錬金術研究所で
読んでくださり有り難う御座います!
「ようこそシェルさん、ここが我が国が誇る錬金術研究所です!」
「おおっ!」
モト君に案内されて錬金術研究所に辿り着いた。いやあ、普通にゴーレムが蠢いてます。仕事してるゴーレムが多数。ここは未来都市ですか?
そこかしこで白衣の研究員が歩き回っている。モト君が一人を捕まえて話してるけど、どうやら案内役を呼び出したようだ。
しばらく待つと案内役の人が現れた。
「聖女様、よくぞお越しくださいました。こちらの全ての知識を聖女様にご覧いただきましょう。聖女様の教えも是非お受けしたいですな!」
案内役の人はめちゃ興奮してたがこちらを見下してる感じはしない。やはり奇跡のスープが凄すぎるんだろうな。私もあれは凄いと思うし。
「こちらの研究者はみんなそれぞれのジャンルを決めて研究しております。錬金術料理研究家もおりますし、キノコ研究家、魚研究家、肉研究家等もおります。それぞれ錬金術ですので普通の手法では研究していないのですが。あはは」
「肉研究家だけは近づけないで下さい」
肉専門家三人目とか本当に人類まで狩られそうだからな! ユサたちは錬金術に興味ないから来てないのが幸いだ。ルートとかアンセル、カナイは来てるけど。カナイもあれで割と錬金術出来るらしい。まあエルフだからな。
しかし本当にいろんなジャンルがあるんだな。鉱物研究も液体研究もあるし、ジャンルと言っても細かい区分まであり、共同研究も行われてるみたいだな。
機械もあるし、本当にここは未来都市だよ。リナトはうちの国より進んでるな。
まあだからこそ学園があるんだけど。
モト君も色々詳しくて説明が面白い。
有名な話だけどヨーロッパのある王様は自分が改良に協力した処刑機具で首を落とされたらしい。それはつまり王様さえ研究者だったって事だ。知られているかも知れないが、日本だってトップクラスの人が研究してたりするからな。
王族は優秀な血が集まるからそう言った研究に手を出したりする人もいるんだ。仕事は出来る人がするべきだしな。
色々な研究を見せてもらって有用そうな事をメモに取る。錬金術料理研究家の人は女の人だったが私に抱き付いてきて号泣した。錬金術料理研究は私が現れるまで不遇だったらしい。今や研究の一大勢力にのしあがったそうな。知らないとこまで影響し始めたみたいだな。あんまり仰がれるのは辛い。友達みたいに接して欲しいよな。王様じゃないんだし。
とりあえず奇跡のスープの研究は取り付けた。簡単なレシピと恐らく料理にポーションと同質の魔力を込める必要が有ることを説明した。ノーマルポーションスープから試してみるらしい。
王様も実は辛いんだろうな。普通は直に家臣でも宰相レベルじゃないと話したり出来ないし馬鹿だとみんなに下に見られるし、でも国を動かしてるのは一人じゃないんだから王様は馬鹿でも良いと思うんだ。暴君でなければだけど。立憲君主制も有りだよな。この星だと珍しいけど。リナトみたいな進んだ国でも普通の王政のままだ。まああんまり暗君も暴君もいないから良いけど。
キルレオンの皇帝は自国民を実験に使ってるクズだ。あいつみたいな王族がいるから王政が駄目って言われるんだよな。実際はしっかり教育を受けた王様に支配してもらった方が楽なのに。判断も素早いしさ。
権力欲とかに取りつかれたらろくな事はない。私の場合仰がれるのは辛いからそんな欲はない。自由に炊き出しする権限だけ有れば良い。
錬金術料理研究家の人には一緒に料理研究する約束を取り付けた。シメナ=イマウさんと言う伯爵令嬢だった。彼女のお姉さんのクニナさんが肉専門家らしいので出来るだけ避けよう。フラグ立ててるだけの気もするが。
料理やポーション以外のゴーレムとか、錬金術の目的とも言える金属精製の方も見せてもらう。本来の錬金術の目的は金の精製、錬成だもんな。こっち方面は全然だわ。オリハルコンとかアダマントとかヒヒイロカネとか、作れるなら作ってみたいけど多分こっちは手を出さないな。
凄い高熱を発するアタノールでインゴットを精製しているのを見守る。熱いのになんか目が離せなくなるんだよな、炎って。作業してる人も夏だから大変そうだ。触れたら火傷じゃ済まないし。奇跡のスープの出番だね。
切り上げてゴーレムの方も見せてもらう。ホムンクルスは流石に作られてないみたいだな。
最初に見せられたゴーレムは物凄い小さい、基本的な歩くとかの命令しか受け付けないレベルの物だった。術式研究は進んでないなあ。まあ命令の書き込みが難しいのは分かる。
単純な戦闘をさせるのにどれだけプログラムが必要か。ロボットを作ってみたら分かるはずだ。敵の判定とか難しいよな。
精霊を宿して口頭で命令した方が良い出来になるそうで、そっちはここに来て最初に見た奴と同じでかなりレベルが高い動きを見せてくれた。アクロバットだな。逆立ちしたりバク転したりしてる。
私の作るゴーレムもこっち方面だな。一から術式研究する時間無いもん。しかし精霊のつてがない。
エリクサーや蘇生薬の研究はされていたが、手に入らない素材が多いため、素材をダウングレードして良い物を作る研究が主体だった。結果として欠損回復薬がやっと作れるかな、くらいらしい。Aランク素材がほぼ無料の私がチート過ぎるんだよな。今ある素材で蘇生薬とか作れないか試してみよう。
なんか蘇生薬作れないといつか後悔する日が来るような気がするんだよな。この世界安全な世界じゃないし。
大切な人が、例えばキンノ町の人が誰か亡くなったら……。クシワクの婆様とかが寿命で亡くなるのは仕方ないとしても、若い子供たちだって魔物に襲われて亡くなるかも分からないんだし、蘇生薬は欲しいな。
ただ、若返りの薬と同じで災いを呼びそうなんだけどね。高レベルの薬はなるべく秘匿しなくちゃな。もはや手遅れな気もするけど。
精霊とのつては有るんですけどね。シェルはちょっと勘違いしています。
そして相変わらずフラグを立ててます。




