お互いの宿命を乗り越え夢を掴む物語
「こっちの収穫は終わりました。ご主人様」
「こっちも終わったよ。いやー意外と疲れるね」
コウトたちは一夜を一緒の宿で過ごし初めてのギルド活動にいそしんでいた。
「いやー精が出るねお二人さん。夫婦で活動しとるのかね」
「そういうわけじゃないですよ。ねぇセリシア」
「夫婦ってことは‥‥お嫁さん」
「セリシア?」
同意を求めるコウトの声が届いていないのかセリシアは顔を赤らめながら妄想に浸っていた。
「今日はありがとうね。またお願いね」
「こちらこそお役に立ててよかったです。お疲れさまでした」
「お疲れ様です」
コウトたちは収穫作業を終え、手にいっぱいの野菜を抱えながら宿に向かっていた。
「いっぱい野菜分けてもらえたね」
「お任せください。私がおいしく調理しますので」
「ありがとうセリシア。僕料理したことなくて」
「それでは一緒に作ってみますか‥‥ん?」
和ましい話をしていると大きな悲鳴が聞こえてきた。
「なんだろう?騒がしいね」
「私たちが帰る方向ですよ。行ってみますかご主人様」
「そうだね、どのみち行かないといけないし」
走って騒ぎの方まで駆けつけると小さい子供が巨大なモンスターに襲われていた。
「あれは‥‥マグネ?どうしてこんなところに」
「ご主人様お知合いですか?」
「洞窟で話した弟だよ。いつもはこんなところに降りてこないのに」
「弟様。ご主人様にひどい仕打ちをしたあの」
洞窟で話したことを思い出したのかセリシアは明らかに不機嫌な顔つきになって抵抗しいるマグネを睨みつけた。
「どうにかして助けなくちゃ」
「どうにかって、助けるんですか弟様を!?」
「そりゃあ助けるよ、どんな人でも死んでいい人なんていないから」
「優しすぎますご主人様‥‥わかりました。わたしが何とかします」
「ありがとうセリシア!僕も可能な限り手伝うから」
大通りに出ると先ほどたてた作戦を実行した。
「ぐるああぁぁぁー」
「サンダーブレードだけじゃやっぱり注意を引くのが精いっぱいだよね」
「ごおおぉぉぉ」
「あとは頼んだセリシア!!」
「お任せくださいご主人様。クリスタルブリザード!!」
「ぐぎいぃぃ」
「とどめよ!」
セリシアは固まった巨大な足を内部で炎魔法で爆発させると巨大なモンスターは前のめりに倒れた。
「大丈夫マグネ?けがはない」
「ああ大丈夫‥‥てコウト!?何でここに!?」
「そりゃあ家を出たとはいえこの街を出たわけじゃないから」
「ってことはあれか、あの銀キツネもお前の」
「そう今ギルドパーティーのメンバーだよ」
マグネはコウトの手を払いのけると勢いよく立ち上がり信じられないという顔をした。
「終わりましたねご主人様。素晴らしいおとりでした」
「ご主人様ってこいつが!」
「ありがとうセリシア。おかげで助かったよ」
和やかに会話をするコウトたちに未だに現状を受け入れられないのかマグネはパニック状態になっていた。
「そういえばこういった活動って賞金貰えるのかな」
「どうでしょうか、賞金もかかっていないと思いますし。一応交渉してみましょう」
「だね、よし!ギルド協会に行って帰ってご飯にしよう。セリシアのご飯楽しみ」
「ウフフでは、腕によりをかけますねご主人様」
「くそぉ‥‥なんであいつなんかが‥‥」
マグネは幸せそうに横に並んで歩く二人を見ながら唇から血を流した。