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クズ人間の俺が聖女と呼ばれている  作者: いかや☆きいろ
六章 生と死の炊き出し
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無敵システム

 酔っ払った状態で料理してて指をざっくり切りました。

「やっぱりシェルにだけはちゃんと説明しておかないとダメだって、僕も嫌と言うほど分かったよ」

「当たり前なんだからねっ! 私の胸に剣が生えてるのリアルに想像しろおっ!」

「あ……えっ……いやっ……。あああああっ!」

「いや、流石にリアルに想像しすぎ。って言っても嬉しいけど」

「ごめん、本当にごめん、凄いシーン見せてたね。あの、……平気だったけど」

「普通はそんな人いないっつのーーっ!!」


 本気で怖かったんだから。でもスキルってかなり理不尽なところが有るからね。前にヤーカミに聞いた犬に変身するスキルとかも魔法に比べたら理不尽な現象だよね。錬金術ならなんとか再現できるけど。


「僕のスキルは『雷神』だよ。自分自身も雷の力を得て、雷撃の魔法も威力が上がるんだ。これでダンジョンをクリアしたことも有るんだよ。だからSランクなんだ。このスキルは魔力が有る限り無敵なんだよね」

「洒落にならないレベルで無敵だった……ルートってエルフの中でもハイレベルな私に匹敵するくらい魔力高いよね」

「うーん、雷神を使いまくってたらそうなってた」


 チートがチートを呼ぶ、超チートだった。エルフの魔力は通常で魔導師と言われるレベルだし、更に積み重ねて賢者と呼ばれるレベルになるんだけど、聖女の私の魔力はそれより多い。私もチート入ってるな。だからエルフにされたのかな?


『運命よ』


 そうなの? 誰かが決めた訳でもないんだ。でもその方が安心かも。自分はナチュラルに女の子ってことだもんね。


 ……なんか静かだと思ったらみんな距離を開けてるな。気を使ってくれてるみたい。さっきの光景はみんなにもかなりショックだったみたいだね。でもまあルートだって手の内を明かすわけにはいかないよね。冒険者は奥の手を幾つか持っておくものだってどこかで聞いたこと有るなあ。


 炊き出しに来ていた人たちもやはり被害者はゼロだ。レコとアンセルが中心になって避難誘導と回復をしたらしい。そのうちレコって獣人の聖女とか呼ばれそうだよね。ケモ聖女。


 マヤ王国の人たちは敵の侵入経路を探るために動き出した。夜の炊き出しは中止だろうか?


「ドワーフが酒飲み会を中止するのは世界が終わった時だけ」

「とんでもない酒飲みだな!」


 キスリカ様の発言に思わず素で突っ込んだわ。でもまあ私も楽しみだったんだけどね。おつまみも夜の炊き出しを想定して馬鹿みたいに作ってある。無駄にならないなら良かったよ。


 私はさっきの戦いでルートを失ったかと思った感覚が残っていて、怖いのでルートに寄り添って夜まで過ごす事にした。流石にみんなも文句は言わなかったので幸せを味わおう。マヤでデートする予定だったしね。

 ここからはいちゃいちゃです。


 マヤの王都にはなんか煙があちこちから上がっている。ああ、鍛冶屋も有るけど、温泉が有るみたい。あとでみんなで泊まらないとね。日本では混浴は新しく作れない法律が出来たとか聞いたこと有るけど、この世界なら混浴有るかも。……えへへ、私もむっつりかも。お刺身と日本酒も大量に有るから……、なんと、日本の旅館再現できます! 茶碗蒸しも作ったよ! 銀杏が無いけどね……。あれ好きなのに。

 でも鶏肉とかかまぼこは入れてる。この茶碗蒸しを準備してる時の獣人娘たちは怖かった。出汁の香りってクルよね。


 道に蓙を敷いてアクセサリーを売ってる人を見つけた。なんか魔力付与の出来そうなの無いかな。あれから二つほど新しい指輪を作ってみた。ただ、全部の指輪は使えないので常には左右で四つセットするようにしている。魔法戦とか私がしないとダメな状況ってほぼ敗北してる気がするから。まずは蘇生薬なんだよね。

 エリクサー使わないと作れないからエリクサーが一番。暗黒水とかがついに必要になる。蘇生薬にはユグドラシルの核も必要だ。討伐が必要ならプラムとルートでパーティーを組む事になる。魔王と勇者と聖女のパーティーだ。無敵でしょ?

 と言うかルート一人で無敵だよね~。


「シェルは休むのが下手くそだね」

「うん、やっぱり心配してしまう。何でかな~」

「優しいからだよ」

「優しいのかな…………分からないけど」

「本気で言ってるの? だから聖女様なのかも知れないけど」


 だって私は本心でやりたい事をやってるだけだしな。積みゲーを徹夜でやってしんどいって言ってる感覚なんだよね。私が勝手にしんどいんだ。それで優しいと言えるのかな? 分からない。子供は好きだから助けてるんだしそれも趣味だよね。ん、でもまあ助けてるなら優しいのかな? 私には良く分からないや。ルートには優しくしたいと思ってるけど。

 優しいのも良い事ばかりじゃないよね。人は増長する生き物だ。偉そうな貴族とかそうやって生まれてくるんだから。知恵も力も有るかも知れないけどそれだけで人は特別にはなれない。特別と思われるから特別になるんだ。だから人との関わりは重要だし、外面が重要になる。でも外面だけだと詐欺だから、本心で生きたくなるんだよな。

 まあ私の本心が悪じゃ無いなら、それで良いよね。今日は全部マヤ王国の人たちに丸投げ。ジャスティスだ。丸投げはジャスティスなのかほんとに。あはは。


 アクセサリーの中にけっこう高価そうな宝石のネックレスがあった。露天の割には良い物だ。こう言う鑑定眼は詐欺師の基礎スキルだから良い物なのは間違いない。ジーっと見入っていたらルートが買ってくれた。


「本当は薬指に付ける指輪を贈りたいんだけどね?」

「かかか、買ってください」

「え、あ、う、あの、良いのかな? ちょっと姉さんに相談してからね! 国庫引っくり返すから」

「そこまでするなっ! 流石に傾国とか言われるわっ!」


 国庫ひっくり返すってネタはこの世界の定番なのかも分からないけどルートが言うと洒落にならないよ。

 欲しいけど、指輪欲しいけど、金貨千枚くらいの指輪でも貴族なら普通だって話だし、高額になるかも知れないけど。ララキお姉様は金貨二万枚蓄えが有ると言ってたしね。ルートならSランク冒険者だからもっと持ってるし、それくらいでも十二分に有り難いし、だいたい贈り物って気持ちが大事なんだから、……ぶっちゃけ銀貨数十枚の基礎魔石の指輪でも良いんだよ?


 その、婚約してくれるなら……、ってきゃーっ!






 もうすぐ百話ですね。有り難う御座います。

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