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クズ人間の俺が聖女と呼ばれている  作者: いかや☆きいろ
四章 勇気の炊き出し
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ゆっくり空の旅

 もうここまで来たのかーとか思います。

 私と獣人娘たち、カナイとアンセルでドルーシに向かう。ナコイまではテレポートだ。何故か後でテレポーターで迎えに行くはずだったルートやロコちゃんとリカちゃんも空の旅をしてみたいとついてきた。ヨドミちゃんたちは待ってるんだけどね。簀巻きは積み荷だ。中は腐った魔人の女の子が入ってる。納豆に近い何かだ。


 なんつーか、この旅が私の望んでいたスローライフな気がするんだよな。のんびり空を飛んで、ときどきおやつ食べてさ。

 ナコイからドルーシまで、日当たりの良い丘を進んでいく。はふう。


「うわー、凄い景色だね!」

「やっぱり高空から見る景色は良いよな」


 ルートもこんな経験は無いのだろうか、大はしゃぎしてる。Sランク冒険者だからドラゴンとか乗ってそうだけど。

 ドラゴン出てもルートいるし大丈夫かなと高空を飛んでたりする。つっても十メートルくらいだ。これくらいなら私も対処できる高さだからな。

 ちなみに例の物理化の術式を使った弓をミサイルレベルにして発射出来る大壺、錬金術炉式ミサイル、通称アタノールシューターなるものを作ってみた。作るのに時間は掛かったし巨大で、持ち歩けないけど威力はプラムお墨付きだ。ちなみにほぼプラムが作って私は術式に魔力を乗せただけだったりする。威力は未確認だ。プラムには結界で身を守ってから使うように言われているのでまたバカみたいな威力なんだろうな。結界は私の魔力だけ透過する仕様だ。攻撃は一方的に出来るけど、反動でダメージを受けたりしない、けっこう細かい仕様になってる。


 プラムって弱そうに見えて魔王級をバインドさせたりするからな。チートキャラなんだよ。怠け者だけど。


 ルートが子供みたいにはしゃいで可愛いな。他の人は多少酔ってるし簀巻きなんか既に車酔いで吐いて寝てしまったけど。ポーション使ったら治るから降りた時には治す予定だ。一回は治したんだけどすぐ症状が戻ったんだよな。いちいち回復するより寝てもらった。


「ルートってタフだよな」

「僕ね、こう見えてSランク冒険者だったりするんだよ」


 知ってる。このタイミングで言う必要は無いがな。まあもう女王陛下の立場も各国の王を招ける人材ってことで既に磐石なんだろうけど。


「ルートは王弟なんだよな」

「やっぱり気付くよね。そうだよ。だけど十五の時には決まってたから実感無いかな」

「それまでも王子だしな。つかルートは穏やかだから戦える人には見えないんだよ」

「そう? 僕割と無敵だよ?」


 無敵と来ましたか。いや、なんかここまで堂々と子供っぽく振る舞えるのはその自信の裏打ちが有るからなんだろうな。そして優しいとか、パーフェクト王子さまだよな。

 ま、まあ私は別に王子様じゃなくてルートが好きだけど。

 好きっても友達の好きだけどな。まだそう言うのは早い。

 ルートが子供なのに誰かと子供作ったりしないよな? あれ、なんか想像したらムカついた。


「綺麗ですわね~。ただの草原なのに」

「リカちゃんもタフだね。鬼だから?」

「辺境の人間はこれくらいでへこたれていられませんわ」

「……大変だな」


 リカちゃんは国を守ってるんだよな~。

 鬼人族の女の子は普通の女の子と見た目変わらないんだよな。犬歯が少し長いかな、くらい。男性は小さい角が額に二本生えてる。本当にちょこんとなので帽子で隠せるくらいだ。オーガみたいにガゼル並の角が生えてたりしないから進化で勝ち残ったのかも。


 今回のドルーシの旅が終わったらそのまま南東のノナニオに行く。拠点さえ作ればテレポーターは十個も作ったからな。ちなみにやはり部屋に置ききれず、地下に頑丈なテレポーター用シェルターを作ってもらってたりする。プラムが一晩でやってくれました。餌は与えた。晩酌に付き合っただけだけど。旅立ちの為にプラムフル稼働してリフォームまでしたので旅の間は好きにさせてやる事にした。


「暖かいし眠くなるね」

「もう夏なんだけどな。風が気持ちいいから?」

「ほんと、飛べるのは最高ですわね」


 ただ飛んでるだけなのに楽しいな。あんまり良くないからやってないけど、酒を飲んで宴会とかしたい気分だ。おやつ出そうかな。


「今回のおやつは芋餅な。簡単なんだこれが」

「ジャガイモですの?」

「食べます」

「食うにゃん」

「芋も割と美味い」


 獣人娘たちも食べ物となると動くな。ユサもたまには肉以外を食べるらしい。芋娘だな。


 お弁当も用意してる。ほんと、このまま飲み会にしたいくらいだが、うちは酒を飲めないやつがいないからな。確実に全員酔ってしまう。ポーションで治るけど危ないからな。獣人娘たちにコントロールを任せるのも怖すぎる。


 お弁当はタコさんウィンナーとか玉子焼きとか定番だ。私は甘い玉子焼き苦手だからだし巻きな。鰹節さまさまだ。

 他に煮物とか唐揚げとか野菜が少ないからほうれん草っぽい野菜でおひたしとか、かなりベーシックなのが出来た。まあ炊き出し用に作りおいた豚カツとか出せるからボリュームは問題ない。のんびり食べながら空の旅はかなり良い。あー、穏やかな気持ちになるよな。

 まあこう言うタイミングで魔物が出てくるんだけど。身長五メートルくらいの人型の魔物だ。


「なんか山みたいなのが来てる」

「レッサージャイアントだね」

「のんびりしてるな~。あ、アンセル倒せるの?」

「まあ多少苦戦するかも知れないけど、ドラゴンよりは弱いよ」

「もうちょっとかな」


 ん? 何がルート。そう思っていたら。

 レッサージャイアントとの距離が五十メートルくらいになったところでルートが魔法を放つ。……爆音と共に放たれた雷が一撃で巨人を灰にした。……えーと、強すぎじゃあああああっ! つか雷うるさっ! 簀巻きも目覚める轟音だった。スキルで音はかなり減らせるらしいけどそれでも着弾時の轟音は少し遠いし完全には消えないようだ。音でダメージ与える意味も有るんだろうな。


「カナイも凄いけどルートはもっと凄いな」

「Sランクと比べないで」

「カナイも凄いけど。ゼロワールドならあれくらいいけるよな」

「まあね」


 照れた。カナイも可愛いな。ちなみにカナイはAランクらしい。

 やっぱり私は基本精神がおじいちゃんみたいだ。子供が可愛くてたまらない。







 シェルは戦えないので戦闘は常にあっさりになりますね。

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