デイフォー2
み完成です
短いですが、完成です。
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椅子に座り、縮こまったエミさんの顔を覗くと目線が定まらず、若干汗をかいている様にも見える。
まるで怯えた子犬の様にブルブルと小刻みに震えている。
「あの、、私、、私、、すいません勝手な事しちゃいました。」
エミさんは手を膝に置き更に縮こまる。
「いいんです、いいんです!気にしないで下さい。
もし、条件が無ければ、俺からガイルさんに頼もうと思ってた位ですから。
だから、逆に、ありがたかったんです。
それに、エミさんが俺達をパーティだって言ってくれて。」
「それはいいとして、あたしの事知らないわけじゃ無いよな?
ギルドNo. 1の借金王」
自分を指差して何言ってんの?
って本当に何言ってんの?
「え?No. 1って今初めて聞いたんだけど。」
「ん?」
エゼルが小首を傾げる。
何が、ん?だ!
何だそのリアクションは?
一体幾らなんだよマジで!
エゼルの爆弾発言に一気に血の気が引く、、。
後2ヶ月で何とかなるのかぁーー!?
そう俺が心の中で叫んでいると、エゼルが質問を始めた。
「借金王のあたしとパーティ組みたいだなんて、あんたどうかしてるんじゃないか?」
どうかしてるのはお前だアホ!
せっかく誰も入ってくれない俺達のパーティに入ってくれるかも知れない殊勝な人だぞ!!
そんな脅すような態度取るんじゃありません!
「借金持ちのパーティメンバーは否応無しに保証人にされちまう、あたしが飛んだらあんたが次の借金王になっちまうんだぜ?」
え?そうなん?
「私は、、別に、、エゼルさんとパーティを組みたい訳じゃありません!
トーヤさんと一緒に冒険したいんです!!」
その言葉にエゼルの視線が俺に突き刺さるのを感じる。
実際に俺の額が小突かれたと錯覚する位の圧を感じた。
「トーヤお前?」
「ないないないなーいー」
おいバカお前すげー勘違いしようとしてるぞ。
「嫌、あたしは別にいいんだよ、まぁ、あれだ、お互い、大人なんだし、、、な」
お前が赤くなるなよ!!
「っちいちちちちいちっっ違います!!」
ふぅ〜、なんか記憶が蘇るなぁそのリアクション。
溢れ出る嫌な汗を手で拭うと、もうどうでも良くなった。
「私はトーヤさんとただ、一緒に冒険したいだけです!
ただ、トーヤさんはもう、エゼルさんのパーティーメンバーだし。
それにエゼルさんは借金は自分で返すなんて当たり前の事から逃げる様な人じゃない気がします。
自分がされて嫌だった事を他人にする様な人じゃありません。
エゼルさんは、試しているんです。
私はそう推測します。」
「試すって?」
「パーティに加入する覚悟」
「・・・・」
「エゼルさんはご存知だと思いますけど、私、、今までずっと一人でやってきたんです。
薬草採ったり、モンスターを狩ったり。」
「そのレベル迄ずっと1人で?」
「はい」
「トーヤみたいな異常な速度でレベルが上がってるなら分かるけど、お前それって、、。」
「・・・・お願いします。私に仕事をさせて下さい。」
頭を下げるエミさんを見ながら、エゼルが面倒臭そうに頭を掻きながらボソッと呟いた。
「別に、、試した訳じゃないんだけどね、、。」
「エゼルそれって?」
「まぁ、別にいいんじゃね?」
「ありがとうございます!!!」
軽いな、さっきまでの雰囲気背負ってたらそう軽い反応できないよな、普通。
「よし!!これでダンジョンにも行けるしって、お前のレベルがまだアレか、今回の依頼で上がりゃ良いけどな」
「フッフーン俺二桁いきました〜」
「は?」
「お前、昨日の昨日って、、、幾ら上位種を片付けたからってそれはいくらなんでも」
「トーヤさん同じパーティメンバーなんだから、見せて下さいよ!ステータス!!」
「いや、それとこれとは別なんじゃ?」
「許す、許すぞ、ほれほれトーヤ、ステータスオープンじゃい!」
「お前!エゼル!ちょっ!
じゃいって何だ!!」
「とーう」
「うぶっ!おいエゼル!締まる締まってるって!!」
「フフッフーン抵抗なんて無駄無駄〜
あたしの技から抜けようなんて100年早いわ!」
クソ!この脳筋本気でチョークかけて来やがった!!!
「分かった、わかったか・・・ら」
ジタバタした事でさらに俺の首を締める女ゴリラの剛腕が俺の意識をかった瞬間であった。
さて、土産話もたまった事だし、アイツ等のとこにでも行くか。
それにレベル10になって制限が解除されたらしい。
あの人の所にも行ってみよう。




