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クズ人間の俺が聖女と呼ばれている  作者: いかや☆きいろ
四章 勇気の炊き出し
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ミウニオの夜

 毎日有り難う御座います!

 そう言う訳で、どう言う訳か分からんけど、両腕にロコレコをぶら下げて辺境伯領の海際の街ミウニオにやって来た。ガジガジと腕を噛まれてる。

 ここの辺境伯家の別荘で辺境伯家旗下の貴族たちが集まっているらしい。あと、タケヤ=リナト国王と家族、モト君もそこに当然誘われている。

 今ここの序列は私が一番で次がタケヤ王様、王弟ルート、モト君、次にノナニオ辺境伯様と言う順番だったりする。滅茶苦茶に恐縮するが聖女認定ってそれほど重いものだったらしい。女神様に調子に乗るなと叱られそうだ。

 最初に聖女として生きると決めた時はこんな事になるとは思わなかったなあ。色々仕事を押し付けられるのは間違いなかったけど。これは納得してやってるから良いんだけどさ。


 そう言う訳で炊き出しだ。山のものが喜ばれるかも知れないけど海のものをせっかくだから用意しよう。作りおきではないので時間はかかるけど。

 海鮮で冷製のトマトスープを作る。やっぱり海鮮が入らないとだね! 素のトマトスープはストックが有るから早いし。

 具は、タコとかは使えないかな。流石にこの世界の人もタコは嫌がりそうな気がする。売ってたから海際では食べるみたいだけど。なので烏賊中心だ。スルメが有るので烏賊は内陸部の人でも大丈夫だろう。ホタテに似た二枚貝も入れよう。海老も入れて、じっくり海鮮の出汁を取ろう。んふふ、良い香りだ。

 大鍋ごと魔法で呼び出した氷をたらいに貯めたものに浸ける。鍋を揺すったりして冷やしていく。


 あ、中国とかでは最近まで冷たい食べ物はあまり食べなかったんだよな。大丈夫だったかな? まあこの世界は魔法が有るしけっこう文明進んでるし大丈夫かも。アイスはウケたしね。


 塩胡椒で味を調える。ちなみにオリーブオイルもバジルも使ってる。ん、美味しい。

 最後に奇跡のスープに。浄化と欠損回復を入れます。ぶわっと光が上がる最高の瞬間。うーん、何度やっても飽きません。


 炊き出しじゃなきゃまるごとローストした魚とかも出すんだけど……魔物なら炊き出し出来るサイズ有るかも?

 冷製パスタも良かったんだけど炊き出しサイズで麺もスープも冷やすのがけっこう大変そうなのでスープだけにした。辛いスープにしても良いんだけどね。みんなが食べるので辛くしても甘口カレーまでかな~。炊き出し難しい。


 カナイもスープ冷やすの手伝ってくれたので割と楽に冷えた。こう言う細かい事も出来るのね。流石は肉熟成の魔術師とかユサが言うだけ有る……のか? 氷室とか作って熟成するんだろうか?


 王族からなのでタケヤ王様とモト君から来た。ぽよんぽよんとご機嫌そうなモト君。

 あの、タケヤ王様、ポージングはご飯の後にお願いします。ちなみに何故かタンクトップみたいな服でマント着けてます。…………変態だあっ! とは口が裂けても言えません。リナトの正装に採用されているらしいです。一応装飾とか付いてるし材質もスーツっぽいですけど…………圧政だあっ!


「聖女様、各地を回り終わられたら次はうちの国ですね。うちの国は錬金術研究所が有りますので是非お越し下さい!」

「錬金術研究所ですか、とても楽しみです!」


 蘇生薬やエリクサーのレシピ有るかな? まあこの奇跡のスープに魔力ポーションも混ぜたらほぼエリクサー効能なんだけど、保存が効かないのが困る。

 三本ポーション飲ますとか鬼畜な方法は有るけど……。お腹たぽたぽになりそう。単純に混ぜてもエリクサーの効能は出ないんだよね……効果三分の一相当になるのかな。奇跡のスープが効果高まり過ぎなんだよね。

 これ食事の総魔力量が効能に転化してるんじゃないかと思う。魔力を込めれば効能が高まるしね。ただ、先だってやったポーションに魔力込める実験は失敗した。料理は込めやすいとか有るのかな? 私も一応私なりに原因を探ってるんだけどね。……錬金術研究所で分析してもらおうかな?


 モト君たちがぽよんぽよんと去っていくと次はツセラ=ノナニオ辺境伯とリカちゃんたちだ。なんか「なぐごはいねがぁー!」とか言ってるけどきっと気のせいだね。ここ男鹿半島じゃないもんね。


「夜になっても暑いですので、冷たいスープが実に美味しいですな。お酒も冷えた物が実に染みます」

「有り難う御座います! ごゆっくりお楽しみ下さい」

「シェル様、当家の地での炊き出しに感謝致します」

「リーカ様も今日はご家族とごゆっくり」

「お気遣い有り難く存じますわ」


 いや、最近のリカちゃん崩れてるからキリッとしてると違和感有るわあ。私も詐欺なので態度違うけどね。リカちゃんにもポーション飲ませてるから肌がピカピカしてる。惚れそう!


 辺境でもやっぱり貴族に揉まれる。偏頭痛を根治する薬とか求められるけど遺伝病を治す薬って欠損回復薬なんだよね。錬金術師ギルドでも店舗販売価格は金貨三千枚が決まりなのに、このスープ飲んだら無料で治る。そもそも欠損回復薬が市販されてる量がほとんどないから私もこのスープを振る舞ってもどこからも文句が出ないんだよ。


 金儲けのために錬金術ってかなり割りに合わないらしいよ? だって商人はだいたい原価三割で考えてるからね。人件費だの光熱費だの税金だの出費が馬鹿みたいにかかるんだけど、七割が取り分でそこから出費をコントロールすると考えるなら商人の方がお得だよね。ブラック企業が栄える訳だ。

 まあ私が薬をギルドにあんまり売らないけど。商売で大事なのはコネだね~。あ、直接取引は全部NGね。人嫌いなめんな。


 私が簡単に稼いだり、錬金術の技術を高められるのも全部植物とコネが出来たからだもんね。材料費ロハがまず有り得ないんだから。

 材料がいくらでも手に入るから世の中の人が一回試行錯誤するのに悩む状況でも全部やっちゃえーって出来ちゃうからね。

 つまり材料を手に入れるのに普通の人が一年から十年待ってやっと一回実験したあげく失敗したりするのに、私は同時平行で何件も実験して失敗しても懐は痛くないし次の材料もすぐに出てくる。

 これがチートじゃなかったら何がチートなんだろうね。私のチートはラウネーズだ。


 にがりも手に入れたし美味しい塩も手に入れたし、魚も海老も烏賊もタコも有るんだから、帰って晩酌して寝ようかな。貴族に揉まれてまた人嫌いが疼く……。






 シェルが早くに腕を上げられたのも植物たちのお陰です。ゲームだとボス連戦でパワーレベリングしてもらう感じですね。

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