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クズ人間の俺が聖女と呼ばれている  作者: いかや☆きいろ
四章 勇気の炊き出し
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ドルーシ伯爵領にて

 のんびり旅をしたいですね。お金無いですけど。

 やっとドルーシ伯爵領についた。領都の城に入ってテレポーター置いてキンノに帰りたい。プラムの話だとそろそろスタンピードが来るはずなんだよな。細かくチェックしに帰らなきゃ。


 プラムに言わせると風魔法通信機作れば大丈夫らしいけど、通信範囲が心配だ。衛星じゃないから遠距離は通じないんだよな。ただ精霊通信機だと世界中に伝わるらしい。精霊が衛星代わりだ。普通の通信機はAランクだけどそっちはSランクアイテム。精霊とコネクションも無いから作れない。


 Sランクはポーションなら慣れてるしすぐに作れるんだけど他は時間がかかる。成功もしないかも知れない。

 だいたい秘匿されてるレシピも有るんだよな。公開されてるレシピは作れたら作れば? みたいな感覚で公開されてるらしい。

 他にはたくさん必要なポーション類は多く公開されてる。プラムの補助が無いとまだポーション以外は無理だ。爆発物とかAランクでもヤバイ。そもそもSランク爆薬ってダイナマイトみたいな山を砕いたりするためのアイテムだ。普通には使えない。

 対ドラゴンには強酸を用意してるけど、効くかは分からない。いずれ炊き出し拠点を狙われる可能性は有る。私が戦う必要は無いんだけどね。周りが強すぎるから。


 ようやくたどり着いたドルーシ伯爵家の家……城塞?

 城塞は王都のそれとは違い、庭の区画は無いが、城壁で幾重にも守られている。

 高さも王都の城に近い。ここも防衛拠点なんだって感じる。


 アンセルにしてみれば我が家だからずんずん入っていく。衛兵さんもただ頭を下げるだけでチェックは一切無い。やはりアンセルも貴族だね。

 ルートも多少チェックのためかあちこち見てるけど落ち着いてる。私たちはガチガチだ。獣人娘たちもこう言うのは弱いみたいだな。

 ロコちゃんも自宅だしリカちゃんももっと大きいだろう辺境の貴族だ。平気そう。私も聖女なんだしシャキッとするか。簀巻きの表情は分からん。


 執事さんとアンセルのお兄さんが案内してくれたので一先ず部屋に入り荷物を置いたら、っていってもほぼボードだけだけど、大広間に通される。この地域の中小貴族が集まっていた。

 旅装と言っても聖女服だし浄化魔法でほこり一つ無いけど、失礼かなと思ってしまう。他の人は冒険者装備だし。でも拍手と笑顔で迎えられた。


 アンセルのお兄さん、イタカさんは私が前に殺された山賊狩りで隊長をしてた、アンセルをけしかけた人らしい。声を覚えてる。特徴的な渋い声だ。大声を出し慣れてる人なのが分かるな。その声で私が紹介されている。不思議な気分だな。


 紹介されたのでシェル=イセイスと申します、しばらくよろしくお願い致します、とだけ言っておく。言葉が少ない方が色々勝手にイメージしてくれるものだ。聖女服だし良いイメージだろう。


 疲れてると言う事で早めに引かせてもらおうと思ったが薬を、あれが欲しいこれが欲しいと詰め寄られる。

 錬金術師ギルドの決めてる売値を提示するけれど、例えば育毛剤とか値段設定がされていない薬は吹っ掛けておく。値段が高いのは暇がないからなんだな。通りで錬金術師の技術料は高い。


 私も自分のアイテムや炊き出しの準備にかなり時間を取られる。その時間はお金には変えられない。

 だから吹っ掛けるんだけど、割と買うと言われる。病気の回復薬とかは奇跡のスープを炊き出しするから集まってもらう。さすがに貴族にスラムに来いと言うのもね。普通の人たちが萎縮しちゃうし。


 結局いくらかのポーションをその場で売り、金貨を財布にしている小型ボードに収めて部屋に帰り、テレポーターを出す。

 術式保存ボードの方もたくさん作っておいた。ララキお姉様もシンクお父様、ルエモお母様も喜んでくれたよ。ルチオ君は照れてた。可愛いな。


 まあそれは置いといて、テレポーターから帰る人は送り出す。体に触れてたら許可の無い人もテレポート出来るからな。部屋とか質量の大きな物は術式の許容量の問題で飛ばせないけど、便利だ。

 ヨドミちゃんへも報告して伯爵領へ飛んでもらう。ヨドミちゃんも忙しそうだ。


 やっと私も実家に帰る。これから村で炊き出しして次の炊き出しの仕込みだ。後はプラムにポーション作りを手伝ってもらって、はあ、忙しい。


「なんだ主、帰ってくるなりため息をついて」

「いやあ、スローライフしたい……」

「炊き出し好きなんだろう?」

「もちろんだ。でも仕込みがな。美味いのを作ろうと思うと大鍋よりフライパンだし、鉄板で作るとしてもかなり手間はかかる」

「疲労回復ポーションは?」

「あー、使うか」

「ぶらっく、と言うやつだな」

「私が社長みたいなものだけどね」


 ブラック企業は社長もブラックだと誰か言ってたな。楽してる鬼畜もいそうだけど。


「らうねーず」

『あるじねー』

『おつかれさまねー』

『あるらうねー。むりしちゃだめねー』

「あはは、有り難う」


 ラウネーズにまで気を使わせてるんじゃ駄目だな。たまには休みも作るか。倒れたりはしないんだけど、精神はキツくなるもんな。


 私が今キツいのは貴族に関わりすぎたからかもな。私の人嫌いが振り返してるんだ。

 力有る人間は何故自分が救われて当然と考えるのだろう?






 ラウネーズはやはり癒しです。私の。

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