表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
それ借りてもいいですか?  作者: レイフォン
11/18

デイスリー 4

未完成です

4304


完成しました修正入るかもしれません

50213

「ふー」


呼吸一つするにも緊張感が走る。

日差しが無くなり暗くなった森は気温も下がっていたが、今、俺の首筋や額には玉のような汗が浮かんでいる。

横を見ると隣にいるエミさんも流石にネガティブな独り言を封印し杖を握る手にはギュッと力が入っていた。


俺達は今、ゴブリンがいる浅いほら穴の近くの岩陰に潜んでいる。

索敵により反応した敵の数は5体。

その5体が全てほら穴の外と中にいる事が分かっている。

ここで20分程奴らの動向を監視しているが、偵察から帰ってくるゴブリンが居ないところを見ると、ここにいる5体が奴らの総数なんだろう。


見張りに2体。

中に3体。


ここに来る途中に最初のも含めて3体のゴブリンを倒した。

おかげでレベルも8から9に上がった。

つい最近レベルが上がった事をエミさんに言ったら。

目をまん丸にして驚いていた。

私のも見せるのでステータスを是非見せて欲しいと懇願されたが、それは丁重にお断りさせていただいている。

その後結構長い間ブツブツと恨み節のような呪文のような独り言が歩く後ろからBGMの様に流れて来たが、敢えて気付かないフリで通したのは言うまでも無い。


ただ、調査隊と思われる方々の無残な遺体も数体確認している。

抵抗したのか、血濡れの斧の傍にゴブリンの死体が3体程転がっていた。


人間の遺体を長い間放っておくと生ける屍、ゾンビになって人を襲う事もあるとの事で俺が穴を掘り、四苦八苦しながら2人で埋葬すると、神官見習いであるエミさんが簡易的ではあるが祈りを捧げた。


遺体をこんなに間近で、人の死を目の当たりにしたのはこれで2度目か。

一度目はあの事故の時の短い時間。

今回はこんな長い時間、しかも血の匂いやリアルな遺体の重み、何より、目に飛び込んでくるその光景が俺の精神を蝕む。


「リフレッシュ」


エミさんが俺に魔法をかけてくれるとの事でお願いしてみると先刻見たリフレッシュの魔法をかけてくれた。

身を清める効果のほかに、心の方もすこしだけ軽くなった気がする。


「この中にもしあの子のお父さんがいたら、、。」

「どうします?

引き返してこの事をギルドに報告しますか?」

「いえ、このまま捜索を続けましょう、調査隊がこの方達だけとは限りません、そうだとしたら、本当に一刻を争う事態です。

町まで戻っている暇はありません。

俺、救える命なら、救いたいんです。」

「・・・・そうですね。」



「トーヤさん?」

「すいません、こんな時に集中を欠くなんて」

「いえ、それ位の隙があった方がいかもしれません、緊張で身体が思うように動かないなんて事の方が危険ですから。」


ほら穴の方を見ると、見張りのゴブリンが一体に減っていた。


「すこし前、中からゴブリンが出てきて、何やら話し込んだ後、一体が中に入っていきました。」

「一体ならなんとかなりそうですね。」

「ええ、でも念には念を入れましょう」


そういうとエミさんが詠唱を始めた。


「眠りへの誘い エイプル」


呪文が終了すると見張りのゴブリンの周囲にシャボン玉の様な物体が現れる。


「ゲゲ!」


ゴブリンがそれに気づき払おうとシャボンに触れると、パンっと弾けたシャボンの中から煙が立ち昇る。


「不意打ちならこれが一番効果的です」


ゴブリンの膝が崩れ前のめりに倒れる。

持っていた棒切れに刃が括られているだけの槍的な武器もカランと倒れた。

そういえば、ここに来るまでに倒したゴブリンは、三体共鉢合わせだったから、今みたいな魔法は使っていなかったけど、こうして魔法をちゃんと活用している彼女は本当に有能に思えた。


「止めはお願いします。」

「はい」


俺は素早く出来るだけ物音を立てずにゴブリンに近づくとうつ伏せになって寝ているゴブリンの首目掛けて剣先を下ろした。


「ゲフェ」


たんが混じった時の様な雑音混じりの咳と共にゴブリンが吐血する。


「ふ〜」


たったこれだけの行動でも疲労感が半端無い。

けど。

俺突き刺さった剣を抜くとほら穴の入り口に身体を預けて息を殺す。

エミさんがジェスチャーで、ゴブリンがこっちに向かってきている事を知らせてくれていた。


「はぁ、、はぁ、、数は1、まじ有能っ!」


足音が徐々に近づいて来る、俺は身体強化を使うと身を低く構え、そのままの体勢でゴブリンと相対しそのまま突進する。


「グゲェ」


俺の耳元でゴブリンの驚いた様な、苦しそうな声が聞こえる。

ゴブリンは俺の両肩を掴み引き離そうと暴れるが、腹に突き刺さった剣は貫通し背中から刃が突き出ていた。

俺は勢いのまま壁に押し込み、柄をギュッと握る。


「ゲ、、グゲ、、、グフ」


段々と力が抜けていき、頭上で騒いでいた声が段々と小さくなっていった。


「はぁ、、はぁ、、、。」

「トーヤさん、お疲れ様です。」

「はい、、これで、もう、、後には引けませんね、恐らく今の音も伝わってるでしょうし」

「そうですね、、。

後、3体倒せれば、、でも。」

「でも?」

「少し気がかりが」


エミさんの顔色が険しい、、それほどヤバイ事なんだろうか?


その時。


「グゴゴゴゴゴ、、ゴォワァ」


ほら穴の奥から獣の雄叫びのような声が上がった。

ドドドドとほら穴を駆け上がる音が聞こえる。


「ひっ」


エミさんが短く悲鳴を上げる、その顔からは血の気が失せていた。


「ホブです!ホブゴブリン!!トーヤさん逃げましょう!!!」


ホブゴブリン?

ゲームでいうゴブリンの上位種?

それがこの奥、嫌、、、。


俺が振りかえると、そのゴブリンより二回り程大きい巨躯

をしならせ繰り出した拳が俺目掛けて迫っていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ