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クズ人間の俺が聖女と呼ばれている  作者: いかや☆きいろ
四章 勇気の炊き出し
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ユサの友達(ユサ視点)

 三話更新、三話目です。ついに簀巻き語の秘密が明らかに?

 私の友達と言えば簀巻きに異国の王女キスリカだろう。たまたま会う機会があったのだがその時出会い頭にがっしりと握手をした。一目見ただけで同士と分かったからな。……血の臭いがしたと言うか?

 シェルには秘密だ。また一つ森から獣が消え去ったからな。二人で狩ると早かった。シェル式焼き肉を二人で楽しんだが残った肉は泣く泣くギルドに売ったぞ。

 だが肉は良い。実に。


 何やら最近イルとレコはオスの話ばかりしているが私はオスはあまり興味は無いかな。

 そもそも兎獣人は性欲が強い種族のはずなのだが私はどうもそれが食欲に転化しているらしい。愛よりも肉だ。シェルが調理した野菜なら食べる。だがサラダ、お前は駄目だ。後、付け合わせに野菜を盛るのも止めてくれ。

 シェルは健康を考えてくれているのだとは思うが…………。シチューやスープは食う。シェルのそれは悪魔的、天使的? に美味い。


「すまきー」

「何? 今日も淫乱な兎獣人は胸を押し潰して弓を構える? 邪魔なのだ、これは」

「すまきー?」

「ん、そんな事を言うとレコとロココに恨まれる? 今更だ。イルも、シェルさえも恨まれてる。何もしていないのに」

「すまき」

「良く翻訳できるな? いや、本人も分かっててその言葉を使っているのだろう?」

「すまっきー! すまき」

「え? 私が説明して初めて自分の言葉の意味が分かる? それまで自覚してないが確かにそう言ってると気付く? それでは簀巻き語は私にしか分からんのか?」


 何と言う事だろう。言葉を発している本人が自分の言語を解析できないだと? なのに私が翻訳したら意味が通じてる? さっぱり意味が分からんな。ここはインテリなシェルに相談だ。


「は? 簀巻き語を解析できるのがユサだけ? 本人も十分に理解してない? テレパシーの類い? そもそもどうやって翻訳してるんだ?」

「普通に特殊な波長の言語として聞こえているんだが」

「えっ、何それ呪い? 怖い」

「試しにシェルも簀巻き語を話してみてくれ」

「それは実に嫌だけど研究者として興味は有るな。すまきー?」

「簀巻きが変態だから言語として成立するんじゃないか? だな」

「うおおおっ、確かにそんなニュアンスで言った! こえええっ!」


 謎が更に深まってしまった。何故私は簀巻き語を翻訳できるのか。前世は簀巻きにされたのだろうか? 前世簀巻きにされたとしても簀巻き語は喋らないと思うんだが。


 ううむ、この私が肉以外にここまで興味を持ってしまうとは、簀巻き恐るべし。


 シェルが女神様に訊ねたところ、『世の中には解明してはならない謎も有る』とか言われたらしい。女神様と交信できるシェルも凄いな。だがそれは怖い言葉だな。解明してはならないのか…………。


 狩りの際とかサインの代わりにすまきと言ってもらうとか、暗号としては優秀なんじゃないだろうか。解読できるのが私だけだが。


 腹が減ったので狩りに行こう。ん、ラウネーズがいるな。私はこいつらとは会話ができない。


『ゆさねー』

『おねえちゃんねー』

「あるらうねー、か?」

『いっちゃだめねー!』


 おお、あの三匹目は常にあるらうねーと言ってるらしいので間に入ってみたら三匹目は違う言葉を話したぞ! ……ひょっとしたら本気を出したらあるらうね語も解読できる?

 …………やめておこう。シェルの個性なのに可哀想だからな。だが言語として形を持っている以上翻訳は出来るはずだ。…………将来は翻訳家兼猟師も良いかも知れないな。何となく文豪っぽい。そのうち世界中を狩りで回って日記を小説に仕立てて売るのも良いんじゃないか?


 文豪…………。私たちの仲間はシェルのお陰で爆発的に増えているが文豪と言うと誰だろう?

 実はロココやリーカはかなり頭が良いらしい。シェルの錬金術講義でも二人は高得点を取れるそうだ。相談してみるか? まずはリーカと遭遇したので相談してみる。


「え、文豪になりたいんですの? まずは文章を書いてみないと始まらないんじゃありませんか?」

「その通りだな。流石はリーカ」

「ユサさんって割と文化人……?」

「肉以外に興味が有るのは小説等だな」

「ち、血塗れ兎がインテリとかシェルに教えたら面白そうですわね。あ、ユサさん、失礼しますわ」

「うむ、相談に乗ってくれて有り難う」


 次にロココを見つけた。やはり同じ質問をしてみる。


「は? ユサが文豪? 面白い! 是非その方向で進めましょう!」

「な、何故そこまで気合いを入れているのだ?」

「貴族なんて決められた線の上を歩くだけの人生なんだから、楽しい事には全力尽くすのよー! さあユサ行くわよっ! 貴女を一流の小説家にしてあげるわ~っ!」


 何かロココの触れてはいけないところに触れたらしい。いや、多分だが私以外の二匹と何かトラブルが有ったのだろう。

 まあ私としては文豪の道を案内してもらえるのは有り難い。ロココには感謝だ。


 まあ、文章を書いた事も無いのでこれからスタートだな。文豪として狩人として、何となく充実した人生を送れそうである。これからもシェルとは旅をするけど、…………シェルが私の未来を祝福してくれたら、良いな。






 ユサが実は常識人だったりします。肉以外では。

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