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王都反乱の予兆

 色々忙しいんだがやっぱり王都の炊き出しは外せないんだよな。プラムが割と頑張ってアイテム生成を手伝ってくれてるから何とかなるけど……新アイテム作ったりは険しいな。ハンバーグの作りおきがですね、割と時間を食うんだよこれが。


 だって自分の知ってる町ではハンバーグ出してみたいって思うだろ? だから溜め込む数が異常になって、獣人娘たちにミンチにさせた分さえ焼ききれないんだよな。

 割とキツいっつか、飲食店の仕込みはブラックだよな。

 二千個くらいハンバーグ焼くとか……死ぬな。しかも足りない。鉄板の大きいのを用意して一度にたくさん焼いていく。

 出来合いを使わない炊き出しは修羅の道だぞこれ! 聖女の仕事じゃねえよ!


 しかしまあ、デカイ鉄板で大量にハンバーグ焼いてたら獣人娘たちはヨダレ垂らすしアンセルやカナイ、プラムさえ興味津々で見ていて。

 やっぱり全員に一回食わせておいた方が作業にも気合いが入るよな。晩飯は伯爵にご馳走をもらったんだが……。


 作業用の夜食にハンバーグを出してやり、ミンチを頑張らせるとしよう。ミンサーを使ったハンバーグなんてつまんないからな。つなぎを使わずにまとめた肉の味わいが深いハンバーグだから異世界人でも美味いはずだ。

 ちなみに予め塩胡椒、オールスパイスを練り込み、玉ねぎも細かく微塵切りにして混ぜ混んである。玉ねぎが大きかったりすると割れるからつなぎを入れない場合は気を付けよう。仕上げは弱火でじっくり焼く。


 あ、ヨドミちゃんも実家の方に来てもらってる。作戦を詰める名目で酒を飲みましょうと言ったらキャピキャピ言いながら伯爵家についてきた。ノイナ=ドルーシ伯爵も彼女? の正体を知っているようで遠い目になってた。

 実際地声で挨拶してたし。それやめろ。ロリ爺とでも呼べば良いのか?


 なので、晩酌のアテにハンバーグ出してみた。獣人娘たちもプラムも待ちきれないご様子だ。収納してない焼きたてをサラダと並べてやる。ユサ、嫌そうな顔をするな。


「シェル、これはふわふわで、実に美味しいです」

「はぐぐう、柔らかにゃ、毎日食べたいにゃ!」

「何故今までこれを作らなかった……」


 血塗れ兎がおっかないが三人とも大満足のご様子だ。猫に玉ねぎ大丈夫みたいだな。玉ねぎはボールみたいだから大好きにゃ、とか言ってた。イルは最近女騎士っぽい。王都でなんか影響を受けたのか?

 ラウネーズとプラムもあるらうねー! と大騒ぎだ。私が居ない間もミンチを作るとか言ってるがそんなには焼けんぞ。

 カナイ、アンセル、ヨドミちゃんも満足そうで良かった。貴族の飯は美味かったから不安だったんだよ。奇跡のスープの味なら負けないけどな。

 ……ハンバーグの匂いに釣られたのか誰か来た。


「今日もあなたと夢でお会いしたい、ヤーカミです!」

「帰れ」

「何故いつも追い返すんですか? 今日も珍しいおつまみを持ってきましたよ」

「おお、鮭とばと貝ひもじゃん! 酒も十分あるな、よし、入れ」


 ヤーカミにヨドミちゃんも増えた。今日はカナイも逃がさない。楽しい晩酌と行こう。つまみはこっちでも作ってあるぞ。


 炭酸割りはヨドミちゃんも地声で「これは良いですわね」と絶賛してくれた。割り方次第で色々楽しめるし、薄めに割ればご婦人でも飲みやすいからな。夜会のワインがこれに変わる日も来るかも知れないらしい。聖女の酒として売り出そうとか言い出したが、まあ今更なので止めなかった。

 さて、適当に酒も進んだので誰かが潰れる前に大事な話をしておこう。


「昼間追いかけさせたやつらはどっかと繋がった?」

「ええ、間抜けで助かりましたわ。影からの報告では闇ギルドも繋がっていましたが……どうも男爵の一人が反乱を企てているようで」

「反乱を? そんなの成功するのか?」

「他国と繋がっていれば出来ますよ。王と言うのは自国民にも認められないと駄目とは言え、実際は他国に認めさせてしまえば王と名乗れますので」

「人の世は大変だな。主、もう一杯」


 自分で作れよ。と思いながらも作ってやる。なんか本当に行動が主婦っぽくなってきたな。


「それでその男爵と言うのは」


 アンセルが話を戻した。一杯作ってやろう。ヨドミちゃんも一口炭酸割りを飲むと続ける。


「ノルワ男爵家、サンカイダ」

「またあいつらか」


 なんか男爵って聞いたらあいつらだよな。つかそうすると……。


「ノルワ男爵家の四男辺りに話を聞いてみれば?」

「そのつもりですわ。彼は貴族至上主義ではありますがまともな人材ですから」

「ふむ、シェルは良く人を見てるよね」


 詐欺師だからな。あいつは平民は退けと言った。つまり相手はしないからさっさと引きなさい、自分はアンセルと話があるんだ、そう言ったのだ。あのセリフ一つであいつが貴族至上主義なのも、だからと言って平民に無体を働いたりしない奴なのも分かる。

 実際五男もあいつは尊敬している風に見えた。貴族としての姿勢を保とうとしていたのも自分は貴族としての意識が有るからこそ平民は守る、そんな気持ちまで見る事が出来る。

 逆に言うと無理してるから平民を盾に取ったらあっさり降伏しそうでもあるんだよな。慎重にアクセスするべきだ。


 つか、下級貴族の四男とかまで良く覚えてるなヨドミちゃん。公爵は伊達じゃないな。逆に言えばこの人に変に弱味を握られたらヤバいか。……その為の変装な気がしてきたわ。このオッサン幼女? 幼女オッサン? オカマ? まあなんにせよ、この人には気を付けないと駄目だろう。まあ敵対する気無いけどね。







 このお話は思いの外に筆が進むので、またどっかで複数話更新します。

 お酒を飲む話は文字数稼げて良いですね。

 子供の話と飲酒の話ばっかりで恋愛が進まないですが、学園で進みますので。すぐ夏休みになりますけど夏休みは炊き出しばかりです。炊き出し青春ファンタジーなんですよね。




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