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第4話 金髪碧眼の美少女は


 しばらく都会をブラブラして、帰ることになった。


「楽しかったですね」


「凜ちゃんはエスコート上手」


「恐縮です」


 慇懃に一礼する。


 それすらサマになるのだから、何をかいわんやの、夢心地。


「ちょ! 離して!」


 帰り道。


 少し入り組んだ街路に入ると、美少女が目についた。


 ついでにおっさんも。


 これが親子なら、わかるだろうけど、その場合は、


「…………」


 モーテルでいがみ合いはしないだろう。


 美少女の方は、本当に綺麗だった。


 金色の髪、鮮やかな。


 顔立ちも整っており、瞳もつぶら。


 ゴスロリの格好をしており、浮世離れ、と評せる。


「陽子さん」


「はいはい」


「これで録画してください」


 凜ちゃんのスマホが渡される。


 動画撮影で、モーテル前の少女とオッサンのいざこざを、録画。


「失礼」


 凜ちゃんは、仲裁に入った。


「何だおまえ?」


「通りすがりの正義の味方です」


 凜ちゃんらしい表明だ。


「援交ですか?」


「違う!」


 おっさんが否定する。


「売春持ちかけられたの! 助けて!」


 金髪の少女が、そう述べた。


「ああ? あれだけ金を使わせておいて、ハイサヨナラは無しだろうが!」


「つまり援交と」


「違うっつってんだろ!」


 いや。


 もう援交以外に見えないし。


「一応録画もしていますけど」


 と私を指差す凜ちゃん。


「警察に動画ごと通報されるのと、穏便に諦めるのを、どうぞ選んでください」


「関係ない奴はすっこんでろ!」


「では百十番を」


 こちらにウィンクする凜ちゃんでした。




 ――中略。




「助かりました」


 金髪の少女が、お礼をしてきました。


 瞳は碧色。


「あまり可愛い格好で歩いていると、ああなりますよ」


 穏やかにたしなめる凜ちゃん。


 私は、傍で話を聞くだけ。


「お金を出させたらしいですけど、本当ですか?」


「パパ活って奴です」


「馬鹿な真似を」


「馬鹿はクソ親父の方」


「期待させたら、それは責任問題ですよ」


「ぐ……」


 呻く乙女でした。


 彼女もパパ活の御様子で。


 私も、若干、凜ちゃんとそのケが。


「送りますよ。家は何処です?」


 ほにゃららら。


「近くですね。それに丁度良い」


 私のマンションの近くだった。


 しかも高級マンション。


 私のマンションも人のこと言えないけど。


 そこは、両親とお兄ちゃんが、稼いでいるので。


「お名前は?」


「黙秘」


「ではその様に」


 殊更、興味もないようだ。


 凜ちゃんらしい。


「そっちもパパ活?」


「いえ。代償行為です」


「?」


 そりゃそうなりますよね。


 凜ちゃんが好きなのは私ではなく、私の背後です。


 お兄ちゃん南無。


「イケメンだね。今度誘ってもいい?」


「興味ござんせんので」


 柔らかな対応。


 イケメン紳士な凜ちゃんでした。


「だから嫌いになれないんだよねぇ」


 退廃的な言葉が、木漏れ出た。


 しばらくしてマンションに着く。


「それでは」


 ペコリ、と、乙女は一礼。


 マンションに吸い込まれていく。


「じゃあ帰りましょうか」


「ですね」


 そう相成った。


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