今度こそ本題
すぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ…………
イケダメは、思いっきり息を吸いこみ手を広げ、天を見上げながらこう言った。
「ぶっちゃけ!!! 後半年の命なんですよぉぉぉぉぉぉぉ!!!!! ははははははははははははははははは!!!!!! 」
!?!?!?!?!?!?!?!?!?
!!!!!!!!!???????????
?????!?!!?!?!?
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
────────。
────────。
気付いたら、力のあらん限り拳を伊月先生の左頬にぶち当てた後だった。
イケダメは、身体をプルプルさせながら起きあがり、そのまま俺に向かって、
「こ、これが黄金の右か…… な、ナイスライトハンっ! 」
とグッジョブを送って来やがった。
こいつ、まだふざける余裕があるのか。
その後、このクソ医者がゆっくり起き上がり、小声で「ふざけてごめんなさい…… です…… 」とボソッと言いやがったので、すかさずもう一発腹にグーパンを入れる。
エンジェリックシノちゃんが、手際よく無言ですっとヤツを抑え込んでくれていたのスムーズに事を運ぶ事が出来た。
本当になんなんだよ。こいつは。
生まれて初めてされた余命宣告は、想像の斜め上どころじゃない極めて異質なものだった。
ありえなさすぎる余命宣告をされ、怒りとか憎しみよりも、この「伊月」とかいう生物そのものに対する疑問しか頭の中に湧いてこない。
2発殴ったからかなんなのか、余命の事はもうどうでもよくなってしまっている自分に気づく。
さっきまでの。いや、通知をもらってからの俺の緊張感を返してくれ。
殴った事への謝罪もせず、椅子にドスっと座ってイケダメに尋ねる。
「で、俺の病気ってなに? 半年しか生きられないって? 別に身体が痛いとか苦しいとかそういうの全くないんだけど? 」
「はっきりいってくんない? 新種のガン? 俺の身体になにが起きてるわけ? 冗談だったらマジで訴えるからな? 」
医者に対し、いや初対面に対して相当無礼な聞き方だが、あんなふざけた事をされれば、誰だってまともな精神状態で話が出来る余裕があるわけがない。
ダメワカメやろーは、また真面目な声で勝手に話し始めた。
「んんんっ。そ、それでは落ち着いたようなので、松田さんの症状について詳しくご説明させていただきます」
いや落ち着いてね-よ! 余計に混乱してるよ! と思いながらも、こいつが真面目でいられる時間が1分もないだろうから、とりあえず黙って話を聞く事にする。