ヨドミ先生、スローライフがしたいです
チンピラたちは使い捨てになってるの分からないんだろうなぁ。面倒臭い。これ以上こいつらに関わってもメリットが無さそうなんだよね。
「ヨドミちゃんはぁ、お兄さんたちに興味あるなあ?」
吐いていいすか。あ、駄目すか。良くやるよムドヨ公爵様。状況を引っ張ったら相手も動かざるを得ないのは分かる。でもこいつらは逃げて本体はこいつらを切り捨てて終わりじゃないかな。
いや、切り捨て方でその裏が分かるか。すっぱり切り捨てたらこの辺りの縄張りは炊き出しが出来る空間になるし。なるほど、陣取り合戦になるのか。ムドヨ公は最初から点ではなく面で考えて作戦を練ってるのか。いやあ、流石は古狐だねえ。
「一度で終わらせる必要は有りませんわ。王都は広いのですもの」
「正論ですけど地声はやめていただけませんかねえ……」
つか逆にどうやってアニキャラボイスみたいな高音出してるの? 魔道具?
「結局逃げていくのですわね」
「あー、高位貴族の関係者に絡んでもメリットが無いって分かったか」
「一応私の影に追跡させますわ」
おお、忍者! あいええー! やっぱり公爵クラスだと影だのスパイだの持ってるんだな。チンピラたちはカラテの餌食になるんだろう。
雑魚が居なくなったので私たちは飢えたガキ共が飯を食って嬉しそうな顔をするのに癒されておく。王都でもスラムじゃやっぱりガキは痩せてるな。
スープも用意してやろう。こっそりポーション入れてガキ共を癒しておいた。術式保存ボードのお陰で幾らでも即席で温かい料理を出せるようになったからな。ボードから出してポーション加える分には問題がない。ちょっと温めないと駄目だけど。
このガキ共には二大公爵家から仕事を与えられるらしい。ランプやコンロ、冷蔵庫なんかの家庭魔道具用の魔石の加工とかで人手が必要なのだとか。コネさえ作れたら仕事は有るんだな。
ヨドミちゃん主導でその後数日かけて闇ギルドを追い詰めていく事にした。私たちが入ったところでは衛兵も常駐させるようにしていく。流石に自分たちが追い詰められていくのを理解するだろう。衛兵に手を出したりしたら本格的に終わる。
今日はヨドミちゃんに疲れたので帰って拠点を置いてキンノ村に帰って夜はそちらで炊き出しをする事にした。毎日は忙しいから無理だな~。だんだんキンノに帰れなくなりそうだ。まあ普通は毎日帰れないか。
んで、アンセルん家に来たのだが……。
「でけえ……」
「普通だけどね」
「伯爵ならそうかもなッ!」
まあ私も金は出来たからこのレベルの家に住めなくは無いんだけど。庭が一キロ四方くらい有る。ここまで広いと無駄じゃねえの? ってくらい広い。……テレポーター増やすかね……。歩くのめんどい。
まずはドルーシ伯爵に挨拶だな。そのうちイセイス公爵家に移るけどそれまではお世話になるから……、あ、フサフサ伯爵が凄いニコニコしてる。隣のご婦人もニコニコだ。アンセル母親似だな。
「ようこそ聖女様ッ! お待ちしておりましたっ!」
「あ、ハイ……」
引くくらいテンション高いな。何やらご馳走を用意してくれているらしい。後は、妹もいるのか。
「シェル、紹介するよ。ロココだ」
「初めましてロココ様」
「……ふんっ」
ロココさんは私と同い年らしい。学園では世話になるな。髪はドリルじゃないのか。残念。……つかすげえ愛想悪い。あれか、お兄様と馴れ馴れしくしないでよってか?
「大丈夫、こいつに興味無いから」
「そんなのどうでもいいですわっ!」
「ひどいな、二人とも」
アンセルが遠い目に。しかし怖いだけだった頃からはランクアップしたんだぞ。最初の印象が悪すぎる。斬り捨て御免だからな。
ロココさんは獣人娘たちに興味が有るのか近付いて行ったが、こいつらちょっと人見知りなんだよな。お互いじりじりと近付いて行くが、肉でも持ってきたらすぐに食らいつくぞ。兎が。
そちらは放置して屋敷の中を案内してもらう。部屋は幾らでも使って良いと言うのでテレポーター用の部屋を用意してもらってそこに寝泊まりする事にして、獣人娘たちのとカナイのを併せて三部屋貸してもらう。獣人娘たちが三人だけで眠れたらいいんだけどな。
夕食はすぐだと言うのでそれが終わったら炊き出し、本を読んで寝ることにしよう。明日も朝から食材の買い込みとプラムと合流出来るからアイテムも追加して行こう。
昼は作戦を遂行。細かい事は公爵二人に丸投げだ。丸投げすれば私は炊き出しに集中出来る。やはり丸投げはジャスティスか。
ちなみに伯爵家の飯は美味かった。ノイナ伯爵がずっと上機嫌でワインも凄く進んでいるようだった。そんなにハゲを気にしていたらまたハゲるんじゃないだろうか。その時は薬買ってくださいね。
キンノ村に戻るとエルダードリアードのプラムが白目を剥いて寝ていた。この眠り方やめて欲しい、本気で心臓に悪い。あれか、魔王を演出してるのか? 演出失敗だな。どっちかって言うと撲殺死体。演出してる訳じゃないか。
プラムを起こして炊き出しについてこさせる。餌を与えねばな。キンノ村の炊き出しにそんなに人は要らないので獣人娘たちには肉をミンチにさせる。素手で触らなければ脂も溶けないからスプーンや箸で押さえてミンチにするといいんだよな。すぐにボードに収納すれば劣化もしないし、本当に術式保存ボードで料理の幅が広がるな。
ハンバーグ食ったガキ共の顔が楽しみだ。ピメントも王都の錬金術道具屋で見つけてある。王都の方は頼んだら仕入れも大量にしてくれるからクシワクの婆様には悪いがこっちでは買い取りだけしてもらおう。
さて、キンノのガキ共は元気かな?
王都での友達、ロココちゃんの登場です。




