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クズ人間の俺が聖女と呼ばれている  作者: いかや☆きいろ
四章 勇気の炊き出し
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のんびり休むのが苦手な人っているよね

 今日は三話更新、一話目です。

 今日は一日のんびり休むと決めた日だ。まずは家の中でレコとごろごろしてみたんだけど、外でガキ共が遊んでるから釣られて出てみる。私が魚ならガキの笑い声で入れ食いだな。


 アンセルとルートもついてきたし、女の子たちも。

 簀巻きとありすちゃんも。あの二人はどこともセットに出来ない。


 獣人娘たちも既にそれぞれ遊びに行ったり寝たり狩ったりしている。意外とイルは走り回って遊ぶのは好きみたいだ。犬だから? 意外でもないのか。あとユサ、君は休まないのかい? 休みなく狩り続けるのかい?


 王都では女王様やシンクお父様やヨドミちゃんが一所懸命働いてるし、ドルーシ伯爵領も大変だろうな。私はのんびりしている。


「シェル、休む時は仕事の事は考えないの」

「ルートは人の心を読むな」

「全く読めない時と凄く読みやすい時の落差が凄いから思わず読んじゃうんだよ」

「あ~」


 気が抜けてる時は詐欺師スキルが抜けた反動が来るみたいだ。こんな時にお客様と顔を合わせたら気まずいんだよな。もう顔を合わす機会は永遠に無いけど。


 のんびりするか。のんびり~。


「ガキ共、みんな病気や怪我は無いか~」

「お姉ちゃん!」

「聖女様~!」

「私はみんなのお姉ちゃんだぞ!」


 子供に聖女コールされると妙にへこむな。まあ良いんだけど。

 術式保存ボードから焼いておいたクッキーを取り出して配る。なんか餌付けは私の癒しなんだよな。このために聖女してるんだし。


「仕事が趣味の人なんだよね、シェルって」

「だからこそ聖女になってしまったんだろうな」


 アンセルの言い方は自分が私を聖女にした訳じゃ無いと聞こえるけど、実際に私がやらかしまくったから逃げられなくなったんだからな。アンセルを責めるのは違う気がする。アンセルには私は酷いことしかしてない。……クズは聖女になってもクズだ。


「シェル~、今日はのんびりする日だよ!」

「分かってるんだけどね~。既に病気かも」


 ワーカーホリックってほんと立派な病気だよね。日本人がかかりやすい病です。老後にも農村で働く。バカだよな。なんで働いちゃうの?

 老後は働かなくても許されるべきだよな~。ガキは働いた方が良いと個人的に思う。社会勉強は出来るからな。つっても十歳以下はこの国でも働かせない風潮だけど。孤児院を整備するべきだよな。それも私の仕事のような気がする。

 教団とか御免被るけど、配下は欲しいかも。


「シェル、シェル、仕事モードになってるよ!」

「あうう……何故だ!」


 働いてしまうこの頭め! 寝るか? いやー、こんな天気が良いのに眠れない。

 私は遊ぶんだ~。


 子供たちと鬼ごっこする。なんかこの時間を無駄にしてる感じが好きだ。休めてる気がする。

 ラウネーズも混ざる。速すぎる!


『おそいねー』

『まだまだねー』

『あるらうねー』

「あるらうねー!」

「あるらうねー」

「あるらうねー、ですわ!」


 なんか子供たちの間であるらうねーダンスが流行っている。ちなみに最後に混ざっていくリカちゃんは既に悪役令嬢の影も形も無いな。ツインドリルは健在だけど。あ、あるらうねーって言ってるのは私がみんなに教えたので彼女らも翻訳できる。そこだけ。楽しそうだから良いけどな。


 ガキ共に大量生産予定の身体強化の指輪を貸してみる。これは魔力を食うからちょっと疲れるんだけどな。

 更に警泥をこの世界にアレンジした騎士と山賊を教えてやる。これも私じゃない誰かが既に持ち込んでたよ。きいいー!


 ……結果、私は常に虜囚の身に。誰か早く脱獄手伝ってー。全員捕まると打ち首ごっこが始まる。社会勉強にはなるのか? 子供ってたまに残酷だよな。現実は切り捨て御免なのでもっと残酷だが。


 聖女様なのに打ち首である。あれだ、乙女ゲーで没落バッドエンドだな。ちなみに王子様のルートは今回は騎士サイドである。


 じゃんけんして役割をまた入れ換える。やったぞ、今回は騎士サイドだ! わはは、まてー、山賊うー! うっ、何故か追いかける方がトラウマ刺激される! 山賊で袈裟斬りされたのは私です!

 私に捕まる間抜けはいない! どうして子供たちあんなに速いんだ? 私が遅すぎるけど!


 なんだかこの村の子供たちって魔力が尋常じゃなく高い気がする。まあ考えるまでもなく原因は私の炊き出しだがね。君たちはこの村に生まれてラッキーだね!

 しょせんこの世は不公平なんだよな。運命は平等って言った人が居たけど、平等じゃなくて、平等にしていくもんなんだと思うよ。人と人が交わるのは、きっと運命を平等にしていく為なんじゃないのかな?

 不幸だったガキ共を幸福にしてやるのが、何が悪いのか。出来る限りはやってやろう。私の故郷、キンノ町だからね。ってまた思考が仕事に行く!


 さあ、山賊は私以外が捕まえたので打ち首……は、私が捕まえた子は打ち首にしないで慈悲をくれてやるぞー!


「聖女様に捕まった人いないよ?」

「あうう、私の愛し子たちが打ち首になっていくー!」

「打ち首ですわー! あはは!」

「きいい、この鬼姫!」


 リカちゃんが片っ端から打ち首にしていくよ。やっぱり悪役令嬢だね! 畜生っ! ゲームでゲーム再現してるみたいだな! 聖女は死んだ! 世紀末! 救世主はいない!


 けっこうアホなごっこ遊びをしたけど、なんかすげー癒された。まったりできたよー。






 何も考えないって難しいですよね。

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