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クズ人間の俺が聖女と呼ばれている  作者: いかや☆きいろ
一章 クズ人間は聖女と呼ばれる
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魚が無いなら釣ればいいじゃない

 さて、家に帰って少し腹拵えしたら早速指輪の加工を考えてみよう。

 ……駄目だ、さっきのガキ共がラウネーズにもらった煮込みを嬉しそうに食ってた顔がちらつきやがる。


 貧しい人には魚を与えるんじゃなく、魚の獲り方を教えろ、とか言った人がいるが、その場で死にかけてるんだから魚だってくれてやれよ、と思うよな。自分が飢えてるならともかく。

 そう言う訳であいつらに、ガキ共になんか稼ぎを与えてやりたい。そんで炊き出しもしたい。この指輪にそのための力を込めたい。何が良いだろう。


 まずは二つだが、これは流石にクシワク婆様の好意なので自分の身を守るための結界と身体強化に回そうと思う。あと二つは……。氷を作るのと火を起こすのに使おう。それなら攻撃も出来るし飯も潤う。野宿だって出来るし。

 鉈とかナイフとか釣具とか買い集めて……よし、まずは魔石の指輪を加工だ。しばらくはガキ共にも一日一回の炊き出しで我慢してもらおう。


「やるぞ、ラウネーズ!」

『やるねー!』

『つくるねー!』

『ほう、魔石の加工か。それならば妾の得意ジャンルである。我が力を惜しみ無く使うが良い』

『あるらうねー……』


 だからそこに割り込むなよプラム。しかもヤクルの後ろからまるでヤクルが喋っているように声を出すのは完全にわざとらしい。


 おーおーヤクルは悪くないからな~。悪いのはあのエルダードリアード(ただ飯食らい)だから!

 ヤクルをなでていると何故かヤクラとヤクリまで駆け寄ってきてしくしく泣く。あれか、プラム()のイビりが耐えられないのか。どちらかと言えばラウネーズがイビってる方だが奴が役立たずだから仕方ないな。


『主が優しくない……』

「働け」


 俺自身が言えるほどの働き者では無いが、こいつはただ飯食らいだからな。厳しく行こう。なんかこいつラウネーズに本格的に嫌われ始めたし。あのあるらうねーには彼女たちの並々ならぬ想いが込められているに違いない。たぶん。


 まあ魔石の加工を手伝ってくれるのは有り難いか。まずは結界にはボーン草が必要みたいだ。それと四つの精霊水を混ぜ合わせた世界精霊水。効果を発揮し安定させる虹色の塩。うわー、知らん。


 読み返して一個ずつ探して何日かかけて作っていくことにする。その間に炊き出しもやった。


 ラウネーズに世界水を混ぜさせて岩塩とブルーリーフ塩、レッドリーフ塩とクミンを混ぜる。なんか美味そうだ。そこに魔法水溶液、これは世界精霊水で代用できた、を混ぜて乾燥させて固めた上で薬研などで細かく砕くと出来上がり……めんどくせえ! 一つの材料でこれなのにこんなのをあと三つも作るのか?

 まあやるしか無いな。


「プラム、この辺りに海か湖は無い?」

『イレキ湖が有るぞ。西の平原を少し行ったところで、鱒なんかがよく泳いでる』

「良いじゃん」


 魚が無いなら釣ればいいじゃない、と思ってな。マリーと呼んでくれ。シェルだけど。実はあのセリフマリーさんは言ってないらしいけどな。私は錬金術師マリ……誰か来た。


「ちょっと危険なヤーカミです!」

「帰れ」

「ちょーっ! スルメ持って来たんですよ~!」

「なに、酒は?」

「当然シェルさんのご注文通り、ライムと炭酸水と火酒でしたね」


 あんのか炭酸水。まあ錬金術のレシピに炭酸使うのがいくつか有ったから有るとは思ったが。

 これは晩酌して鋭気を養えと言う事だろう! 間違いない!

 適当に指輪強化を進めつつ晩飯の用意もする。俺は晩酌するからラウネーズ用にオムレツを焼いてやる。俺特製ジャガイモオムレツな。ジャガイモを微塵切りにして弱火で火を通したら水と塩、豚ミンチと茄子微塵切りでじんわり炒めて胡椒を振ってから卵を入れてオムレツにする。トマトが有るからケチャップも作れるしな。皮を剥いたトマト微塵切りをじっくり煮込んで塩と砂糖と胡椒、バジル、リンゴ酢とかで味を調える。トマトって小麦粉とか入れなくてもなんかとろとろになるよな。不思議だ。ケチャップは余分に作っとこう。


 俺はスルメを炙って晩酌だ。その前に風呂に入って暖かいカーディガン羽織っとこう。春だがまだ夜は寒い。昔六月に夜営した事があるが寒すぎて死ぬかと思った。八月でも少し冷えること有るし、夜営はなかなかやってみないと分からない事が多い。虫とか光に寄ってくる奴じゃなきゃ意外と入って来ないし。あれは虫除けが効いてたのかも知れないけど。


 指輪強化の最後の漬け込みが一晩くらいかかるらしく、プラムに管理を任せて俺は晩酌だ。アルコール度数の高い火酒にライムを絞り込み、冷たい炭酸水で割る。……くうぅ~! やはりこれですなあ。


 ちなみにサンテドールの法律だと十五才から飲める。ラウネーズは……あいつらはいくつだ? 腹一杯になったのか寝てるが。プラムが物欲しそうにしてるので一杯くれてやる。

 エイヒレとかも有れば良かったか。スルメは硬いが熱々の裂けるのをくれてやる。火傷したらしい。わはは。


『主殿の酒は美味いな。意地は悪いが』

「悪かったって」


 それにしてもこの植物と話すスキルは地味だが物凄くチートだよな。こいつらが居てくれてどれ程助けになってるか分からん。ラウネーズやこいつが良い奴過ぎるだけかも知れないが。植物だから穏やかなんだろうか?

 星の女神は今夜も俺を守ってくれるらしい。






 今更ですけど適当に名前つけるの凄く楽しいです。ミカーヤさんはほんとは酒屋さんですけど。御用聞きって来たこと無いですよね。

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