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イカサ、ウトリ王都で炊き出し

 和食を振る舞ってみます。

 いつも通り貴族から炊き出しかと思ったら普通に町で炊き出しだった。貴族と住民の距離が異常に近いためだ。治安も良いのだろう。こんなとこは日本風なんだな。

 リナトでは風光明媚な湖で炊き出ししたけど、ウトリでは港で炊き出しだ。ウトリの兵士たちが住民の中で体を壊してる人を連れてきている。こう言う風潮は良いよな。自衛隊が救助活動するような感じだろう。

 確実に日本人転生者がいたんだろうけど、今もいるのかな? ここの人なら料理は得意なんじゃ無いだろうか。まあさすがに錬金術料理は出来まい。


 さて、何を作るかな。横を見るとルートがニコニコしてる。なんか食べたいの有る?


「シェルのシチュー」

「暑いだろ」

「んじゃ、冷たい辛いパスタで」

「それにするか」


 ちなみに中華麺もゲットした。ナイス転生者。

 ん、って事で、折角なのでつけ麺にする。タレを作るのにコツがいるんだよな。粉末出汁が無いから鰹節を山盛り、醤油とみりんからアルコールを飛ばしたものに入れる。水は少しで良い。沸騰させないように熱したら濾して冷ます。胡麻油や一味なんかで味を調えて、うん、しょっぱいけど美味い。辛味も良い感じ。花椒は無かった。あれが有ればラー油作れるし麻婆もなんちゃって麻婆だけど作れるのに。

 タレにポーションを加えて奇跡のタレの出来上がりだ。つけ出汁だから薄まらないように配分は少な目だけど効果は出たな。麺の方も茹でながら魔力込めておこう。

 どうせなら奇跡の味噌汁も作ってみるか。出汁をとって、みりんを少し使い、具はワカメとか豆腐、ネギのベーシックな奴だ。

 ここにポーション投入。うん、初めからこれで良かったよな。まあ味が良くなるから良いんだけど。


「ルート、どう?」

「つけ麺って言ったっけ、面白いね! パスタでも出来そう」

「あー、つけパスタか。オリーブオイル使って白ワインとか魚卵とか使えばたらこつけパスタになるかも?」


 料理の幅が広がるなあ。ラウネーズにも食わせてやろう。海苔も手に入れたし。ご飯も有るんだから丼メニュー作ろう。カレーライスも遂に出来るな。


 町の人々の欠損や病を癒していく。やはり感謝はされるよな。ガキ共も寄ってきてお姉ちゃんと呼んでくれるようになったし。聖女様とは呼ばないで。なんか中身クズなのに申し訳ないから。


 しかしガキだけはどこに行っても変わらないね。子供がいる世界なら何処でも行きたいな。


 次の炊き出しの為にキンノに戻って準備しよう。夜はウトリ王都だな。テレポーターを使って帰ったのだがラクサさんも付いてきた。なんか料理の手解きをして欲しいらしい。

 手解きするほどの腕じゃないけど基本は教えられるかな。


 まず食材は小さめに切る。大きく切る場合は火を均一に入れるのが難しくなるからまずは小さく切るのから始めないと、多分火が入ってないジャガイモとかかじるはめになる。

 大きいジャガイモをホクホクしたい気持ちは分かるんだけど、それは慣れてからだ。火を入れる順番を覚えないと火が入りすぎた肉とか火が入ってない根菜をかじることになる。この辺りが基本だよな。

 包丁は野菜は押し切りだけど柔らかいものは引き切りだ。力を入れないと駄目なものは押し切りの方が楽に切れる。丁寧に切りたい物は引き切りだな。刺身とか引くって言うよな。


 火の入れ方は基本弱火なんだけど、煮物は強火だ。中華も火力って言うけど最近は弱火で作る事も有るようだ。料理は進んでるんだな。自分のやり方が時代遅れになってたりするよな。常に勉強しないと。


 ラクサさんにも研究すると良いよ、と、お茶を濁しておいた。まあ最前線で包丁を振るってるシェフみたいな物は作れないよな。

 丼なら何を作るかな~。炊き出しの性質上上にかける物になるけど、汁っぽい丼嫌いなんだよな。親子丼とか牛丼でも汁無しが好きだ。白飯が美味く食えるからな。

 しかし奇跡のスープには汁が必要だ。どうしたら美味く作れるかな~。とりあえずご飯炊こう。

 やっぱりパエリアやリゾットみたいなのが炊き出しはやり易そうだな~。デカい浅めの鍋が欲しい。うーん、ご飯物の炊き出しって日本だったら白飯と味噌汁でも良いんだけど、こっちの世界の人も日本人みたいに口内調理なんて出来ないんだよな。あれが出来ないと白飯は食えない。

 あらかじめゆかり飯にしてステーキ丼とかも有るけど、やっぱりある程度汁が有る方が良いのかな~。

 いくらか種類を揃えるのも手だけど……。それは作業量が増えるからな。無理だ。


「悩んでるね、シェル」

「うーん、ルート、一品作るから食べてみてくれる?」

「良いよ!」


 物は試しだよな。汁の少な目の親子丼作ってみよう。みりん、醤油、出し汁で玉ねぎと鶏肉を煮詰めて、最後に卵を注ぎ込み、トロトロ感が残るうちにご飯にかける。白髪ネギもちょろっと添えとこう。箸は使えないだろうからスプーンだ。ある程度箸を使う文化は入ってきてるんだけどな。


「少し混ぜつつ食べる感じで食べてみて。白ご飯だけだと多分味が分からないと思うから」

「うん、いただきます!」


 ルートが食べてるうちにアンセルやカナイ、獣人たちやラクサさん、ラウネーズ、プラムのを作っていく。材料はみんなに切らせて私は火入れだけだ。最近は包丁をあまり振るってないな。仕事してるガキ共の分も作ってやらないとな。


「うん、濃い味付けだけどご飯と一緒に食べるとちょうど良い! 美味しい!」

「良かった、通じたか」

「こんな料理何処で覚えたの?」

「えーと、遠い遠い国で」

「そうなんだ」


 突っ込まれたく無いのは理解してくれたみたいだな。ルートも王族だから空気作ったり読んだりは得意なんだな。優しいけど、やっぱりルートも大人なんだ。

 ……人嫌いを治さないと恋も出来ないよな…………。ルートが治してくれないかね?






 西洋でも和食の是非が問われるので、異世界では相当難しいと思います。

 丼は私は汁無し派ですね。白ご飯の美味しさを味わいたいのです。

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