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クズ人間の俺が聖女と呼ばれている  作者: いかや☆きいろ
二章 聖女は奇跡を起こす
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誰だよ待ってろテンプレとか言ったの

 三話更新、二話目です。

 獣人ズとカナイ、それと留守番をプラムに任せてラウネーズも共にナコイの街に向かうことになった。ラウネーズは街には入れないが、なんか雰囲気がほぼ軍隊だ。

 待ってろテンプレとか言っちまったが本当にテンプレ通りだとこの道で山賊に襲われるんじゃねーかな。


『いるねー』

『さんぞくねー』

『あるらうねー』

「ぐるる、山賊臭い」

「臭いにゃあ」

「肉かっっ?」

「いや、肉じゃねえ、って山賊やっぱり出るのね。あとお前兎じゃねえだろ」

「任せろ」


 ラウネーズに対抗して獣人ズも良く喋るようになった。良かった良かった。良くねえよ。山賊だよ。テンプレ待ってたな。つか兎獣人そろそろ野菜食えよ。ちなみに獣人娘たちにもラウネーズ語は翻訳できない。全部分かるのは、これは俺のスキルだからな。……分からないはずだよな?


 なんか腕を治してやってからなついたカナイが進んで敵が居るらしい草むらに向けて走っていく。おおお、追いかけないと! 一人で後衛の魔術師が飛び出すとか何やってんだ。俺も後衛か。

 つか身体強化も魔力依存だからめちゃくちゃ足速い。俺も身体強化魔石に魔力入れれば出来るのか。ちょっと戦えそうじゃないか。そう思ったんだが……。


「ゼロ・ワールド」


 カナイが一言唱え魔力を放出する。この世界の魔法は元々詠唱要らないんだよな。中二病でも楽をしたい! まあ格好いい詠唱唱えてるところをバッサリ斬られたら間抜けだし良いんだけど……って森が凍り付いてるんですがっ! 一撃で山賊も全滅っっ?

 う、うんどうやら山賊は一撃で全滅したみたいだ。


「ゼロの魔術師……」

「氷点航路……」

「肉熟成の魔術師……」


 おいこら兎、それは違うぞ。凍る間際が熟成には向いてるんだぞ? 具体的には二度から三度だ。じゃなくて。


「二つ名が有るってことはカナイも実は凄い奴なのか」

『つめたいねー』

『こごえるねー』

「言うほどの事は無い。馬鹿の一つ覚えさ」

『……あるらうねー』


 何故遮った。言葉分からんだろが。

 まあでも凄い魔術師なのはラウネーズの反応で分かったわ。場は凍り付いたけどな! なんかこの七人といると冷や冷やするんですけど。なんか全員が変なライバル意識持ってるって言うか! あれか、自分こそが愛されキャラポジを独占しようとか画策してるのか?

 ウルルが遠くで唸ってるのを幻視した。最近幻が見えて困ってます。始まりはうさぎ。


 カナイもイルやレコが二つ名を知ってるくらい有名だが、イルレコユサもブラッドイーターとか言う有名パーティーらしい。名前の由来が想像付くわ。なんか頭が痛くなってきた。


 その後も何故か何回も山賊に襲われ、イルレコユサが血塗れで敵をほふったりして卒倒しそうになったりした。ラウネーズはだいたい踊ってた。


 まあかなり精神的にハードな旅だったが、二日後にはナコイ男爵の街になんとか辿り着いた。敵より味方が怖いのもテンプレだよな。ラウネーズはここで帰還した。


 街に入るところで衛兵に止められる。俺だけ何故か別室に……。これヤバイやつだ。一人でセクハラ受けるテンプレじゃねえか! ちょっと、待ってろテンプレとか言った奴脳漿撒き散らしてこい! 俺だ!


「聖女様で間違い有りませんか?」


 あ、違う、これ違うテンプレだ。身バレして自由に動けないパターンだ。つか、さ。


「自分で聖女とか言う人いるんですか? アハハ」

「たまにいますね。直ぐに連行して色々罰を受けます」


 何だ色々って! 超こえぇーっっ! だいたい聖女じゃねえしっ!


「ただの一市民です」


 キリッ! 俺は逃げを打った!


「いえ、実はシェル様が聖女なのは既に冒険者たちや上の方がこの街に伝えておりますので、ご心配なさらず! 同名だし、赤髪のエルフなんてまず居ませんから!」


 だがっ、回り込まれてしまったっ! 魔王かっ! この衛兵さんは魔王だったらしい。聖女は精神的に死んでしまった! 聖女じゃないけどね!

 つか誰だよ俺が聖女とか情報流した奴! これ、なんか自分でも否定しづらい流れになってるんですけど。泣くぞ。上の方って誰だよ。


 内緒にしてくださいと逃げを打つとやっと解放された。つか聖女って認めてるじゃねえかっ! 違うっ、間違いなく違うゾッ!

 奇跡を人前で起こすもんじゃねえな。何故俺はあの時欠損回復ポーション使っちまったのよ。……頭が悪すぎる。


 でも実際カナイが痛々しかったのは間違いないんだ。俺の護衛も頼みたかったのも間違いないし。あのタイミングしか無かったんだよな~。ガキ共が俺に泣きつくのは分かってたし、それを上書きするのにビックリさせるような奇跡が必要だったっつーか……。


 俺のせいやん?


 駄目だ、自分が想像以上に馬鹿だ。つかイルレコユサもカナイも普通に検問越えてきたな。俺が聖女認定されてるならそのお付きが通されないのは不味いもんな。つかこの状況って俺がかなり高位の権力者に聖女って認められてるから起こってるんだよな?


 勘違いなら薄ら寒いけど勘違いじゃ無かったらヤバイ。権力者、つまり貴族とか超厄介だろ。あ、ヤバい、またフラグ立てちまった。


 とりあえず街に入れたんだ。次は冒険者ギルドに……嫌だ、絶対テンプレが待ってるうぅうぅ~っっ! ごめんなさいテンプレさん、やっぱり待ってなくて良いです~っっ!






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