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嘘のウソは「嘘」。  作者: しゅしゅしゅ
序章 10月の半ばに、死の宣告された。
2/10

とりあえず病院へGO

10月20日。土曜日。晴天なり。


指定された通り、伊月総合病院にやってきた。


マップの表示に偽りはなく、うちから40kmほど離れたところにあるクソでかい病院だ。

外観もやけに綺麗で、それでいて敷地がめちゃくちゃ広い。


っていうか広すぎるだろうこれは。


いや……


待て……


来たこともないのに…この病院を何で懐かしく感じるんだ……?


もしかして俺、この病院で何かあった……!?


少しずつ……


昔の記憶が……



という、現実的にまずありえない【 よくあるテンプレ 】の妄想をしながら、病院の入口へ向かう。


でもなんかみた事があるんだよな。ここ。



ブゥーーーーン。入口の自動ドアがゆっくりと開く。



「……?? 」



入口からエントランスに足を踏み入れた瞬間、例えようがない違和感を感じた。


何かおかしい……その「何か」が分からないが、とにかく変な感じだ。


これは妄想じゃない。ガチで感じてる。

例えとして拙いが……『非日常』な空間に足を踏み入れてしまった。そんな感じだ。


はっきり言葉として言えないのが気持ち悪いが、とりあえず早く受付を済ませてしまおう。


病院の受付の子が超可愛い!!! ……だなんていう幻想は2秒で大破。

受付のおばちゃんに満面の笑みで出迎えられて声をかけられる。


「こんにちは。今日はどうされましたか? 」


ニコニコしているおばちゃんを見て、さっきまで感じていた『非日常』は、なんてことのないただの『日常』に戻った気がする。


「あの、血液検査の結果を聞きにきたのですが」


通知書に同封されていた紹介状を渡しながらそう答える。


「お名前をよろしいでしょうか? 」


「はい。松田です」


紹介状に書いてあるよおばちゃん…。と猛烈に突っ込みたい。


「松田さん…… はいはいはい。少々お待ちください。 …………はい。伺っております」

「そのまま3番診察室の前でお待ちください。えーっと、ここから左手側に進んでもらって奥の診察室になります」


「ありがとうございます」


言われた通り左の奥側へと足を運ぶ。



程なくして、3番診察室の前に着く。


診察室の向かいには、背もたれ付きのふかふかそうなソファーが3列に並び、診察室のドアの横にも同じソファーが置かれている。


待っている患者同士が、対面で顔を合わせてしまうこのソファーの配置。

病院なら、もっとそういうところに配慮を向けるべきなんじゃないか?


3列のソファーには誰も座っておらず、診察室横のソファーには母娘と思われる2人と爺さん1人の3人が座っている。


周りを見渡しても他に誰もいない。


…………。



あっそうか。


ふと、さっきから感じていた「変な何か」に気づいた。


今日は土曜なのに、『 診察待ちの人が異様に少ない 』

だからとてつもない違和感があったんだ。


普通の病院なら、もっとごった返しているものなのに。


駅から結構距離あるから、立地の問題もあるんだろうけど、これだけ広くて綺麗なところだからこそ、余計に変な感じがしたのだろう。


病院が繁盛していないのはいいことなはずなのに、なんだか患者が少ないのはもったいないな……と思ってしまう。


でもまぁ…… 「異世界に紛れ込んだ」とかじゃなくてよかったわ。はははははは。


そんなくだらない事を考えながら、診察室向かいのソファーに座り、手を組み、地面を見つめる。

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