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後始末

もう少しで今年も終わりですね。


転生してから初めて魔法らしい魔法を使った。


結果、コップから盛大に水が吹き出し…辺り一面水浸しになった訓練場。

びしょ濡れになりながら無言で手にあったはずのコップを見つめ、固まる3人。


訓練場内に待機していた双子達専属のメイド数人は、何処から出したかわからない傘をそれぞれ差し、さらに双子達の護衛として待機していた2名の騎士達はといえば、1人は自身の持つ魔法で水を防ぎ、もう1人は魔法が間に合わずにびしょ濡れになっていた。



なんともカオスな状況だった。



「グレン様ルイン様!!お怪我はありませんか!?」


一瞬の出来事に固まっていたノイシュは、ハッと我に返って声をかける。

まだ固まっていた2人は声をかけられて意識を現実に戻した。


「……あぁ……大丈夫」

「おおぅ…大丈夫………ってか今の何?」


「今のは水の初級魔法"ウォーター"…のはず……だったんですが…」


どうしてこうなった…と水浸しになった訓練場をノイシュは再び眺める。

そこで同じように辺りを見ていたルインの口から「へぶしゅんッ」と大きなくしゃみが聞こえた。


「あぁ、こんな事している場合ではありませんでした。お2人共早く湯船に浸かった方が良い、風邪をひいてしまいます」


いつまでもびしょ濡れな体でいるのは良くないと待機していたメイドに声をかける。


「レーナ、グレン様とルイン様を浴場にお連れして。それからお2人に何か温かい飲み物を用意しておいて下さい。私は一度自室に戻って着替えてきます」


「かしこまりました。それと既に他の者達が準備をしており、ノイシュ様にも温かいお飲み物を用意して待機しております。……………では、グレン様ルイン様どうぞこちらへ」


ノイシュが声をかける頃には数人いたメイド達は入浴の準備をするために既にいなくなっており、レーナと呼ばれるメイドが一人残っているだけだった。

グレンとルインは言われるままレーナについて行き、その後ろを護衛2人がついて行く。



(いやはや、余りにも予想外の出来事に固まってしまいました…不甲斐ないですね。己を鍛えなおさねば………それにしてもレーナ達、傘を差す余裕があったならグレン様ルイン様をお助け出来たでしょうに……これはカルメに報告ですね)


空間から手帳を取り出し、今後のスケジュールを確認していく。

ノイシュは「ふぅっ…」と息を吐くと同時にシュッと小さな音を立ててその場から消えた。



………

……



訓練場を後にし、メイドに連れられてグ2人は風呂場へとやって来た。

脱衣所で濡れた服を脱ごうと服に手をかけ、ピタリと止まる。側には数人のメイド達が待機しており、いつの間に着替えたのか、いつも着ているメイド服とは違ってスカートの丈がひざ上の短いタイプに変わっている。


「…そこに居られると服が脱げないんだが」

「えーと…レーナさん達どうして服変わってるの?」


「私達はグレン様ルイン様のお背中を流すためにいるだけですので…お気になさらずに、どうぞお入り下さい」


「…は?いや…いやいやいや。お気になさらずって。気にするよ、とっても気にするんだが?!」

「おれも流石に…てかいつもは入ってこないよね?…え?どうして?」


「普段でしたらルトア様がご一緒に入られていますが今はこちらにおりませんし、護衛の騎士様は1人はドアの前で待機しております。もう1人の方は水に濡れたようですので着替えに行っておりこちらには居ません。ノイシュ様も同様に一旦自室に戻られていますから私達がお2人のお背中を流そうと思いました。さぁお身体が冷えます、お入り下さい」


さぁさぁと急かしてくるメイド達に2人はどうする…とお互い目を合わす。そこにコンコンとドアから音が鳴り「入りますよー」と声がして着替えて戻ってきた護衛の1人が入ってきた。


「ロイド!いい所に来た!!一緒に風呂に入ってくれ!」


「へ…一緒に風呂?…あれ?グレン様ルイン様、まだお風呂入ってなかったんですか?体、冷えちゃいますよ?………って、え?レーナさん…達?え、どうしてここ『『『チッ』』』…に?」


一瞬、メイド達の方から舌打ちのような音が聞こえた気がして3人は耳を疑う。


「私達はグレン様とルイン様の濡れたお洋服を取りに。…ですがまだお入りになられていなかったので、早く湯船に浸かる様にとお願いしていた所です。ではまた改めて伺いますので失礼します」


メイド達は平然とした顔で話し、ささっと出て行ってしまった。


確かに服を取りに来たのも本当だろうし、風呂に入ってと言われたのも本当だ。だがしかし、背中を流すと言っていたのも忘れてはいない…。

メイド怖…と思いながら2人は服を脱ぎ、浴室へと入って行く。

少し間をおいて後から入ってきたロイドと一緒に髪や体を洗う。

そして広い浴槽に浸かり、冷えていた体がジワっと温かくなる感覚に心地よさを感じながら3人は「ふぅ…」っと声を出した。


「いやーそれにしてもグレン様とルイン様の魔法、凄かったですねー。あれ、どう見ても初級魔法の威力じゃなかったですし」


ロイドは先程の光景を思い出しているのか、ケラケラと笑いながら隣に座っているグレンと話をする。


「一般的な初級魔法はどんな感じなんだ?」

「んー、そうですね…初級魔法の中にもランクがありまして…ランクの基本基準は3段階、最低【C】から。これが生活魔法と呼ばれ、ウォーターもこのランクに該当します。

火ならファイヤー、風はウィンドと基本属性の元となる物がCランクの初級魔法ですね」


「ふーん…ロイドは何の属性持ってるんだ?」

「私は火、水、風、闇、無の5属性持っています」

「それって多い方?」

「多いですね。基本属性は一般市民で1〜2属性が一番多く、貴族の方は3〜4属性。そこから遺伝や自身の才能によって属性数は変わりますから、一概には言えませんが」

「それならロイドは貴族か」

「いえ、私は貴族ではありませんよ。私の父が貴族で母と結婚した際に平民になりました」


「…じゃあ最後にウォーターの魔法見せて」

「最後にって?……あぁ、なるほど。随分と静かだと思ったら…ルイン様、湯船の中が温かくて寝ちゃいましたか。早く出た方がいいですね。…では失礼して。"ウォーター"」


魔法を唱えると、ロイドの人差し指からちょろちょろと水が流れ出てきた。


「俺達のと全く違う…」

「これが普通ですよ、グレン様。もちろん今は魔力量を極端に抑えていますが、段々増やすと………」


するとちょろちょろと流れていた水が、水道の蛇口をかなり捻った時の様にドポポッと音を立てて湯船の中に落ちて行った。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



双子達が湯船に浸かりロイドと話をしている頃。

自室の何も無い空間からシュッと音が鳴り、そこからノイシュが現れる。

自室側からドアを開け、入口の前で待機していたメイドに声をかけ飲み物を受け取り下がらせる。

テーブルの上に貰った飲み物を置いて、先に濡れた髪や体をタオルで軽く拭き、部屋の中にあるクローゼットから今着ている物と同じ型の服を取り出し着替える。

そして部屋の一角にある洗面台の前に立ち、魔道具であるドライヤーで髪を乾かす。


一通りの身だしなみを整え終わり、貰った飲み物を飲んでいるとドアからコンコンと音がして「入ります」と声がした。

するとメイド長のカルメが部屋に入って来た。


「ノイシュ、戻っていましたか。先程レーナ達に会いまして、今日の訓練の事を聞きました。詳しく教えてください」

「ええ、貴女にもちょうど話したい方がありました」


それから今日の出来事を話し、今後双子達の訓練についてどうするかを話し合っていく。


「………今後は様子を見ながら魔力操作を重点的に行った方が良さそうね」

「そうですね、またすぐに今日みたいな事があっては困りますから…。私も一瞬の事だったので反応に遅れまして………あぁそうそう。レーナ達は各々傘で水がかかるの回避してたんですが…位置的にグレン様ルイン様を助けられる距離にいたはずなんですよ。ですがそれをしなかった、出来なかったのか…今日の出来事は例の無い事ですからレーナ達側からみてどうだったのか、どことなく聞いておいて下さい」


そろそろお2人が上がる頃でしょうか。とカルメとの会話を切り上げてノイシュは浴場へと向かった。


……


先程の話をもう一度聞くためカルメはレーナ達の元へと行く。

浴場がある場所の少し離れた所で待機していたレーナ達を見つけ、近づくにつれて彼女達の会話が聞こえてきた。


「もう___でグ__様ルイン様の_背_を流__所だったのに。ロイ_様は戻って__しまうし、ノイシュ様には飲み物を用意__、時間を稼いだ__…」

「本_、中々こんな美味__イベント無い_よね」

「でもでも、お風呂上が_のお2人をこんな早くか_見られるのも嬉しいわ!」

「「「役得よね〜〜」」」


カルメは彼女達の肩をポンっと後ろから軽く叩く。

ビクッとする彼女達はそろりそろりと後ろを振り返り、「ひっ」と小さな声が出た。


「ねぇ…貴女達。その話もう少し詳しく聞かせてもらえないかしら???」

「か、カルメ様…どうしてここに……いえ!何か御用でしょうか!」

「今、貴女達が、話をしていた内容を、詳しく、教えて欲しいと言ったのですよ???」


にこにこっと笑顔が綺麗なカルメの後ろから何やら黒いオーラが漂っているのがわかる。

「ひえっ」と彼女達から声が漏れる。

その後レーナ達はカルメに連れられて一室の部屋へと入っていった。


そんな光景を遠目から見ていた護衛が1人。

浴場の前で待機していた護衛は耳が良く、メイド達がヒソヒソと話をしていた内容が実は聞こえており、無表情で声には出さなかったがこう思った。



“世の女性達は怖い,,と。




自身の小説情報を見たのですが、この小説に評価などして下さった方がいて…。

ありがとうございます、とても嬉しいです。

ほとんどノープラン…その場で内容を決めてるので進行速度は遅いですが少しずつ書いていけたらと思います。


では、これからも夢の続きをお楽しみ下さい。


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