初デート!
シェルがどんどんアホの子に。
ううう、朝が来た。私は現在イセイス公爵家私室にいます。天蓋付きベッドで目を醒ますとかどこのお嬢様かと思うよね。イセイス公爵家のお嬢様です。…………お嬢様なんかーい。お嬢様ですね。
…………ルートに骨抜きにされたのですっかり女の子だ。駄目になりそう。駄目にされても良いや。
あうう、なんでこんなに女の子なのか。魂に性別がないって本当なんだな。うぐぐ、でもやっぱり男言葉だ。
くう、なんなんだ。俺は男だーとか今更言えないな。もう女の子です。ただの男っぽい女の子になってるな。僅か四ヶ月で前世の状態をほぼ忘れきってるのがね。もっと女の子らしくなりたいとさえ思ってる。
でもさ、好意を向けられたらそれに対して変化するんだよな、人間って。ただ性別が変わった事に順応しきる自分の価値観もおかしい気はする。
でも逆にグダグダ男だったのにって言う自分も有り得ない。すっぱり切り替えるタイプなんだよね。諦めが良すぎると言うか。まあ仲間を傷つけられそうになったら絶対諦めないんだけど。そんな話ではないか。
ルートとデート~。ふうーっ! 頭がバカだ。困っちゃうな。昔のことは思い出せなくなってきたけど、今が大事だからなんだろうな。と言うかこんなにバカになったこと有るのかな? 異常にバカだ。でも好きすぎて止まれない。
メイドの皆さん、イセイス公爵家、チーダ公爵家、ドルーシ伯爵家連合チームが私の外見をいつも以上に整えてくれる。ってなんで高位貴族が三つもタッグ組んでんの?! 聖女専属メイド部隊を結成したって?! 各家の許しは得てる? 派遣社員みたいな事?
まあそう言う訳でメイド隊に今日は詐欺にならないナチュラルメイクにしてもらった。ルートに詐欺なんて少しでもしたくないよね。まあ無意識に詐欺ってしまうのが私だが。外面気にしすぎなんだろうね。ルートは外面の事なんとも言わないけど、王族だからこれくらいの外面整えてる貴族は山のように見てるんだろうな。でも私を可愛いって言ってくれるんだよ。嬉しいね。
なんで可愛いって言われるのが嬉しいのか分からないけどめちゃ嬉しいです。そっか、自分を見てくれてると思うから嬉しいんだな。男でも同じか。好きな子に格好良いって言われたら嬉しいよね?
まあいいや、ルートなら本当の私を見てくれるもん。子供好きでだらしなくて人との付き合いには疲れてて、でも見捨てられない。小心で臆病で惰弱で、そうだね、三つも重ねても表現できてないくらい心が弱い。本当はクズ人間で……。
でも今はルート好き好き人間です! ちなみにメイドさんたちには何故か今日ルートとデートする事がバレバレであった。マジこの人たちニンジャでしょ。つか、この三家にはもう伝わってるんだろうな。ルートと恋人になったこと。
聖女様のスキャンダルとかはやはり洒落にならないんだろうな。大丈夫、今世は浮気しない。と言うかルート好き以外考えてない。好きー!
すっかりアホの子である。このままルートに会ったらそれで心臓爆発して三度目の転生しそう。それはやだ。まあしないと思うけど、それくらいもうドキドキしてるんだよ。
待ち合わせ場所はルートの家、つまり、お城だね。テレポーター踏むのを躊躇ってしまう。行き違いになったらどうしようとか思ってしまう。待ってるよね? 待っててくれてるんだ……。
っていちいち舞い上がってたら時間がなくなる! 私の思いを書ききるには余白が足りない! えいっ、私のルートのところへテレポート!
次の瞬間に視界が切り替わり衛兵さんと遭遇。いや、衛兵さん悪くないのに凄いガッカリしてしまった。衛兵さんも困ってるよ! すみません衛兵さんは悪く有りません! ただ顔真っ赤なのは見られただろうな。期待しすぎて。恥ずかし。
「シェル!」
「あ、ルートぉ!」
うわ、凄い甘えた声出た。乙女だな、もう恥ずかしいけどどうしようもなく乙女だ。ルートに女にされたのだ。今日もかっこかわいい。小さくても服装はビシッとしてるし髪とかきっちり調ってるし。ショートでさっぱりしてるだけだけど。ルートだから良く見えてしまってるのかな?
いきなりぎゅってされた。衛兵さんは見てない振りしてくれたのでそのまま抱き返す。この温もり絶対逃がさない、そんな気持ちを込めてぎゅうーっと。
うおお、なんかルートと会うだけで凄い時間が過ぎた気がする。濃密過ぎる。ここから時間の経過を感じなくなるのかも知れないけど。終わったらあっと言う間って有るよね、楽しい休日は特にそうだ。
ルートと一日……一日とかもったいないな。百日くらいデートしたい。こんなに恋したのいつ以来だろう?
ルートあったかいなー。私の胸で気持ちいいかな? もう少し有った方がルート好きかな? 小さい方が好きかな? まさか聞けないな。聞くか。
「る、ルートはその……」
「うん?」
「む、胸は大きい方が好き?」
「んー、普通かなあ。あ、また胸に顔埋めてごめんね」
「あ、謝るなよ。良いに決まってるだろ……もっとして良いよ」
あ、でもルートも真っ赤だし、衛兵さんが部屋から逃げたのでこの辺りでキンノ町に転移しよう。いや、バカップルは周り見ないから迷惑この上無いね。本当すみません。やめるつもりないけど。
暖かい。暑いのにぜんぜん平気なんだよな。不思議だ。
うざがられそうだけど、ルート好きが止まらない。
この章はいちゃいちゃで終わります。デートが続きます。




