第2話 絶望と決意
そこに居たのは【バンダースナッチ】だ。3人は恐怖で声すら出なかった。
「だから逃げろと言ったんだ...これがバンダースナッチ、シエル、お母さんを殺したやつさ。」シスは嘘だろっと思いながら呆然と立って眺めていた。バンダースナッチはシスの方に飛びかかってきた。カイはそれに気づきシスの方に走りシスを突き飛ばした。そしてカイの横腹にバンダースナッチの爪が直撃しカイの横腹は無くなっていた。そしてカイは1本の剣を抜き走り出した。そしてバンダースナッチの左目に剣を突き刺した。
「シエルやったぞお前の剣で目を潰してやったよ。お前らは今のうちに逃げろ!」とカイは満足気に呟いた。そのあとに3人に向かって怒鳴った。それでバンダースナッチは暴れ出してカイは地面に叩き落とされた。そしてバンダースナッチは振りかぶってカイの顔に目掛けて殴り始めた。
「お父さん!」シスは泣きながら叫んだ。サラとザンは逃げるしかないカイさんのために!と言いながらシスを無理やり連れて逃げた。バンダースナッチは何回も何十回も殴り続け地面に凄くでかい穴が出来ていた、まるで爆弾を何個も爆発させたかのように。そしてバンダースナッチはあと3人いた事を思い出す。そして歩き始めた。
「ここまで来れば大丈夫か...」とザンは言う。シスは泣いていた。
「いつまでも泣いている気だ?仕方ないだろ!カイさんの為にも強く生きろよ!」とザンが言った。サラも今にも泣きそうな顔で頷いていた。
「そうだよな...俺が仇をとる!」とシスは泣きやみ決意した。
「えっなんで逃げるんだよ」少女の声が響いた。声は凄く可愛らしい。3人は少女の言っていることの意味が理解できない。台詞的にも避難してきた村人とも思えない。そう3人は思いながら声のする方を唾を飲んで振り向いた。そこには小さな髪飾りのようなピンク色の角が生えていて水色のショートパンツ、白色の服で赤紫色のマントを着ていて銀髪のロングヘアで瞳は左が赤で右目が紫のオッドアイの美少女がいた。だが可愛らしいがとんでもない威圧を感じる。
「私のペットと戯れてやってくれよ。」と少女はやれやれとなりながら言った。
「ペット?バンダースナッチの事じゃないよね?」とシスが恐る恐る聞いた。
「そうに決まっているだろう?それ以外に何がいるの?」と不思議そうに聞き返してきた。
3人は思った今目の前にいるのは絶対的存在だと。そして神話の絵本のことを思った。バンダースナッチが存在しているならありえるかもしれない。魔物の最上位に君臨している魔物がいてそれは人と似た形をしているが普通の魔物とは比べ物にならない力がを持っていると記されていた。
「まぁいい私が相手をしてやろう」と少女は笑い始めた
3人で戦っても死ぬだけ。逃げようにも絶対に逃げれるような相手ではない。バンダースナッチより強いというだけでもう勝ち目がないのだから。
「俺が相手になるよ」シスは2人を守るために犠牲になることを選んだ。
「はあ?お前だけで?なんのおふざけだ?」と少女は不愉快そうな表情をしている
「なあ、親友サラを連れて逃げろよ。頼んだぞ。」と告げるとシスは少女の方へ古い剣を抜き駆けだす。少女はやれやれとしながら。手を前にだして呪文を唱えた。その瞬間小さな赤紫色の魔法の球がシスの方へ放たれた。シスはたまたま躓き球はシスの顔を横切り球に触れた髪の毛は溶けた。そして村の方へ飛んでいき。大きな爆発がおきた。轟音は響き草木は消し去り爆風はずーと離れた木々も吹っ飛ばした。ザン、サラもまだ近くにいて呆然とし恐怖から声が出なかった。ただ震えているだけだった。
「やべあいつに怒られてしまう...つい威力を上げすぎたなぁ。まぁいいこれで殺るか」と少女はやってしまったと手を頭にあてている。そして少女はナイフを取り出した。そしてひと振りするとシスの方に斬撃が放たれた。ザンが帰ってきてシスを庇いザンの胸から横腹にかけて傷ができた。
「なにしてんだよ!逃げろって言っただろ!」シスは泣きたさと怒りが混ざっている。
「あらら時間切れ。またね。次会ったら殺してあげるよ。」と少女はそう告げると一瞬で目の前から消えたのだ。
「なぁザンなんで…そんな事をしたんだよ…」シスは悲しみと怒りが混ざり合いながらザンに向けて呟いた。ザンはシスの腕の中で笑顔で
「俺の分も生きろ!そしてお前の旅の物語をまた聞かせてくれ!」と弱々しい声だか最後の力を振り絞って声をあげた。シスの顔は涙で溢れていた。そしてとうとうザンの体から力はなくなり冷たくなっていくのがわかる。シスはザンが死なない事を願い続けていたが遂にザンが死んだとシスは確信した。そしてシスは叫ぶ
「あぁ聞かせてやるよ!俺の旅を!そしてお前の仇をとったと!いつか...いつか聞かせてやる!」
シスはザンの亡骸を力強く抱き運ぶそしてサラは静かに泣きながらシスについて行く。