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クズ人間の俺が聖女と呼ばれている  作者: いかや☆きいろ
二章 聖女は奇跡を起こす
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王都でお掃除……の前に女王様に会えと

 王都をぞろぞろ六人で歩く。けっこう私たちのパーティーバランス良いかもね。ダンジョンとかもいつか潜ってみたいな~。


 炊き出しの為に食材を買い漁る。お金がなければギルドに行くけど、ダツヤナ村長とクシワク婆様に預けたお金は返してもらってあるので余裕がある。

 ボードに入れたら楽だけど流石に人前では使えないので時々裏道に入るのだけど、まあ王都のスラムなのでかなりヤバめの人が居る訳ですよ。テンプレ様は王都でも容赦ないですね!


「へっへっへ、可愛いエルフじゃねえか」

「けけけ、今晩は楽しめそうだなあ」

「お前ら、騎士をまず抑えろ」

「へーい」


 五人のチンピラが現れた。頭が弱そうな人たちだなぁ。「私が出るまでもない、皆さん、やっておしまい!」とか言ってみたら一瞬でその五人は動けなくなってた。何が起こったか分からない。


 ……身体強化の指輪の効果は基礎的な能力により、より効果が高くなる。つまり私がどんくさいだけで、獣人娘たちも一流の冒険者カナイも王国騎士アンセルも、もはやチートにチートを重ねた状態だった。このまま裏道散歩して王都を綺麗にしようかな? とか現実逃避するくらい強かった。


 まずは女王様に会わないと駄目らしく、掃除はあとでやる事にしたけど、私掃除にはついていく必要ないよね?

 そう思ったがカナイに「弱そうなのがいた方が良い餌になる」とか言われた。どうせ弱いですよ。


 それで、お掃除の許可ももらうためにお城へ向かった。私は前々世から庶民オブ庶民だから城には圧倒される。敬語は使えるけどサンテドール女王国の作法は分からない。

 ……陛下の名前なんだっけ? その辺りをアンセルに聞いておく。


「聖女認定されたら作法は気にしなくても良いけど、礼法だけ教えておく」

「すみません、お願いします」


 私だって必要な時は頭を下げる。むしろ常に下げてる気がするけど気のせいだ。

 あと、陛下はルーナ=サンテドール女王陛下だ。言われて思い出した。カナイにも呆れられた。度忘れって有るじゃん?


 お城の城門でまた待たされた。日が暮れそう。炊き出しも掃除も明日だな。

 アンセルによると伯爵家の王都の家に泊めてもらえるらしい。楽しみだな。


 やっと王宮の高官らしき人が現れた。自己紹介されたが目付きを見ればこっちを馬鹿にしているのは分かったので名字だけ覚えて名前は覚えない事にした。敵対する相手の名前は覚えない主義だ。困るのは相手って状況に追い込むだけだし。こっちは帰って田舎で暮らすだけなので何も困らない。私を貶めたら植物たちを呼んで少し暴れる。


 コーゲ伯爵ね、こいつ敵だから、と、アンセルに耳打ちしたら苦笑されたが、俺もそう思うと納得された。よく分からんな。ある程度権力は有る奴なんだろう。

 アンセルの親父さんのドルーシ伯爵と対立してるのかな? ちなみに毛生え薬は当然用意した。私は自分の直感は信じてる。

 目の前のハゲには一滴もくれてやらんけどな。「コーゲに毛生え薬を使わせるな」とか女王様に命令してもらえないかな。どんな女王様だって話だよな。部下の毛の事情なんか知ったことじゃないよな。

 うん、昔の私の部下にもハゲはけっこういたな。見舞いに来てくれた部下には毛生え薬を送ってやりたい。ちなみに前々世の死因は病死だ。

 もう未練は薄れてるな。流石に二回も生まれ変わったし。


 女王陛下との謁見は凄い速さで通った。どうやら陛下も待ちわびていたらしい。今の陛下は確か二十代だったか。前女王陛下が若い人の方が仕えて楽しいでしょとか言ってさっさと隠居したらしい。確か南の海の方に別荘を構えていたはずだ。

 前世の時は代替わりしてすぐに私も山に入ったからな。だから度忘れするのも仕方ないのである。私は悪くない。つまりまあ、今の陛下は在位二年目だな。


 謁見室に入ってすぐ彼女が私に会いたがった理由が分かった。髪も目も真っ赤だったのだ。お揃いじゃん!

 少しにやけそうになったが持ち前のポーカーフェイススキルを発動した。ガチの私のポーカーフェイスは三十年近く鍛え込んだ詐欺師の技なのでそうそう見破られはしない。

 あー、このスキル出すと人嫌いが振り返しそう。


 陛下の前でアンセルに教わったこの国の最上の礼の姿勢を取る。左足を引いて地面に付く寸前まで下げるとスカートは地につかないように持ち上げる。うん、凄い窮屈。男だとこれで左手の平を胸に当てるらしい。真ん中辺り、心臓の上だな。絵で心臓を刺してるつもりで左肺を刺してるの見かけるけど、絵描きなら解剖学くらいやらないのかね。

 窮屈なので変なこと考えてると女王陛下からお声がかかる。


「楽にして下さいまし、聖女様ご一行」


 これで私は女王陛下認定の聖女になったらしい。後は楽にして良いみたいだが、いくら私でも多少は緊張はする。

 一緒に謁見してる獣人娘たちとカナイはガチガチだけどな。


 顔を上げると、めっちゃ目をキラキラさせた美少女がいた。

 なんか嫌な予感がするな。具体的にはお友だちになりましょうとか言われたり。


「聖女シェル様! お友だちになってくださいまし!」


 言われた。






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