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クズ人間の俺が聖女と呼ばれている  作者: いかや☆きいろ
八章 決戦の炊き出し
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Here comes my love

 最後までお付き合いくださり、本当に有り難う御座いました。

「貴女の隣に、ヤーカミです!」

「台無しだーーーッ!」

「冗談ですよシェルさん、ほら、彼でしょ?」


 ヤーカミはどうやらルートを、ルートを誘い出してくれたみたいだ。やっと帰れ以外言われたとか喜んでるけど一層台無しだからね?

 らうねーずはこっそり森へ帰る。ありがと、らうねーず。ヤーカミもすぐに飲みに戻る。


「ルート、お疲れさま」

「シェルの方が頑張ったよね? 有り難う、シェル」


 倒木に座る私を、ルートが後ろから抱き締めてくれる。寒くなってきたから、この温もりが余計に愛おしい。


「ルート……」

「シェル、本当にお疲れさま」

「うん……、私はしっかりやれてたと思う?」

「聖女を……?」

「そう、かな」


 よくは分からない。なんだか自分が十分にやれたのか、不安なんだ。

 たくさんの人が死んだ。殺した。もちろん私だけのせいではないけれど。

 防げた死も有ったはずだよ。私は蘇生薬だって持ってるんだから。


「シェルは頑張らなかったの?」

「そんなことはない。頑張ったよ。もちろん私の努力が足りない部分も有ったと思うけど」

「僕はね、シェル」


 ルートが私を抱き締める力が、少し強くなる。ルートは力強いから割と痛い。あいたたたたた!


「あ、ごめん。僕はね、シェルほどは頑張れないよ。君はむしろ頑張りすぎ。それでね」


 頑張りすぎ、なのかな?

 まあ仕事だけはいっぱいやったけど、ほとんど趣味なんだよね。

 ゲームを三日完徹でクリアして疲れてる感じ? 自業自得と言うか。


「君に助けられた人は、君が傷付けた人よりずっと多いし、そもそも相手にも自分の命や幸福を守る責任は有ったと思うよ? 全てを自分が背負う必要なんてない。それが世界なんだからさ。やっちゃいけないことをやって、それで捕まったら捕まえた人が悪い? そんなことは有り得ない。分かるよね?」

「うん」

「僕は君を愛してるよ、聖女、シェル」


 世界は一人では成立しない。今ここでだって、君と私で世界が生まれている。誰か一人の思いだけで世界は動かない。誰か一人の責任でも世界は動かない。

 ルート、そして君は、私の罪を赦してくれるんだね。そのために君といるのではないけれど。

 君のその優しさや、深さで、私は赦されている。


 私を聖女と呼んでくれるんだね。


 もしこの先にまた争いが有るなら、私はきっと前に立つ。一人では生きていけないから、だから誰かを救い、守る。

 だからその時に、私を見ていてね?


 クズ人間の俺が、私の大好きな君に聖女と呼ばれている。


 なら、私はみんなにとって聖女なんだ。それに恥じないように、これからも力いっぱい生きよう。


 いつまでも、走り続けるよ。





 様々な終戦イベントが終わり、女王様を始め、ほとんどの貴族がへとへと、ヘロヘロになってしまった。炊き出しとか色々援助して私も疲れきってるよ。

 でも私はルートと、新しい国の基礎を作ろうとまだ仕事をしている。

 ワーカーホリックにもほどがある!


 まあ分かってるんだけど、なんかやってないと落ち着かなくてさ。ただ休むの苦手。

 イルたちや何故か部隊を引き連れて移住してきたゲハマナさんたちと、最近完成させたゴーレムたちに倒木を運ばせて、建築にゴーレム技術を組み込んで超高層建築に挑んだりしてる。忙しいよ? でも楽しい! そんな風に毎日を過ごしている。






「ルート、そろそろ私たちのお城の基礎が出来るね!」

「楽しみだね、シェル! サンテドールのお城より大きくなってない?」

「私たちの住む結界塔とか研究施設とか飲み会所とか居住区とか商業施設とか工業地帯とか農園とか、色々趣味で組み込んだら城がそのまま都市みたいになった」

「やり過ぎ!?」


 この国の貴族はどうしようかな。イルたちを公爵に据えようとかは思ってるけど、亜人国家になりそうだね。外から人を集めないと駄目か。あんまり信用を置けない人が集まりそうだけど。まあ対処できるよね。

 私たちの作る国、そこではたくさんの亜人たちがやっぱり学園とかに集まって楽しく運命を紡いでいき……。


 もしかしたら私たちはその時も生きてるんだよね。若い子とどうやって付き合ったら良いんだろう? 先を考えすぎ? のじゃロリになったりするのだろうか? 小人化の指輪作っとこうかな?


 まあ、ようやく棲家の部分は作れたから、えーと、ルート、その、もうすぐ卒業だし、一回だけなら良いよね?


 ルートの、お嫁さんにしてね。





 勇者の体力をなめてた。次の日は本当に足腰立たなくなったよ。あんな風になるんだね……いや、逆サイド(男性)とは完全に別物だったよ。これ以上はノク○ーン案件!

 そんな風に私とルートは本当の意味で結ばれた。学園を卒業したら結婚かあ。





 あの戦争からもう二年が過ぎた。

 あれから大きな事件は起こっていない。私はのんびりと炊き出し旅を続け、最近は別の大陸にも手を伸ばしている。

 テレポーターで飛び回り、炊き出しをして、そして思ったのは、そろそろ次の聖女出てこないかな、って事だった。休みたい。女王様の気持ちが凄い分かるわ~。


 ロコちゃんやリカちゃん、簀巻き、もちろん私も結婚したのだけど、何故か今も私たちは集まってよく遊んでいる。サンテドールと私たちの国の友好はずっと続いて行きそうだ。まだ独立してないけどね。

 独立する時はキンノももらえる予定。イレキ湖を中心にした立体構造の国になりそうだ。


 私の作った大量のゴーレムと、森の木の魔物たちで、私たちの王都はかなり変わった作りになってる。湖を囲う城塞型だし空中を飛び回る定期バスならぬ定期トロッコとかエレベーター、動く歩道やエスカレーターなんかも作ったし。自家用車の必要ない事故もない未来都市ですよ。

 いつか日本人転生者がまた現れたら、きっとビックリするだろうな。


 そんな国を私たちは作り上げようとしている。ルートと私が作り上げたこの国が、争いの無い、幸せな国になりますように。





 クズ人間の俺が聖女と呼ばれている ~終わり~






 この二年の間のお話も書きたかったんですが新しいお話が楽しいので、あとおまけの二話を明日更新して、一旦は完結したいと思います。

 有り難う御座いました。

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