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クズ人間の俺が聖女と呼ばれている  作者: いかや☆きいろ
一章 クズ人間は聖女と呼ばれる
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薬草ラウネーズ

 まず植物たちに売れそうな薬草を持ってきてもらおうと考えた俺は早速頼んでみた。近くの木に頼むと、採取が出来そうな子に伝えてあげると返される。親切だよな、植物たち。

 しばらく待っていると足元の広場になっているところに赤い花が咲いた緑の草? いや、草の下に白いふわふわのワンピースを着た人間の少女の体がついている。小人? マンドラゴラ? アルラウネ? ドリアード? トレント? それが現れた。

 色々思い付く俺も妻の事は笑えない。中二病は長く拗らせていた。直接聞いてみるか。


「お前たちはモンスターか?」

『らうねー!』

『やくそうらうねー!』

『あるらうねー!』


 うん、どうやら薬草版アルラウネらしい。三人でへんてこなダンスを踊っている。

 可愛いな。子供は大好きだ。この子たちとこれから一緒に頑張っていこう。イル、レコ、ユサ、元気でな。いつかあいつらにも会えるかな。女神が大丈夫って言ったんだから大丈夫か。


「名前は無いのか?」

『ないねー』

『だよねー』

『あるらうねー』


 有るのか無いのかどっちなんだ。これ三匹目、あるらうねーしか言わなそうだな。無いなら名付けてやるか。


「じゃあ名前な、最初の奴がヤクラ、次がヤクリ、最後がヤクルだ。それで良いか?」

『いいねー』

『いいよねー』

『あるらうねー』


 やっぱり三匹目は、ヤクルはあるらうねーしか言わなそうだな。可愛いけど。名前は気に入ったようだ。呼び間違えないようにしないとな。イル、レコ、ユサみたいに分かりやすいのが良いよな、やっぱり。


「じゃあヤクラ、ヤクリ、ヤクル、三人合わせてラウネーズだ。金になりそうな薬草を持ってきてくれないか?」

『いいねー』

『いいよねー』

「あるらうねーってか」

『いわないでねー!』


 割り込んであるらうねー以外言わせてやった。可愛い可愛い。なんか前より可愛いの好きになってるな。

 ラウネーズたちはしばらく話し合ってからダッシュで解散してすぐに帰って来た。手には一杯の薬草を持っている。速いな!


『ぼーんそうねー』

『りげいそうねー』

『あるらうねー』

『はいそうねー』

『ねむりそうねー』

『あるらうねー』


 ヤクル、あるらうねー言ってないでちゃんと説明しなさい。まあ良いや、その四種類らしい。骨みたいな白いボーン草、まっ黄色なリゲイ草、蔦が這いそうな這い草、青い色の眠り草か。

 ……この子たちがいれば錬金術簡単なんじゃ無いか? 自分でやってみるか。次こそはスローライフ出来そうだな。

 そうと決まれば早速村で金を稼いでから錬金術用具を揃えて住むところをゲットしないとな。研究できる場所は有るだろうか?





 ラウネーズを引き連れて、いや、むしろ引き連れられて村までやって来た。てくてく先を行くラウネーズ。

 元気が良いなぁ。おじさん元気な子供は大好きだぞ。……おばさんだった。いや、十六才か。お姉さんだった。


 可愛いラウネーズは身長が草まで込みなら五十センチ位だ。体部分だけなら三十センチ強くらいかな? 力も強いから簡単な作業なら任せられそうだ。夢が膨らむな。

 ラウネーズと歩いているとやはり目立つようで、村人たちが騒ぎ始めた。あれ、あんまり目立つと不味かったりするのかな? 誰かに呼ばれたのか錬金術師っぽい婆さんが駆け寄ってくる。元気な婆さんだな。


「おおおおおっ……、まさか薬草ラウネを従えているとは! お前さんいったい何者だいっ!」

「本当に元気だな。俺……私はシェルだ。貝獣人ではなくエルフだ」

「そりゃ見りゃ分かる」


 あれ、爆笑するところだよ? シェルなのに貝じゃないんだよ? 俺の鉄板ネタが受けなかったか。婆様は頭が硬いようだな。


「そんなつまらん冗談はどうでも良いんじゃ、その薬草ラウネたちはどうしたんじゃ?」

「つまらんって……しくしく。ああ、こいつらはなんか意気投合したからついてきた。私が」

「薬草ラウネに負けてるのかい。さすが下らんギャグを臆面もなく放つだけはあるな!」

「泣いて良いですか?」


 いいや、勝手に泣いてやる。しくしく。

 と、それよりもせっかく錬金術師っぽい婆様が来てくれたんだから薬草を見せるか。ラウネーズに目線を送ると俺の意図が分かったようで、ラウネーズたちはよちよちと歩いて行くと婆様に薬草を差し出した。


「どおおおおっ! レア度Aクラスの魔法薬草じゃないかいっっ! これも、これも、これも、全部だ!」

「お、おう」


 元気良すぎるぞ婆様。しかしラウネーズが持ってきたのはそこまで価値のある薬草なのか。あれ、ひょっとすると……。


「あの、これ買い取れますよね……」

「国庫を引っくり返したらね」


 やっぱりか! 無理じゃん! まあそれは冗談だったようで、何本かだけは買い取ってもらえた。おおお、金貨が山のようだ。八十枚くらい有る! 襲われたり盗まれたら大変だしすぐに商人ギルドに預けよう!


 そう思ったが、そんなものはこの村には無かった。仕方ないので村長と婆様の二人で管理してもらうことにして、俺は金貨三枚だけもらい、婆様に預けた金で錬金術セットと調合読本なる辞書みたいに分厚い本を売ってもらった。あと村長には村から少し離れた場所に有る既に主の居ない猟師小屋を売ってもらう。ラウネーズのお陰でいきなりロケットスタートだ。


 ……スローライフなのに! スローライフなのにロケットスタート!

 あれ、皆の目が冷たいよ?






 今日は筆が進んだので三話更新します!

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