見上げた先には
階段の上に人がいた 影になってよく顔は見えないが
どうやら本を何冊か手に持っているようだ
「誰だお前は」
窓からの光がまぶしくて手をかざしながら薄目を開けて見ていたので目つきが悪く見えたらしい
「すみません どなたでしょうか?」
と私が答えると相手はため息をついたように見えた
「おれはここの管理をしている者だ 『人に名前を尋ねるときは自分から名乗るものだ』と言いたいところだが おれが先に尋ねたんだったな」
「はい そうですね」
よくわからない相手にすぐに名乗るのは怖かったのだ
「すまんな 俺の名前は・・」