第1話 自分の考えの甘さ
凄く涼しい風が吹くなか木の影にに少年はいた。茶髪でごく普通の村に住む少年だ。
「今日も暇だなぁ。早く村を出て旅がしたい」
少年は独り言を呟いた。少年は旅人になって世界を探検したいと思い続けていた。だから畑の手伝いが終わると体を鍛えその休憩でいつもこの木の下でくつろいでいる。少年は鞘から欠けが何箇所かある剣を抜きその剣を眺めていた。
「シスこっちに来い」黒髪の男性が呼んだ。少年はシスと言う名なのだ。
「お父さん今行く」
家は木造でごく普通の家だ。シスはドアを開けて中に入る。そして椅子に腰を掛けた。
「やっぱり旅人にはなるな危険すぎる。俺はお前も失いたくないんだ」
昔父は元は旅人だった。そして母と一緒に旅をしていた。そしてある日紫の鱗で腕には凄く長く赤い棘のようなものが数本あり、背中には赤紫の翼のようなものが4本生えており、尻尾が生えていて牙は凄く鋭く口から紫色の煙が出ている禍禍しい魔物がいた。父と母は手練の旅人で魔物退治も慣れていた。だがここまで大きく恐ろしい魔物を見たのは初めてだ。2人は震えが止まらず今すぐこの場から逃げだしたいと思いはじめた。
「カイどうしよう」シスの父の名はカイなのだ。シスの母シエルは震えた声で言う。
カイはふと思い出した。昔絵本で見たことがある魔物だと。名は【バンダースナッチ】
『どうやって逃げる... 』カイは考えていると。魔物が振り返った。
「もう戦うしかない!」カイは焦りながら言った。シエルは無言で頷き2人は剣を構えた。
シエルは魔法を唱え。カイは地面を蹴り凄い勢いで突進して剣を振りかぶった瞬間シエルの視界には血が飛び散るのが見えた。カイの左腕は宙を舞っていたのだ。カイは気を失った様だ。そしてシエルはバンダースナッチの方を視線を戻すとその姿はなくシエルの背後に大きな影があることに気づいた。シエルは振り向くとバンダースナッチが手を振りかぶっていた。そしてシエルの腹に直撃、腸がえぐれて倒れ込んだ。
カイは目が覚めると雨が降っており隣で無残な姿のシエルが倒れていた
「シエル!!」とカイは今にも泣きそうな顔でシエルを右手で抱きしめた。シエルは目を弱々しくあけカイの頬に手のひらを付けてこう言った
「カイそんな顔しないで...ぁあ。あの子を置いて来て正解だったわね。カイあの子のことは頼んだわよ...シスをお願いね」そう言ってシエルは力が抜けてシエルの体が動かなくなり冷たい。こうしてシエルは完全に死んだ。カイは泣き叫んだ。それから王国に行き仲間にこう伝えた。
「俺は旅人を辞める」カイはそう言うと仲間の返答を待たずに帰って行きシスを連れて小さな村に住み始めた。
「お父さんがお母さんを守れなかっただけじゃないか!それで俺も失いたくないんだって?自分の都合を押し付けるなよ。俺はお父さんみたいに弱くない!」そうシスは怒鳴った。そして家を出ていった。いつもの木の場所に行った。そしてシスは少し言い過ぎたと後悔し始めた。そして泣けてきた。
「シスどうしたの?そんなに泣いて」と金髪のロングヘアで黄緑色の綺麗な瞳をした美少女が顔を覗き混んできた。彼女はサラ。この村で1番の美少女だ。そして幼馴染の1人。
そしてサラの後から黒髪の少年が来た。
「何泣いてんだよ」と笑いながら少年は言った「泣いてねぇよ。ザンお前覚えておけよ!」の目をこすり返答する、ザンはシスの親友で幼馴染だ。そんな会話をしていると
「村から煙が...」と言ってサラは唖然としていた。
「早く行くぞ」とシスが言うと2人はうんと頷いたそして3人は全力で走った
「ゴブリンの群れの奇襲か?」とシスは言うとザンは言った
「ゴブリンくらいならお前のお父さんもいるし大人達で対策出来るはず」サラはならどうしてと言いたげにこちらを見ながら走っている。
「もっと強大な魔物が攻めてきたんだよ多分」とザンが言った。村に着く家は焼け炎がメラメラとしている。そして無残な村人の死体がそこらじゅうにある。
「お父さん!お父さんを探さないと!」シスは焦りながら言った
「冷静になれこれはもう無理だ逃げるぞ」とザンは言うとサラもそうだよと言った
それでもシスは探したくて走り出した。ザンとサラも仕方なさそうに追いかける。
「ほら居たじゃないか。お父さん!」と叫んだ。カイは振り返らず言った
「何をしている!今すぐ逃げろ!」とカイは叫んだでも3人からはもの凄く大きい炎でカイが何を見てそう言っているのかが分からなかった。
「お父さ...」お父さんそこに何がいるの?と尋ねようとした途端物凄い轟音と共に瓦礫が飛び目の前の大きな炎が消え物凄い風圧で3人は立っていられなかった。そしてこの村を荒らしていた元凶が現れた。そこに居たのは【バンダースナッチ】だ。3人は恐怖で声すら出なかった。