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授業

説明回


今、グレン達2人は勉強をするために椅子に座っている。


いつもは適当な理由をつけて逃げていたのだが、執事の使役している使い魔に捕まり、首根っこ引っ掴まれて強制的に座らされた所だった。


「ノイシュ…これは卑怯じゃないか?普段は使い魔を使ったりはしなかっただろ…」

「こんなでかい熊出すなんてずるい!」


「グレン様ルイン様、これは仕方のない事なのです。普段から素直に勉強をして頂いていれば、この様な事にはならなかったでしょう…ですが私も鬼になる事を決めました。これからは逃げようとは思えない様にして差し上げます」


ノイシュの口元は笑っている…が、目は笑っていない。


椅子の後ろには『グルゥ』と使い魔が鳴きながら2人の肩に手を置いて座っている。

どうみてもここからは逃がさないと言わんばかりの顔だ。


「……わかった。今日はきちんと勉強する「今日は…?」『グルゥ』……これからは毎日勉強するから、せめてこの肩に手を置くのはやめてくれ…ほしいです」


きちんと勉強をすると言ったためか、ノイシュは使い魔に「もう大丈夫ですよ」と手を退けてもらった。


まだ2人の後ろには熊がいる。前を向いている限りは安全。

…だか、後ろを少し振り向くだけで『グルゥゥ…』と唸り始める熊が怖い。


「それでは始めましょうか。今日は私達が住んでいる国や他の国々の事、そしてお2人がどうして剣術や魔法を習うことが出来ないのかを詳しく教えます…」


そう言ってノイシュは持っていた本を開き、少しずつ話し始めた。


世界には主に人族、獣人族、ドワーフ、エルフ、魔人族がいる。

双子が暮らしているエリュグリンダ王国。

住んでいる人口の殆どが人族で、多くはないが獣人族やドワーフなどの種族も暮らしており、国の中では一番人口が多い国。


そして獣人族やドワーフが多く住み、ドワーフは鍛冶や工芸を。

獣人族は獣人ならではの身体能力を生かした仕事をして共に暮らしているラルーテア獣鍛(じゅうか)国。


冒険者だった1人が国を興した。弱肉強食、弱者は生きる価値無しと豪語するザバラス帝国。


教皇を頂点に聖女と共に神を信仰し、弱き者には手を差し伸べるが信仰心が強すぎるがためか排他的なアクアスイード聖国。


魔人族のみが暮らしており頭には大小のツノが生えている。

それと高い魔力を持っているので、魔力が低い者や他の種族を見下している者が多く、考え方はザバラスに住む者達に近い。

何百年とエルフとはとても仲が悪いと歴史に残る魔紅都(まこうと)ゼヘム。


その他に小さな小国やエルフという種族が何処かの森に住んでいると言われ、様々な動物達、精霊や聖獣、魔物といった者達が暮らしてる。


「んー、どうしてエルフと魔人族は仲が悪いの?」


「良い質問です、ルイン様。エルフと魔人族…元は同じ種族でしたが、長い年月の中で子が産まれてくる際に長い耳を持つ者、ツノが生える者に別れ始めたと言われています。

そして長い耳を持つ者は精霊達から好かれ、ツノを持つ者は精霊達からあまり好かれなかった。

精霊は良い感情から産まれ、邪悪な感情からは魔物が産まれるとされており、精霊から好かれ長い耳を持つ者達は善良な者、ツノが生えた者達は魔物の様な邪悪な者と呼ばれ始めました。

それから長い耳の者達をエルフ、ツノの生えた者達を魔人族と呼び対立し、エルフは何処かの森へ、魔人族は国を作りそこで暮らし始めたとされます」


「成る程な。でもどうして精霊達はエルフの方が好きだったんだろう?」

「魔力の好みとかあったんじゃねーの?味みたいにさ」


あぁそっかぁとルインは頷き、そもそも精霊はーー…とグレンと話始める。


「ところでグレン様ルイン様。随分と精霊や魔物について詳しそうですね?まだ軽くしか教えていないはずなのですが…?」

「え?あっ、いやこれは、本で読んだ!」

「本で?まだ読み書きは完璧ではないでしょう?」

「メ、メイドに読んでもらった」


本来お伽話や歴史の本などを読むのが一般的だが、神様から直接精霊や魔物の事について知っていた2人は、適当に話を逸らすしか無い。


「そうですね…では、お2人は私に精霊や魔物について、もう一度考えていただけますか?」


「「わかった / いいよー」」


「じゃあ俺は精霊について。精霊は人間の良い感情…喜びや幸福といったものから生まれたとされる。

精霊は基本的に目視出来ないが、自身の持つ魔力によっては見える事もある。後は一部の人も精霊が見えたりすんだったか」


「おれは魔物について!魔物は精霊の逆、人間の邪悪な感情から生まれた存在で、自我が無くて本能で動いて人を襲ったりするから危ない」


「素晴らしいですね、では少し補足しましょうか。

精霊には様々な種類がいます。水や火、風など魔力の属性に近いものが多いです。精霊は自分が気に入ったものに自身の持つ魔力を貸してくれます。

魔物は基本的には自我が薄い。ですが長く生きる…強い個体は自我がはっきりとして自身の感情と元々持っていた本能で人を襲います。

因みにお2人の後ろにいる熊は魔物ですが、私が命令しない限り人を襲ったりはしません。使い魔になる魔物は全て自我があります。…本能はありますが動物に近くなるといえば良いでしょうか…」



そこで〈ゴーン、ゴーン〉と外から昼の時間の鐘が鳴り響いた。


「おや、もうお昼の時間ですか…食堂で昼食にいたしましょう。お2人は自身の部屋へ。私が行くまで待っていてくださいね。

午後からは剣術や魔法の事について話しましょう。

……あくまで勉強ですからね、稽古ではありませんし魔法を使うという事も無いですからね」


そう言って執事は並べていた教材などを片付けて、部屋後にした。


ノイシュが部屋から出るのを見て、ルインは座っていた椅子にだらりと寄りかかる。


「あー疲れた!やっぱ勉強ってなると、途端にやる気なくなるからやなんだよなぁー。色々と知れるのは良いんだけど、これはまた別というか何というかー…」

「俺達この世界じゃまだ5歳児だからな…」


グレンも机に頬杖をつきながら、だらりと体を預ける。


「正直5歳の頃何してましたかーとか、いつから文字書けましたかーとか、覚えてないよな」

「それに俺達、この世界の文字とか普通に分かるし書けるもんな」

「それなー!早く魔法を使いたい…教えてほしいー」

「俺も早く剣術を学びたい」


ここでずっと話をしていても仕方ないので、ノイシュに言われた通り2人も部屋へと戻る。

最初は執事を待っていたのだが、待ちきれなくなった2人は食堂へ行こうと部屋のドアを開けたが…ドアの前には、執事の使い魔がジッとこちらを見て立っていた。

2人は何も無かった様にそっとドアを閉め…執事が来るまでおとなしく待ったのだった。


………

……


昼食を食べ終え、執事と共に午前中にいた部屋へと戻ってきた。

もちろん2人の後ろには使い魔の熊がジッとこちらを見て座っている。


「さぁ、お2人には待ちに待った剣術と魔法について話しましょうか」

「そうそう、これ!これだよ!」


「まず、人々は魔物に対抗出来るよう剣術や魔法といったものを学ぶ様になりました。

昔は幼い頃から剣術や魔法を習いましたが、時代が変わるにつれて基準と呼ばれるものが作られたといいます。

幼い子供は力や体力がなく身長も低い。長い剣は持てず、短いナイフなどで戦うしかなかった。

魔物は凶暴で、小さな個体でも幼い子供には脅威でしかなく、怪我や魔物に殺され死んでしまう者も多かった。


魔法に関してまず、魔力と呼ばれるものがあります。

魔力とは生命力とも呼ばれ、成長と共に増えていきます。

幼い子供は、日々多くなる魔力に対し魔力制御が追いついて行かず暴走する事があり、魔力が体内から失われ死んでしまったりもしたのです。

そこで幼い間は実践的な事はせず、剣術や魔法の知識を学ぶ期間と定められました。

ただし、6歳からは生活魔法と呼ばれる小さな魔法のみ学ぶことが許されています。

そして6歳になった子供達は、洗礼の儀と呼ばれる儀式に赴き、称号と呼ばれるものを一つ創造神様から授かります。それによって自身のこれからの人生に対し学ぶものを決めていくのです」


「なんだ!魔法、5歳からじゃないじゃん!」

「……ルイン様…。これはあくまで、生活していく過程で必要だからです。本格的なのは7歳からです」

「ケチ」

「ケチではありません。決められた事です」


文句を垂れるルインに、後ろから肩に手を置かれる。

小さな唸り声は熊から聞こえた。


『なぁなぁレンー』


ノイシュの説明が終わり、各自渡された本を読んでいると、ルインから念話が届いた。


『ん、どうした?急に念話なんかしてきて』

『おれたちが使ってるこの念話って魔法だよなー?どうして念話だけ使えるのかなー?』


『そう言えばそうだな。俺達が会った頃から使えてるし…転生者だからーとかじゃないのか?異世界の読み書きは出来るし…まぁ魔法はこの念話しかまだ使えないけどな』

『そっかー。じゃあやっぱりおれたちが念話を使える事は教えない方が良さそうー』

『それがいいだろうな。魔法、使ったって言ったら熊に殺されそうだ』

『確かにー!』


それから2人は念話で話しながら、ノイシュ話は適当に相槌を打ち、今日の勉強を終えるのだった。



体調を崩してしまっていましたが、久しぶりの更新です。

また早めに次を出したいな

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