勢な料理も作れるな」
「無駄使いはいけませんよ。でも今よりは豪華なものを作って差し上げれます」
一般的な金銭感覚がつかめていないコウトに注意をしながら、浮かれている気分を隠せないのかセリシアはしっぽを左右に振っていた。
「あの銀色の耳は、もしかして昨日大型モンスターを倒した奴らじゃないのか」
「まじかよ、近くで見ると綺麗だな」
「俺あんな娘がタイプなんだよな」
「やめとけってお前じゃ見向きもされねえよきっと。それに横にいる奴のご主人様らしいしな」
「あのひ弱そうなのが?あんな奴の何がいいんだか」
辺りを見渡すとコウトたちを噂する声が四方から聞こえていた。
「なんだか噂されてるね、セリシアのこと」
「興味ないですね」
「そうなの?まあいいや早く買い物しに行こ」
「そういたしましょ」
「君たちちょっといいかの」
コウトたちがカウンター席から立ち上がろうとしたとき一人の老人が声をかけてきた。
「僕たちに何か御用ですか?」
「昨日の活躍を観させてもらったものじゃ」
「そうなんですね」
おじいさんはコウトたちの目を見ながら深刻そうな表情で続けた。
「それでその実力を見込んで依頼をしたくてな」
「依頼ですか」
「うむ、実は昨日から娘が帰ってきていないんじゃ。探してくれんかの」
「捜索ですね。どうしますご主人様」
「僕たちでよければお受けしますよ」
「本当ですか、ありがとうございます」
「任せてください必ず見つけてみせます」
コウトが胸を叩きながら答えると、先ほどまで暗かったおじいさんの顔に元気が戻った。
「報酬は期待できませんよ」
「報酬は関係ないよ。おじいさん本当に困ってるみたいだしね」
「そういうところ本当に好きですご主人様」
コウトたちはおじいさんの行方不明の情報を聞くと別れを告げ、夕ご飯の材料を買いに肉屋に向かった。