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友達できた

 三話更新、二話目です。

 二人で乾いた目をして暫く青い空を見つめていたらロココちゃんともう一人が話しかけてきた。友達? 私にも友達できる?


「いきなりやらかすわね、聖女様は」

「シェルでいいよ、友達じゃん」

「友達になった覚えがないわ」


 え、マジか。ロココちゃんクールすぎ。良いじゃん友達で。友達なんか勢いで作ればいいんだよ。後で悔やむけど。


「じゃあ私の友達はツインドリルちゃんだけか」

「いつから私あなたの友達になったのですか?」


 また否定された。つかツインドリルの部分は怒らないのね。こうなったら大阪のオバチャン作戦だ。飴ちゃんあげよう!


「これあげるから」

「なんですのこの指輪」

「回復魔法が使えるようになる指輪」

「……一応聞きますが価格は?」

「店売りで金貨三千枚だったかな」

「もらえるかあっ!」


 うお、飴玉作戦も駄目か。一瞬投げようとしたのに丁寧に置くのが可愛らしいな。高いからな。原価は銀貨数十枚の空魔石指輪分だけだけどな。


「安いから。大丈夫、自作だから原価だけ」

「そもそも薬草回収や薬剤製作、指輪に術式付着の技術料はどうなってますの?」

「Sランク薬剤使っててそれが原価で千枚になるから二千枚くらいは技術料と保管費用? お店の人の収益分が大きめかな。でもそもそも薬剤も自作でそっちはほぼタダだから原価は指輪代だけだよ」

「なるほど……。しかし、回復魔法の指輪……頂いてもよろしいんですの?」


 だから最初からあげてるんだけどなぁ。この指輪便利だから十個くらい作ったんだよね。簡単だし。プラムがいればだけど。


 私が頷くと、彼女は何か胸元に指輪を抱き込んで目をつぶり……、そう、まるで祈るような表情になった。誰か怪我で亡くなったのかな……。


「あ、友達になったんだから名前教えて!」

「誰が友達に……。まあ良いですわ。リーカ=ノナニオ、辺境伯家の娘です」


 おお、辺境伯って大貴族じゃん。今キルレオンと敵対ムード高まってて大変な所でもある。あー、やっぱり何か帝国と戦う方向に進んでる気がするな。まあ女神様がしんどいと言うんだからそうなっても仕方ないか。


「じゃあリカちゃんよろしくぅ! 私がシェル=イセイスである!」

「なんで偉そうな感じですの?! ……まあよろしくお願いいたしますわ」


 そう言うとリカちゃんはクスクス笑った。いい顔出来るじゃん。そこに遮ってきたのはロココちゃん……の隣にいたおっとりした感じの女の子だ。亜人種なのか耳は尖ってるがエルフのそれとは違う感じ。ピンと上向きに立ってる。エルフは少し横に垂れてるんだよな。

 後に分かる事だが彼女は魔人族らしい。割と貴族に亜人が多いのがなんかこの世界、この国、好きだ。


「凶悪な胸連合結成ですね。世間の殿方がなめるように見詰めてきますわよ!」

「鬼畜だった!」

「マキ……口を開かないで」


 あ、ロココちゃんも疲れきってるな。こう言う子なのか。


「名前は? 指輪欲しい?」

「そんな飴玉みたいにポンポンと……」

「私はマキシ=マクア、伯爵家の娘ですわ。お尻も官能的なエルフの聖女様。ああ、押し倒されてあんな事やこんな事をされる聖女様! 助けを呼んでも来た人来た人みんなに襲われるんだわっ! 最後には身も心も堕ちて……」

「うん、黙ろうか~」

「ごめんなさい聖女様、こんなので」

「濃厚なあんな汁やこんな汁で聖女様のあそこが奇跡のスープ……」

「シェルで良いって」

「あ、もうスルーしてる。なかなか対人スキル高い聖女様」


 何か前屈みになってる男がいるし。やめろ、勝手に妄想すんな! 対人スキルは割と高いぞ。詐欺師だからな。

 後リカちゃん鋭いな、飴玉の代わりだ。価格がバカだけど。

 ロココちゃんもそいつの手綱握っててくれんかね。マキシは……もうマキでいいな。指輪もいらんだろ。


「ロココちゃんも指輪欲しい?」

「良いの? 私はもらうけど」

「それ幾つ有りますの……?」

「すぐ出せるのは十個くらいかな?」

「金貨三万枚……ふうっ」

「あ、リカちゃん倒れた!」


 リカちゃんだって金貨一万枚の道具を簡単に出してくれたんだから問題無いのに。あれも誰かの自作なんだよな~。研究所とかで作ってるのかも知れないけど。術式を教えて欲しい。凄い複雑そうだ。


 リカちゃんを回復させようと上級浄化ポーション出そうとしたら本人に手を取って止められた。これも金貨五百枚くらい必要なのか。ほとんどの病が治るからな。


「聖女様……少しは自重してくださいませ……胃に穴が開きますわ」

「じゃあさっきのハイポーションあげよう」

「確かにそれならポーションの原価だけですわね……技術料を考えなければ」


 けっこうリカちゃんって気を使う子なんだな。いきなり噛みついてきたのも多分上位貴族だから自分が出ていかないととか思ったんだろう。唆した奴がいそうだけど、真面目な子だ。こう言う子は家を大切にしているはずだし困ってたら助けてあげよう。


「そう言えばみんなの領地に海無い? そろそろ夏だし泳ごうよ」

「あら、それならば辺境にくればいいわよ。聖女様が来てくれたら盛り上がるでしょうね」

「いいねー、じゃあみんなで炊き出しもやる? 楽しいよ?」


 その後三人でわいわいと夏休みの予定を立てた。なんだかんだ言ってロココちゃんもしっかり友達になれたな。マキ? 簀巻きにして捨てておいた。

 編入してすぐに友達二人も出来る私の対人スキルは捨てたものじゃ無いな。夏休みが楽しみだ。みんなをつれてキンノにも帰ろうかな。

 ラウネーズ見てきゃいきゃい言うリカちゃんとロココちゃんを想像したらそれだけで顔の締まりが無くなりそうだな。

 足元で簀巻きが頬を染めていなければ最高の気分だ……。






 マキシ=マクアの台詞はセーフでしょうかアウトでしょうか。

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