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TS賢者の弟子転生アリエス  作者: 空也真朋
第一章 舞い降りた賢者の弟子
14/58

14話 貧乏人が喘ぎ上級国民だけが笑っている! こんな異世界が気にいらねぇ!!

 さて、ルドの家についた。それを見たビアンナ姫の感想は一言。


 「なんだこのボロくて臭い家は」


 「あ~いちおう友達の家なんで、正直な感想は控えてください。それにここらの家なんて、みんなこんなものですよ」 


 「ふむ? 貧民街の人間が友達とは変わっているな。アリエス。たしか貴様も、いちおう貴族の血筋だったはずだが」


 イラッ。

 なんだこの選民思想。破天荒でも、やっぱりこのお姫様もお貴族様なんだな。


 「こんなボロ家などではなく、冒険者の集まる酒場とかに行きたいぞ。モンスターをたおした武勇伝や、冒険をする際の注意をききたい」


 「カタギの女ふたり、あんな場所に行けやしませんよ! それに冒険の注意なんて聞いて何をするつもりですか!?」


 本当にこの姫様の護衛をするのはキツイ。

 ともかくルドの家にこもってリューヤの帰りを待とう。

 


 さて、ルドの家を訪問すると家族三人そろっていたのだが、やけに暗い雰囲気だった。

 その理由は、いま家庭が経済的にヤバイ状況に陥っているそうなのだ。

 

 「え、ルド。奉公先クビになったの?」


 貧民街の勤労少年ルドは、なぜか本物の小剣(ショートソード)を手で弄びながら、ぶっきらぼうにこたえた。


 「自分でやめたんだけどな。んでアリエス。そのお高い家のお嬢さんみたいのは何だ」


 「あ、あ~友達。彼女のことは気にしないで」


 ビアンナ姫には、ここの家の人と会話しないで黙っているようたのんだ。

 領国最上位の家庭の彼女に、貧民街の住人に気を遣うなんてできないだろうし。

 摩擦がおきるくらいなら、僕が会話しているのを聞いてもらうだけのほうがいい。


 「それよりもルド。自分でやめたってどういうこと? 生活は大丈夫なの?」


 「大丈夫じゃねぇよ。けどよ。親方が、不景気で誰かクビにしなきゃなんねぇって言うんだよ。仕方ないから、おいらが自分でやめてやることにした。おかげで最後の給金はちっと色をつけてもらった」


 「それは…………ほめるところ? ミルちゃんのこととか考えると、とてもそうする気になれないけど」


 ミルちゃんはお母さんの側で無邪気に遊んでいる。 

 あの子もこれから生活苦の辛酸をなめるんだよな。


 「けどよ。みんなおいらより生活苦しいんだよ。そいつの奉公した金だけで一家みんな喰ってるやつも多いし」


 「じゃあ収入はルドのお母さんの………あ~そのっ、あの仕事だけか」


 ルドのお母さんをチラリ見る。

 いっしょうけんめい若作りしてはいるが、まったく若くない汚いオバちゃんだ。

 んで、職業が娼婦。……………売れるのか?


 想像してみよう。

 前世、モテない人生で会得した神スキル。

 どんな女でも、見ただけで脳内でセックスを可能にする。


 名付けて【仮想恋愛遊戯(バーチャルメイクラヴ)】!!


 これで数多のグラドルを渡り歩いたものだ。

 いくぞ! あのオバちゃんと妄想ベッドイン合体!


 ジーーーーーーーーッ


 「お嬢さん? アタシになにか?」



 ………………………………………「あべし!!!」


 「どうした、アリエス!?」

 「急にひきつけを起こした!?」 


 わかっていたハズなのに、バカなことをしてしまった。

 異世界の男はコレに金を払えるのか!? みんな勇者だ!

 復活した後、ルドに生活できるかどうかきいてみると。


 「無理だな。最近の稼ぎはおいらの給金より少ないし、カラッケツで帰ることも少なくねぇ」


 あ、よかった。

 いや良くないんだけど、何故かホッとしてしまった。


 「おいらも働こうにも、新しい奉公先のツテもねぇ。だから!」


 ルドは手に持っていた小剣を雄々しく掲げた。


 「おいらは冒険者になる!」


 「あっ、その小剣(ショートソード)はそのために買ったの!?」


 「おうよ! 最後の奉公金使って投資してやったぜ!」


 …………………それって、お母さんに相談して買ったの? 

 大切な生活費をバカなことに使ったようにしか思えないんだけど。

 すると遊んでいたミルちゃんが、ヨチヨチとルドの足元にすがりついた。


 「兄ちゃ、兄ちゃ、ぼうけんしゃダメ。母ちゃ、おこる」


 なんでも、冒険者の死亡率は異常に高いそうだ。

 なのでルドが『冒険者になる!』って言うたび、ルドのお母さんは止めているらしい。

 しかし今、そのお母さんはうつむいて止めない。

 それほどに生活がヤバイのか。


 「悪いな、ミル。母ちゃん。今度ばかりはおいらも本気だぜ。剣の腕は木剣で鍛えていたんだぜ。見ろ!」


 ルドは小剣をブンブン振り回して剣舞をはじめた。

 それはけっこう速く鋭かった。まぁ子供にしては、だが。

 しかし冒険者家業のヤバさは聞いている。

 冒険者ギルドとか入るのがほとんどフリーパスなのは、死亡率が異常に高く、常に人手不足だからだ。

 だからルド。悪いがその夢、邪魔させてもらうぞ。


 僕はルドの剣舞のギリギリに近づき、強化した動体視力で剣の軌道を見切る。

 そこに魔法ドーピングで素早さを上げ、手を入れる。


 「それッ!」


 指先の微電流で手の腱をマヒさせると、ルドは剣をポロリと手放した。

 それをパッとつかむと、それをルドに見せつけるように掲げた。


 「…………え? あれ?」


 ルドは僕の手にある小剣(ショートソード)を信じられないもののように見た。


 「てんでダメだね。冒険者なんて無理だよ。あきらめて奉公先を探しなよ」


 「ふ、フンッ。ああ、たしかにその意見は正しいけどよッ。けど、そんな正しさが何になるってんだよ! 別の奉公先なんて簡単に見つかるもんでもなし。死のうが、冒険者でもやんなきゃどうしようもねぇだろ!」


 さて、こんな貧しい家庭の嘆きを見てもビアンナ姫はというと。


 「あー退屈だ。わたしは何でこんな所にいるのだ」


 と、まるで心を動かされた様子もない。

 くそっ。所詮は貴族という名の上級国民か。


 こうなれば、もう自重はヤメだ。

 僕の魔法スキルで、ビアンナ姫の放埒もルドの経済問題も一気に解決してやる!


 まずはビアンナ姫からだ。

 魔法という力で手っ取り早く解決するのは避けたかったが、もう容赦しない。


 「ねぇビアンナ姫」


 「なんだ、アリエス ……うっ!?」


 僕はさりげなくビアンナ姫に抱きつき、子宮部分に手をあてそこを光魔法で活性化させる。

 女性の脳は子宮に大きく影響される。

 ここが活性化すると女性の本能が大きく促され、女性ホルモンのエストロゲンが多く分泌し、女性らしい体つきになり性格も女らしくなるのだ。

 しばらくの子宮を活性した後に離れると。


 「あ、あれぇ? え? なんか変な気分………」


 よし。ビアンナ姫がすごく女っぽくなって可愛くなったぞ。

 これで『冒険者になりたい』なんてアホなことは言うまい。


 さて、次はルドの方だが。

 金の問題なだけに、こっちは難題だな。

 やはりこのオバちゃんの”仕事”の収入を増やすしかないか。



 「ルドのお母さん、話があります。ルドもきいてくれ」


 僕は魔法を使っての美容整形の説明をした。

 このオバちゃんにこれを施せば仕事の収入はアップし、ルドの仕事を探す時間が稼げるだろうということを。


 「では、その”あんちえいじんぐ”とかいう魔法をわたしに使ってくださるので? そんな魔法はきいたこともありませんが」


 「僕のオリジナルですから。効果は僕を見てください」


 「ああッ! アリエスの異常な美貌(マブ)は、その魔法のせいか。こりゃ凄ぇ効果が期待できるかもな」


 じつはほぼ毎日、ヒマがあれば整形美容魔法で、自分を美肌にしたりスタイルをよくしたりしているのだ。

 おかげでこの技術だけは相当のレベルになっていると思う。

 男とつき合うつもりもないのに、何でそんなことをしているかって?

 自分で自分の嫁になるためだよ!


 鏡の前で「あなた、お帰りなさい」とかやると、凄いハッピー。

 美人の嫁さんもつと元気一億倍だね。

 愛しのワイフを抱きしめてはあげられないけど。



 「わかりました。このままでは一家三人暮らしていけませんし、どうかお願いいたします」


 近くでよく見れば、もはや婆さんだ。

 思わず「もう引退しろ!」と言いたくなる。

 だが、そんな正論はゴミ箱へ捨てよう。

 僕の技術を駆使し、このオバちゃんを僕目線で”ヤレる”と思えるくらいまでにするのだ!

 …………………大工事だな。

 

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― 新着の感想 ―
[良い点] 美容整形魔法。 やっぱりこれは独創的だな。他で読んだことない。 [気になる点] ビアンナ姫にこんなことして、後でトラブルになる予感が。 [一言] >大工事 でしょうねぇ。
[良い点] いつも更新ありがとうございます。 第14話…いろいろとひどいww ビアンナ姫への対処法,これやべえ奴だw ルドの母さんどうなるんだろうか それにしても,転生物というテンプレが固まりきっ…
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