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怖い話は置いといて

 飲み回の続きです。

 一瞬凍りついた場も暫くして元に戻った。

 誘拐と言えば、と始めたヤーカミが行商に行った先で拾った犬がスキルで変身した女の子で危うく誘拐するところだったけど変身を解いた彼女にひっぱたかれた話がどっと受けて、そこからは和やかな流れに戻った。いや、ヤーカミは優秀な商人だわ。


 子犬を見つけて、売り物のミルクをホットミルクにして与えたら飲んだので抱きかかえたら気に触ったらしく、変身を解いてひっぱたいてきたらしい。ミルク代請求しようかと思った、だそうだ。女の子たち大爆笑。私も笑ってしまった。それで本当に請求したらもう一回ひっぱたかれそうだよな。


 ヤーカミのこう言う話はどこか盛ってるんだろうけどな。以前は隣で釣りをしてた女性が美人で同じ魚を狙っていたので話が弾んで、その後泊まった宿に魚を卸そうとしたらそこの娘さんが先の美人で結局買い叩かれたとか。


 そこで売らなきゃいい話だから多分そこは盛ってるんだろうなと思うけど、ヤーカミの話し方が上手いので笑える。私も会話は得意な方だけどヤーカミには負けるな。落語家かと思ってしまう。やっぱり前世で座布団運んでたりしてない?


 ヤーカミの話も面白いけど意外にダツヤナ村長の話も面白い。父親と母親が冒険者だったので若い頃に無理矢理冒険に叩き出されて、そしたら自分の村が実は異常に強い村人ばかりだったので自分の基準がおかしくて周りから尊敬されたり騎士に誘われたりしたらしく、それを壮大な冒険譚として語るので思わず話に引き込まれた。クシワク婆様がニヤニヤしてたのでこっちも話を盛ってるんだろうけど、話が上手い人は凄いな~。

 ちなみにここで感心しすぎたのが後で恥ずかしい話になるのだが、それはまた後日。


 この日はひたすら話の上手い人たちに感心していた日だった。お酒も進む。

 いつの間にか飲み直してたルチオ君とルートに絡まれたけど、お酒の席の告白はノーカウントです、と言っておいた。ルートには告白はされてないけどね……。


 ちなみにルエモお母様も話が上手かった。ただこっちはシンクお父様との壮大なラブストーリーなので、女の子たちはララキお姉様までキャーキャー言ってたけど私は顔を熱くするばかりだった。ヤバい、なんか初心な女の子になってるな私。他の子ってこう言う話は平気なんだな~。

 元浮気男が初心って。突っ込まれそうだよな。でも純愛の話って素面じゃ聞いてられなくない? 私だけか? つか今素面じゃないけど聞いてられない。

 だんだん自分の感覚が歪んでるのか正常なのか分からなくなってきた。前の記憶もどんどん薄れていく。と言うか今の人生が濃すぎる。まだ一年も経ってないんだぞ?


 そう言えばララキお姉様も婚約者いるんだろうか? 公爵令嬢だもんな。恋愛話には興味有るみたいだけど、貴族のご令嬢は恋愛なんてほぼ出来ないから逆にみんなそう言う話に興味が有るのかもな。こっちに話を向けられないのは助かるけど、なんかみんなの中では私とルートの仲はもうすでに公認になっているっぽい。

 まだぜんぜんその手の話はしていないんだけどな。


 まあ向こうも立場が有るし、私も忙しいしでそう言う方向に進みにくいのは間違いないんだけど、それにまだ私は自分の抱えてる秘密を話していない。


 アンセルは気付いただろうか? 私はアンセルに斬り殺された事は言った。勢いで言ってしまったんだよな。あれからアプローチが減ったことを思うと気付いた可能性も有るのかな、とは思ってる。

 ただ相変わらず優しくされてるけど。


 この場ではルエモお母様が自分からシンクお父様の背中にアタックして二人で湖に落ちた話になっていた。隣ではヤーカミの話も盛り上がっていて宴もたけなわと言った感じだ。

 私は隣に座ってる小さなルートが気になっている。頭と心がカオスだ。どうしたら良いんだろうね?


 若干混乱しているとお父様が鮫に食われそうになってルエモお母様の必殺閃光魔法が炸裂したお話になっている。お母様のネタが実に多いな。やはり見た目より年が…………ちらっと考えただけなのに察知されて鋭い眼光が飛んできた!

 まあお父様と同い年らしいからな。お父様はムドヨ公よりは若いらしいよ。…………ルエモお母様も若いんだよ、うん。何故考えを察知されるの? 私もそのうちそんなスキルを授かるのだろうか。エルフだしな。


 ルエモお母様の話が少しエッチな方向に進んできたので私は顔を熱くしてうつむく。だって女の子の集まってるテーブルで小さな女の子にしか見えないルエモお母様のエッチな話を聞かされたら悶えるでしょ。ルートだって居心地悪そうになってるよ。

 で、モジモジしてるとお母様に水を向けられた。


「シェルちゃんはそう言うことしたい相手とかいないのかな~?」

「いいいい、いませんよっ! まだ、そう言う、それは、考えてません!」

「そう言うところは聖女様だよね~。マキシちゃんみたいにエッチなのも考え物だけど~」


 あれは頭がおかしいから比べられても困る。しかし、そう言えばこの体になって自分で触ったりあんまりしてないんだよな。そう言う欲がスルッと無くなってしまった感じだ。

 でもいずれするなら予行演習は必要だろうか…………? この家、人が多いから声が漏れそうで困るし、公爵家の方でやるか? なんかお母様にバレそうだからそっちも怖いな。……ま、まあそう言うのはその時で良いか。うん。

 もー、めっちゃ顔熱い! 髪も目も赤いのに頭が全部真っ赤になってそう。






シェル「エッチな話が無理になってるな~。今更なのに……」

マキシ「次回からは性女様があんなことしたりこんなことしたりが始まりますわ!」

シェル「聖女の字、絶対違うだろ! ウトリ行ったり炊き出しでサムライパフォーマンス見たりだよ!」

簀巻き「すまっき~……」




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