イルの友達(イル視点)
三話投稿、一話目です。
最近アンセルと仲が良い。騎士に少し憧れが有る。私はシェルの騎士になりたい。
友達と言えばレコとロココ、簀巻きとユサが仲が良いので私はリーカと仲良くなった。国を守ろうと言う姿勢が私のシェルを守る気持ちと似ている。話が割と合う。
アンセルとリーカも似ているので仲良くなるかと思ったが、どうやらお互いに興味が無いようだ。シェルが間にいてもそれぞれのグループで別れてる感じ。むしろそう言う意味ではレコの方がアンセルに近付こうとしてる。戦いでは常にレコはアンセルに守られているから情が湧いたのかも知れない。
私は恋愛は良く分からない。シェルと一緒に居たいがシェルはメスになってしまった。
私も子供は嫌いではないしいつかは誰かと作るんだろうが、うーん、周りの男は貴族ばかりなので私たちは付き合えないだろう。シェルを守っている関係で騎士爵をもらえる話も有るらしいが、まだ先の話だ。
私の地位の低さでは妾か愛人が良いところだろうし、それに今はシェルの事を守りたい。
とは言え、シェルのアタノールシューターの威力を見ればもう一人でも軍隊を倒せるくらい強いが。しかしまだ守りは必要だ。本人がとろくさいからな。
「イル、恋人が欲しいのですか?」
「そんな事は無いけれど。リーカはどうなのか」
「私は実はもう相手が決まってるんですよね」
「そうなのか! 知らなかった」
「まあ結婚するまでは公表しない事になってますけど。学園を卒業したら結婚ね」
「貴族は大変だな」
そうだな、上位貴族なんだから当然と言えば当然か。じゃああのロココや簀巻きにも婚約者が居たりするのだろうか? 簀巻きが婚約とかシェルがツッコミそうだな。
「あの二人は居ないんじゃないかしら? 聞いたことが有りませんわ」
「私がオスならロココは良いと思う。元気なメスだ」
「獣人の基準は良く分かりませんわね」
獣人は強いオスや元気なメスが好かれやすい。シェルは元気なメスだから獣人には好かれるだろう。獣人の私が言うのも何だが獣人にシェルを取られたくはないな。獣人は女の扱いが粗い。優しいのも居るだろうが、概ね乱暴だ。
私も獣人だから将来は獣人と結ばれるのかも知れないが、優しい獣人が良いな。
「一応理想は有るんですのね」
「まあ、いないとは思うが。優しいのはすぐメスが付くからな」
だからシェルが良かったんだが。私もオスに生まれ変わらないだろうか? しかし最近シェルはルートと仲が良いからな。植物が好きなルートはシェルも気に入っているようだ。
ルートは恐ろしく強い。Sランクは伊達じゃない。流石にシェルのアタノールシューターは防げないだろうが。ただ、まだ本気を出してないように見える。
ありすはどうだろう。あれもオスのはずだ。
私もオスになれる魔道具とか有るんだろうか? まあオスになってもシェルとは結ばれないだろうが。
ありすはシェルに興味が有るのか? 分からない。あいつと簀巻きは謎が多い。戦闘も実はこっそりこなしてるし強い。ルートの友達なのでやはり隠し球を持っていそうだ。
「ありすとかは誰か好きなメスが居るんだろうか」
「婚約者が居ますわね。あの方はアレですから婚約者が居ないと子供は残せないでしょうし」
「アレは何故アレなのだ? 家訓か何かで決まってるのか?」
「そうみたいですわ。普段はアレで居ないと駄目らしいです」
「貴族は大変だな。つくづく」
なんでそんな阿呆な家訓を守り続けてるのかは不明だが。時々地声を出すのが本当にビックリする。私は耳が良いから離れていても音を拾ってしまうのだ。
「簀巻きもアレは何故アレなのだ?」
「アレはシェルが学園でセクハラされたので報復に簀巻きにしたら何か気に入ったらしいですわ」
「シェルが巻いたのか。何か羨ましいな」
「羨ましいんですの?!」
うむ、シェルに私も何かもらいたい。武器とか以外で。まあご飯とか色々もらいっぱなしではあるのだが。
「ところで、シェルとルートはもう番になる約束とかしているのだろうか?」
「それはまだなんでしょう? 昨日飲み会で本人が言ってましたし」
「それはそうなんだが、そう言う話もしていないんだろうか」
「まあ端で見てると二人とも相思相愛っぽいんですけどね。ただ、どちらも奥手みたいですわね」
シェルの方は事情が有るからな。いつか話すのだろうか? まあ話さなくとももうシェルは完璧にメスだから、構わないとは思う。だがそうするとルートがまた難しい事になりそうだ。
年上の魅力も通じなさそうだし、友達になってしまうとアンセルと同じようにシェルの方が興味を無くしそうだ。ただ、ルートはシェルの好みらしい。欲も無いし、植物にも優しい。しかも最強だ。
誰かが背中を押した方が良いんだろうか?
「そう言えばルートは婚約者が居ないんだな」
「そうですわね、そんな話は聞きませんわ」
「アンセルに聞いてみたら分かるだろうか? 男同士でそんな話はしないのか?」
「どうですかね、あ、ちょうどアンセル様がこちらに来ましたわ」
「何の話かな?」
「ルートは婚約者が居ないのかと」
「ああ、それは居ないらしい。権力が強くなりすぎると女王陛下が不利になってしまう。それで騒動になるのを避けたんだな」
「ではアンセルは大変だな。そんなルートと戦わないと駄目なんだから」
「ん、うーん、あんまり考えたく無いんだが、そもそも物理的な戦闘力くらいしか取り柄が無い俺がそこで負けてるからな……」
「諦めるのか?」
「いや、それは考えた事が無い」
一途な男だ。こう言う男に好かれていれば楽だったのに。私はオス探しから始めないとな。
最近シェルは疲れているからまだ側に居て守らないと駄目だが、いずれは私もシェルに祝福されるような恋をするんだろうか?
イルは出番は少ないですけど可愛いですよね。私が犬好きなだけかも?




