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クズ人間の俺が聖女と呼ばれている  作者: いかや☆きいろ
一章 クズ人間は聖女と呼ばれる
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続々と飯を食いに来る村人たち

 今日は三話更新でこれは三話目です。

 エルダードリアードとか言う魔物のお姉さん、プラムがシチューをお代わりしたその時、表に人が来たようでドアがノックされる。

 ん~? こんな時間に誰だろ? 心当たりが無い。出ていくのは危険かな?

 早速護衛に来たと言うプラムの姐さんに行っていただこうと思ったが、既にお代わりしたシチューを食べ尽くしてテーブルに突っ伏して寝息を立てていた。速すぎる。何なの、植物界はスピード狂が推奨されてるの?

 ……あれ、役にたたないぞコイツ。


 仕方なく俺が出る。ラウネーズは俺を取り巻いて守ってくれる姿勢だ。本当にこいつら可愛いよな。ただ飯食らいのエルダードリアードとは違うよな。

 だんだんドアを叩く音が大きくなってきたので開けてやる。怖いよ。

 そこに立っていたのは銀の髪に緑の目をしたエルフの女だった。俺以外にもエルフいるよなー、それは。


「……え~と、初めましてかな」

「めし」


 なんだコイツ。さっきプラムの姐さんで只飯食らい席は埋まりましたが? 凄い真剣に言ってるけど怖いから。


「金は払う」

「金は要らねえけど……、食うなら食っていくか?」

「頼む」


 エルフってこんな奴が多いのかな? 嫌だぞこんな種族。

 まあ飯の香りでもシチューの香りはかなり食欲を誘うからな。俺はカレーよりヤバいと個人的に思う。


「あんた名前は?」

「カナイ。魔術師」


 ぽつぽつ喋るのはエルフの特徴だったりするのだろうか? テーブルには突っ伏したプラム姐さんとラウネーズ。シチュー皿が六つ。狭いな。つか起きろやプラム。

 白目を剥いて寝ているプラムをソファーに投げ捨てておく。ぐへっとか聞こえたが知らん。

 ようやく自分のシチューに手をつけようとするとまたドンドンと扉を叩く音が。またかよ。

 なんかなげやりになりつつ扉を開くと小さい子が。これは確かハーフリングとか言う種族だな。小さい茶髪に青い目の女の子だ。


「カナイのお姉さんが来ていませんか?」

「来てるよ、連れて帰ってくれるのか?」

「はい、出来れば。ところで、とても良い香りですね!」

「あー、食ってくか?」


 もはや一人二人増えたところで変わらん。シチューに釣られ過ぎだろここの村人。そんなに特別な料理じゃ無いんだがな。

 あ、いや、牛乳に小麦粉でとろみをつけるクリームシチューは歴史が浅い料理なんだっけ? まあこの世界で食ったことは無いな。次に作る時はしっかり出汁を取って作ろう。こんな半端な料理じゃとても知識チートなんか出来ないしな。


 ハーフリングのちびっこは美味そうにシチューを食う。可愛いじゃないか。子供欲しいな~。……産むのは良いんだけど仕込むのが嫌だ。まだ男の意識残ってるしな。もう諦めてはいるんだが。俺は諦めるのは得意だぜ。


 ……俺も食おう。しかしなかなか俺から私に変えられないな。そのうち慣れるか?

 そう言えばこの子の名前聞いとらん。


「私はウルルと言います。よろしくお願いします、エルフのお姉様」

「お姉様とか言うな。私はシェルだ。よろしくな」

「シェルか」

「シェルお姉様」


 お姉様はやめろと言うのに。カナイも飯より先にそっち聞けよ。しかしこのあと風呂に入って錬金術の練習するつもりだったんだが、こいつらちゃんと帰るんだろうな?

 プラムみたいに寝られたら堪らんぞ。しかしこう言うフラグ立てると……ウルルが寝始めた。小さい子はご飯食べながら寝ること有るよな。可愛いけど危ないぞ。髪にシチューついちゃうから。仕方ないので揺り起こす。ウルルはシチューにスプーンを突っ込んでまた一口食べながらこっくりこっくりしている。


「カナイさん、この子の家分かる?」

「ああ、宿屋だ」

「宿有るのか? あんな小さい村なのに」

「冒険者が来る」

「へー、まあこの辺りも魔物が増えてきてるらしいしなぁ。うちはこいつらがいるから大丈夫だとは思うけど」

「うむ」


 一番頼りになるのがラウネーズってなあ……。俺も戦えないし。早く武器を作らないとな。

 硬いパンをシチューにつけて緩めながら食べているとまたノックが。次は誰だ。扉を開くとダツヤナ村長が居たのでそのまま閉めた。ノックの音が増した。うぜえ。

 そのあとクシワク婆様も来たし名前も知らん男共が群がったがプラムを叩き起こして追い返させた。さすがに身の危険を感じたわ。どんだけ飢えてるんだここの村人たち。





 なんとか飯が終わった。三日分のシチューは一食で無くなった。くそう、食い足りない。しかしなんか料理を追加したらまた変な村人やらモンスターやらがやって来そうで怖い。トラウマかも。全員帰ってくれたのでゆっくりしたいが……。


 風呂に入るか……。服を脱いだところでため息が出る。女の子だなぁ。めちゃ肌がツヤツヤだ。おっさんの肌じゃない綺麗な肌で、身嗜みをしっかりしないともったいないよな。

 よく女になってから男の服を着る人が物語には出てくるが、実際あんまり似合わんのに無理に男の服を着るのはどうなんだと思っていたが……。この女神様の服、スカートっつかワンピースだけど普通に着てたわ。今まで違和感無かったわ。

 確かに目覚めてからバタバタしたが今まで気付かんとは、俺も相当に呆けてるな。婆様に呆れられる訳だ。

 体洗ったりもなんか恥ずかしい。別に男だって人前で肌を晒したら恥ずかしいんだけど、なんか感覚が違うからか誰も見てないのにすげえ恥ずかしい。あー、俺女でやってけんのかな。一日しか経ってないのにもう不安でいっぱいだ。


 ベッドでラウネーズと一緒に寝ることにした。プラムはソファーが定位置となった。

 ラウネーズの草が刺さって寝づらかったよ……。






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