01話 そうだ、転生しよう
またまたTSです。
なんかTSじゃないとうまく話が作れないんで、しょうがないですね。
気がつくと妙な空間にいた。
あたり一面何もなく、果てしない地平線がどこまでも続いている。
コレって異世界に行くプロローグみたいな感じだけど、別に僕は死んでいない。
きっかけになるような事故を起こしてもいなければ、死亡するようなことなんて何もおこっていないのだ。
こんな所に来たなきっかけは、ある日の夜のことだ。
病院から家に帰る途中、夜道の片隅にひときわ真っ黒で光がまったく射さない妙な部分を見つけた。
『これは何だろう?』と近寄って手をかざしてみると、いつの間にかここにいたというわけだ。
「やあ、こんばんわ。俺の屋敷へようこそ」
いきなり声をかけられ振り向くと、そこには妙な異国の恰好をした外国の青年がいた。
コスプレか? しかしこんな服装のキャラは知らない。
まぁ最近は就職前の忙しさで有名どころしか見てないので、僕が知らないだけかもしれないが。
「あ、どうもこんばんわ。東都医大の祭谷賢治です。ここってあなたの屋敷なんですか? 広い部屋ですねぇ。どこを見渡しても壁なんてどこにも見えない。何畳の………いえ、何千畳の部屋なんです?」
「ははは。”ジョウ”というのが何なのかは知らないけど、広さは無限だねぇ。キミらの時間で3年ばかし彷徨っても、果てなんてどこにも見えないし。あ、俺の名はヴィジャス。賢者だ。ヨロシク」
「は……はぁ、ヴィジャスさん………賢者?ですか。とにかく帰していただけませんか。僕は卒業前の研修医なんですが、明日も研修で朝早いし。研修先の病院、厳しいから遅刻なんてできないんですよ」
「それ! それなんだけどね、じつはキミには元の世界じゃなくて、俺の世界に来てほしいんだよね。キミからすれば異世界かな」 、
やっぱりキターーーッ!!!
そうだよね。やっぱ、こんな異世界の入り口みたいな場所に来たんなら、こんな話になるよね!
問題は『異世界行って人生やりなおし』とか必要ない僕に話がきたことだけど!
「いえ、異世界手転生も転移もけっこうです。医者への道も開けていますし、家族も………独身ですけど、親はいますし」
「アイドル? とかと結婚するためにずいぶん苦労してるみたいだねぇ。自分のブサイクを克服して、かわいいお嫁さんをもらうために地位と財産をきずいている最中なんだね」
――――――――?!!!!!!
「なななななな、なんで、それを!??」
「これでも最強?な賢者だからねぇ。条件がそろえば心の浅い部分くらいは読めるさ」
そうなのだ。僕は生まれついてのブサイク。
女にはキモがられ、これまでの人生に女の子と会話したことなど皆無の人生。
だけど可愛い女の子には人一倍興味があって、趣味はアイドルのライブ巡りとグッズ集め。
やがて一生の夢として、アイドル妻をもつことを決断。
そのために地位と財産を築くことにし、職業として医者を選んだのだ。
「と、とにかくそれなら話は早い。僕は自分の夢をかなえるのに、特典とかもらって異世界なんかに行ったりしない! 現実世界で自分で努力してかなえます。元の世界に帰してください」
「うーん、だけどねぇ。夢がかなったとして結婚生活はうまくやれるの? 美人で可愛いお嫁さんが地位と財産目当てに、ブサイクで女の子とうまく話もできない旦那さんと結婚したとして」
ギャフンッ!!!
ぜったいうまくいかなーーーい!
冷え切った結婚生活が見えた。やっぱりキモメンな僕は、結婚してもこれまでと同じように、お嫁さんにまで避けられて生きていくんだろうな。
生涯の夢をあっという間に砕かれ、ガックリうなだれる僕。
そんな僕に悪魔のささやきが。
「まあまあ。キミはいま絶望し夢を失い地におちた。だけどそんなキミにもいま、道が開けている。もし異世界に行ってくれるなら、僕の魔法でできる範囲で君の願いをかなえてあげるよ。もちろん、女の子と楽しく会話できるような能力もあげちゃう♡」
そ、そうだ。僕にはまだ『異世界』という希望があった!
こうなれば異世界へ行く特典とかもらって、美形になってモテスキルもらって、かわいいお嫁さんとイチャラヴ生活…………いや、いっそハーレム目指すのもいいな。ハハハハッ!
「異世界行きます! だから魔法でモテスキルください!」
「おおっ! 元の世界とお別れすることになるけど、いいんだね?」
「かまいません! そうだ、異世界へ転移じゃなく転生しよう! もうこんなブサメンな自分にはお別れして、美形に生まれ変わることにします!」
「うんうん、美形に転生ね。そっちはOKだけど、相手を魅了する魔法の方は、こっちの世界では禁忌扱いなんだよね。だからキミの肌にふれた人間は軽い快感を感じるようにしよう。こっちは俺ちゃんのオリジナルだから禁忌にはなっていないし、最後までイクのも最短距離♡」
いいなそれ! 出会った美少女とその日のうちにベッドイン!
「あ、それなら唇の部分はより強く快感を得られるようにしてください!」
「……………天才だねぇ。やっておくけど、モテすぎて死んじゃわないでね」
「そんな死に方ならむしろ望むところ! 異世界楽しみだなぁ。はやく行きたいなぁ♪」
「はいはい。俺ちゃんとしても早く行ってもらいたいからすぐ送るよ。はいっ」
ヴィジャスさんのかけ声とともに僕は死んだ。
そして魂はヴィジャスさんの世界の異世界に。
だが、今まで医者になるために努力してきた自分と残していく家族。
それらを裏切った報いはすぐに訪れた。
当分これを書いていきます。ハーメルンにもマブラヴssを書いていますが、そっちは休載してこっちに集中します。