神様日記1
本編とは別のお話。
一方神達は。
「ちゃんと双子に手紙を届けたかね?」
「はいいいっっ!初めの手紙ともう一つの手紙、きちんと双子に届けました!!」
正座をし、ガクブルしている姉神様を見下ろしているは、なんとも怖い顔をしたお爺さん。
口元の白い髭が床につきそうなくらい長い。
このお爺さんは、神達で言う所の頂点に立つお方。
世界はこのお爺さんの眷属である姉神様を含め、他の神達に管理を任せていたのだった。
「弟子の失態は師匠であるお主が償うのじゃ。久々に仕事をしたと思えばこの始末…弟子に何を教え、お主は何をしておったのじゃ、馬鹿者が」
「もっ…申し訳ありません、王よ…」
仁王立ちする王の顔が、鬼の様。
「会議で聞いた時は驚いたぞ。別の世界から人間を転生させておいて、この世界の概念を組み込んでおらんかったとは…産まれた環境が良かったからいいものの、下手をすれば消滅する所だったぞ」
「ですが王よ、私はきちんと弟子に言い聞かせ……」
「言い訳はいらん!言い聞かせていたと言うならなぜ!手紙が届いておらんようになるのじゃ、馬鹿者が!
それに聞けばその双子はお主の弟子によって一度死んでしまったと言うではないか!挙句、加護をやると約束しておいて、時期を間違え与え損なうなど!この大馬鹿者!!」
神達が暮らしている空間にピシャン、ピシャンと雷が落ちまくる。
他の眷属の神達は、自分達に雷が当たらないよう障壁を張り、成り行きを見守った。
「ワシはこれから、双子が前世で生きていた世界の王に謝罪してくる。ワシが戻る前にお主の弟子を探してここへ連れてこい!よいな!それと…お主。お前には100年、他の世界の菓子はやらん!」
そう言い残し、王は消えていった。
「えっ、うそ!そんな!王よ!それだけは、それだけは勘弁してええええ!!」
正座をしていた姉神様は、足が痺れて力が入らず、まともに立ち上がることも出来ず、ズシャッと顔面から床にダイブして盛大に転んだ。
姉神様は、すでにいなくなっている王の場所に手を伸ばす。
その手は、空を切るだけだった。