ルートの…………死?
いつも読んでくださり有り難う御座います。ショッキングな展開が有りますのでご注意下さい。
つか、炊き出しですから。ラジク王様もヨドミちゃんも来てるけどさっきからずっと苦笑してるからね? 有る意味ではキスリカ様の接待だけど。
子供たちが食べられないとか意味が無いとまでは言わんけどね? そこがメインなのになんで昼食会になってるのか……。
ちゃんとこの町で奇跡のシチュー振る舞うよ。今日のはキノコと魚、ブロッコリーも美味しい魚のシチューだよ。奇跡効果は今回は欠損回復、上級浄化、疲労回復のトリプルで行こうかな。
何度か試してるけど効果が高まるのはトリプルまでが限界っぽい。それ以上は効果が薄くなるんだよね。魔力と術式のバランスを最大に保つのがトリプルらしい。実験は続けるけど一通りは試せたと思う?
そんな訳で子供たちに美味しいー、シチューをふるまうよっ!
えへへ、ルートも手伝ってくれるし、いちゃいちゃするとロコちゃんもリカちゃんも怒るけど、本気じゃ無いのは分かってるし。いちゃいちゃしちゃおー!
「ルート、味見」
「うんっ! んっ、んー!」
「えへへ、ルートは美味しそうに食べてくれるよね」
やっぱりルートといちゃつくのは一炊き出しに一セットは入れたいよね!
「シェル、良い度胸ね」
「どうせ私たちは政略結婚ですわ……」
「すまきー」
「えっ、えっ、どうしたの三人とも、怖いよッ? くふっ」
「なんでちょっと笑いましたのっ!」
「しぇぇえーるううううっ!」
「すまっっきゃーっッ!」
すまっきゃーって何? やっぱりいちゃいちゃしすぎたらだめー?
三人娘に追い掛け回されるが料理しないとね。
ホワイトソースに魔力を加えながらぐーるぐーる。寸胴は大きな長いしゃもじみたいなもので混ぜてます。焦げ付かないように管理はありすちゃんやヨドミちゃんに任せる。この二人は縁の下の力持ちと言うか、影の仕事が得意なんだよね。何故か。忍者を使ってるからかな?
食材を順番に適切に火入れしていく。あ、ホワイトソースの鍋にこの具材を入れてからも具材にずっと火が入るからちゃんと仕上がりを計算しよう。先を読むのは料理の基本だよね。難しいけどね。下味の塩味と仕上げの塩味を足して良い味にするのは最早勘の世界だけど。この料理勘を得るまでにどれ程料理を作ったか……。
食材の量と仕上がりの具合を予測して、体積辺りの塩分量を調えるんだよね。……炊き出しの寸胴鍋で分かるかっ!
なので味見は大切なのです。……ん、一回で成功するようになったなー。もう炊き出しのプロだね。ルートと間接キス。今さらだけどね。
子供たちがたくさん食べて笑顔に。お年寄りもたくさん食べて…………また乱取り始めたよ…………修羅の国はサンテドールだけではなかったのね。世界規模の戦争が有ったみたいだ。復活した兵士たちや冒険者たちも指導を受けているし。明日動けなくなるって。魔力が残ってる限り命が沸き上がってくるような味だし欠損を回復した分はずっと治ったままだけど、この回復効果は永遠には続かないんだからね?
炊き出しがそろそろ終わりと言う頃になって、なんか見たこと有るような服装の兵士がたくさんやってきた。
マヤの騎士には見えない。
背中にぞわっと悪寒が走る。こいつら、皇帝と同じ服を着てる!
キルレオンの尖兵だっ!
なんでマヤにいるの?!
「かかかっ、この国の守りも大した事はなかったな」
「皇帝陛下ならばこの程度の守り、スカスカの破れ網も同然よ!」
「我らは進化せし邪骸兵、邪骸騎士!」
「かかかっ、覚悟せよ、聖女! お前は皇帝陛下への捧げ物であるッ!!」
うわあ……。皇帝陛下とか言っちゃうし。末端が首謀者明かしてどうするの? こいつらアホなのかな。負けないとか思ってる? 今まで何回ザコとしてやられたの? 記憶力無いから分からないか……。
でも、邪骸騎士……。ひょっとして、強い?
「シェル、怯えなくても大丈夫だよ? あんなのに僕負けないし。シェルは結界で身を守っててね!」
「相手の強さが分かるの?」
「分かんないけど、剣聖はいなさそうだよね」
「ん? どういう」
私が言いかけるとルートは一瞬で消える。そして雷撃の轟音。
「なんだ、やっぱりザコじゃん」
ルートは敵の一体をワンパンチでミンチにしていた。
「な、はああああっ?!」
「わ、我らは前回の戦闘を参考にして最終イワコ並の防御力を誇っておるのだぞっ! 前回全力を尽くした貴様に倒せるはずが……」
「僕、全力尽くした? そんなこと言ったかな?」
「はあああああああっ?!」
キャー! ルート格好いいーーーっっっ! 前回のあれ、ぜんぜん全力じゃなかったんだ! …………全力だったら聖女砲要らなかったの? ちょっとルートおおっ! あ、ルートはハーフリングだから私のハーフリングの呪いに関係有るのかな? 皆に聖女と呼ばせるためとか? いや、チャージしちゃったから見せ場作ってくれただけだよね。
おっと、結界結界。
「シェルー、大丈夫だよ? こいつらくらい雑魚だから」
「きゃーーーっ! 格好いいルートー!」
「シェル、それだとミーハーなファンだよ……」
「逆上せ上がってますわね……」
「すまきー……」
良いんだよ、だってルート格好いいんだもん。うん、ハーフリングの呪いもどうでも良いや。
ん、でもあれ? こいつらも死んだらくっつくの?
だんだんルートが敵を倒すペースが落ちてくる。
相手の防御力が上がり、攻撃力、スピードも上がってきた。まだまだぜんぜん余裕そうではあるけど……。しかし素手で凄いね。一応帯剣してるのでまだ本気では無さそうだし……。
「割とやるね」
「くくくっ、くかーっかっかっか! それで全力か、王弟ルートよ! 我らは一体が合体する度に戦闘力が一体分増える! 今までの邪骸兵とは違うのだッ!」
自分の力の解説って、負けフラグでしょ。ルート勝った?
あ、これも負けフラグ……。
「超合体! 邪骸騎士アルファ!」
「んん?」
突然残った全ての邪骸騎士と名乗るキルレオンの騎士たちが一度に合体する。超合体って……。
突然に速くなった動き。ルートはそれに反応出来ずに…………!?
その時、ルートの背中の真ん中から、剣が生えていた。




