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クズ人間の俺が聖女と呼ばれている  作者: いかや☆きいろ
一章 クズ人間は聖女と呼ばれる
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身の危険

 三話更新二話目らうねー。

 大金も手に入れたし住む場所も手にいれた。村長、ダツヤナ=キンノさんは気を利かせて家具まで揃えてくれていたし、食材を買い集めてから小屋に帰る。この村の名前は彼の名前からキンノ村だと分かった。

 荷物を置いたら婆様、クシワクさんの店に行く事にした。ぜんぜん見てなかったからな。それに錬金術に使う道具と資料は十分いただいたが、一つ不安なことが有って相談に行くのだ。俺は今、私、女の子だからな。しかも戦闘力皆無。これはヤバいよな。


「いや、今頃気付いたのかい」

「そんなに呆れなくても……」

「あんたはどうやって薬草ラウネを味方につけたんだい? とりあえず薬草ラウネたちに守ってもらえば良いじゃないか」


 え、こいつら戦えるの? 一応は魔物だけど。あ、いや、植物の魔物なんていっぱいいるじゃん。村の外だけならそいつらに守ってもらえば良いよな。それだけじゃ危なそうだけど。


「錬金術で身を守れないかね? 攻撃手段とか無いのかな」

「有るよ」


 どこかの有能なバーのマスターみたいだな。いや、やはり錬金術で攻撃する手段は有るのか。


「あんたは魔力だけは強いんだから、その魔力を外部入力して発動するタイプの術式が入ったアクセサリーを作ればいいさね」

「いきなり専門的なこと言われても分からんぞ」


 俺もそんなとこがあるが、自分が知ってることは当然他人も知ってるだろうと無意識に思ってしまうんだよな。友達に「お前は人に物を教える能力は絶望的だな」とか言われたし。天才肌って言ってくれ。え、馬鹿なだけ? すみません。

 まあ一応こいつらに聞いてみるか。


「お前らは戦えるのか?」

『やるねー』

『まほうねー』

『あるらうねー』


 あるらうねーらしい。戦えるのか。どうやら植物を操作する魔法が使えるらしい。こいつらがチートだな。


「そうだ、鏡置いてない?」

「有るよ」


 クシワクの婆様が取り出した鏡はまあまあ大きめの壁に飾るタイプの鏡だった。有り難い。


「錬金術を極めていく過程でこう言った物も作れるようになるよ。まあアタノールとかいるけどね」

「錬金術炉ってやつか。いつか手に入るのかね」

「そのうちドワーフに頼んでやっても良いよ」


 有り難い。この村の住人は婆様もだが、皆世話焼きだよな。俺が大金を目の前でやり取りしてもそんなに反応してなかったし、人が良いと言うか。俺なんか簡単にさらえるぞ。男の時より更に力無いからな。そして顔は……。


「うわっ、目付きキツいけど超美人じゃねーか!」

「自画自賛かい。自分の顔だろうに」


 あー、そりゃそうだ、自分の顔なんだから初めて見た反応はおかしいよな。いや、しかし……。


「私、ヤバくない?」

「だから今更だろうに。どんだけこの娘は無防備なんだとずっとハラハラしてるんだがね」

「すみません」


 やっぱりヤバかったらしい。早く武器を揃えないとヤバそうだ。とりあえずラウネーズに守ってもらうとして、なんとか装備を整えないとな。金は有るんだから錬金術鍛えていかないと、人に無理矢理利用されたりしそうだ。奴隷は違法だがイルたちみたいに闇取引された奴隷が居ない訳じゃないからな。ゾッとする。


「そうだ、とりあえずポーションの在庫が少なくなっててね、あんた依頼で受けてくれないかい?」

「依頼?」

「この村には冒険者ギルドも錬金術師ギルドも無いだろ? 私が代わりにやってるのさ。まあ仕事も滅多に無いんだがね」


 ん、なんか面白そうだな。錬金術師ライフの最初にポーション作りとか、ワクワクしてきた。調合についての基礎的なところが分かる教科書とか、中級、上級の本もついでに買っておく。お代はラウネーズの薬草代がまだ残ってるし、必要な薬草をラウネーズに集めさせ、買い取ってもらえば良いだろう。


 お金には困らない。今必要なのは戦闘力だ!

 とりあえずラウネーズに強めの植物魔物に家を守ってもらえないか聞いておく。ラウネーズは快く引き受けてくれた。これで防犯はなんとかなるかも?


 あとはうーん、帰って本読むか。飯も作らないと駄目だしな。

 この飯を作ったところからまたヤバさが増すとは、この時の俺はちっとも思っていなかったのである。





 牛乳と、豚肉と、小麦粉と、ジャガイモ、ニンジン、玉ねぎ、……鮭が欲しかったけど村の食品店には魚は置いてなかった。食いてえ。食えないとなると魚って欲しくなるよな。鮭たっぷりのシチュー作りたかったんだが。

 コンロはこれは火の魔石コンロだ。この世界に来てから毎日のように見てる奴だが……説明が足りないと言われるのはこう言うとこだよな。

 モンスターから取れる魔石は大抵無色なんだが、それに錬金術で火の属性を付けた魔石を、魔力を注ぐことで起動して火を起こすのがこのコンロだ。火力調整もレバーで出来るし便利な魔道具だよな。あと冷蔵庫とかも揃ってる。ダツヤナ村長やるな。風呂とかも付いてるし。出来る男だぜ村長、五十代の爺さんだけど。


 とりあえず出汁は食材から取るとして、具沢山にするか。あとは……、何故か婆様の店に置いてあったクローブを使う。香辛料って薬品扱いされてるみたいだな。クミンやターメリックも有ったし、さらっとレシピめくったら発汗ポーションにクミンや一味を使ったり、しっかり薬としても利用されてるみたいだ。まあカレーはまた今度作るとして、ホワイトソースをオリーブオイルと小麦粉と牛乳、白ワイン、塩で作って、別の鍋で豚肉と、脂はラードを使って、根菜を炒めて、少し水を入れて煮詰めたら灰汁を取って、ホワイトソース足して煮込んだらクローブと黒胡椒も入れるか。味は……、お、まあまあ美味い。なんかもうひと味足りないよな。あ、キノコ入れたら旨味が増すじゃん。フライパンで炙って足しとくか。塩で味を調整して、ん、美味い。

 ラウネーズがなんか凄いソワソワしてるけど、食うのかよ。まあ良いけど。シチューなんか何食分も作って三日くらい食っても良いと思うし、そのつもりで大量に作ったからな。蓋はちゃんとしないとウェルシュ菌だったか、増えて腹を壊すから気を付けよう。

 ラウネーズに小さい皿でシチューを出してやると美味そうにもきゅもきゅ食ってる。可愛いな~。


『おかわりねー』

『もっとねー』

『この上品な味わいのシチューは野菜の旨味が際立っていて実にアルラウネ好みである。妾にもぜひとも更なる一杯を』


 誰だ最後の。ヤクルじゃなくてなんか美人のお姉さんが椅子に座ってた。ヤクルは小声でビクビクしながら『あるらうねー……』と呟いてる。


「あんた誰だよ」

『妾か、妾はエルダードリアードのプラム、この子たちに頼まれて汝を守りに来た』


 この頭から葉っぱが生えた肌が緑の美人のお姉さんは俺……私の身を守ってくれる護衛のようだ。いきなりシチュー食うな。





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