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クズ人間の俺が聖女と呼ばれている  作者: いかや☆きいろ
八章 決戦の炊き出し
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帝国戦

 シェルの一撃は殺気が無さそうなのが怖いですよね。味方に当たりそう。

 まあ勝っても帝国は自治区になる予定だ。内政官が足りないらしい。


 ぶっちゃけるとお父様とお姉様とヨドミちゃんと女王様が休みを所望されたんだけどね……。働け。

 まあ私も働きたくないので、この辺りで戦争を終わらせたい!


 そういうわけで私たちは帝国皇都にまっすぐ進軍している。

 ルートとゲハマナさんで軍二つの力有るからね。


 一人で一軍とは言うけど、現実には一人じゃ一軍の権能は保てないけどね。例えば一人で激突しながら遊撃とか出来ないし。

 戦略は一人では出来ないし、一発のミサイルでは戦争は終わらない。

 相手を折るためには絶対に二つ目の手が必要になる。私たちは持ってきた。

 帝国の心を折る戦力を。

 さあ、戦争を始めよう。本当に聖女らしくはないよね! ふふっ!


 流石に皇都に近付けば全力で反発を受ける。皇都の前には数千からの軍隊が並んでいる。

 逆に言えば少ない。ほとんどの兵士をホムンクルス化されたためか、皇帝が権威を失ったためかは知らないけれど。


 この戦争は既に終わってるよね。もう、私たちに、私に勝てる戦力は存在していない。

 ただ、一つの懸念はある。本来辺境に差し向けられたはずの戦力は、どこに行ったか。


 まだネリが何かを仕込んでいるのは想像に難くない。絶対にあいつ、なんかやってくる。

 なので私は。私を汚すまいとしたみんなには悪いけれど、私の責任だって有ると思うから。終わらせる責任が有るから!


 最初から本気で行く。


 アタノールシューター、フルチャージッッッ! ファイア!


 閃光が敵陣を焼き尽くす。敵兵とは言え、罪も無い人を千人単位で殺戮する聖女。終わってるよね。

 でも、これでもう戦争は終わりだ。この攻撃を受けてまだ戦えると言う貴族とかいたら袋叩きにされるだろう。このまま終わりだ。


 ヤツが出てこなければね。


 予想とは違う相手が先に出てきた。

 皇帝さん、いらっしゃい。


「聖女。シェル。何故俺の物になってくれない」

「キロ=キルレオン。あんた状況分かってるよね?」

「俺の行いが、人道に反している、か」

「そうじゃなきゃ私もここまで無慈悲になれてない」


 当たり前だ。何故こいつがネリの行動を許したのか。それが全ての悲劇の元凶なのだ。


「ホムンクルス化の研究は最初は治療目的であった。最初に上手く行った為に研究分野はネリに任せることになった。それがどうしてかねじ曲がり、気が付けば兵がホムンクルス化されて前線に送られていた。配下の貴族を制御できなかった、全ては俺の責任だ」

「それで、大人しく捕まりに来たんですか?」

「いや、王弟ルート、俺と決闘してくれ」


 私と話していたのに急にルートの方を向く皇帝が放った言葉がそれだった。ただでは負けられないか、やっぱり。でも受ける必要も無いよね。ここでアルケミガンぶっぱして倒してしまっても良いし。でも、ルートは受けるつもりみたいだ。男の子だね。


「試合形式で一撃入れたら勝ち。勝ったらシェルをもらう。負ければこの戦争は終わり、そちらの条件を全て飲む無条件降伏を約束しよう」

「本人の気持ちを無視してそういうのはどうかなぁ」

「ルート負けないよね!」

「負けないけど」

「じゃあ、いいよ!」


 正直負けると思ってないし、これで全部終われば楽だし、仮に負けても皇帝が生き残る筋が見えない。多分囚われて終わる。私はそれで救出されるだろう。汚される可能性は有るけど仕方ない。ズルいけど、逃げる手も有るしね。

 そもそもルートが負けないから大丈夫だ。信じてるし、雷神スキルが無敵すぎるし。


「シェルがいいなら。多分この後にも一戦有るし、早く終わらせよう」

「よし、ではシェル、合図を」


 こう言うのってコイン投げれば良いんだっけ? 落ちた瞬間に開始で。そうしよう。


「じゃあ、コイン投げるから、落ちたらそこではじめてね!」

「分かった」

「投げていいよ」


 ルートは一応剣を構えた。皇帝も準備はできたようだ。私は身体強化をかけてコインを思い切り高く弾いた。

 なかなか落ちてこないコイン。二人が汗を流すのが見える。高すぎたかなーとかバカっぽい顔で私は空を見上げている。しばらくして、ザクッと言う土を削る音がした、瞬間。ルートが消え、皇帝も消えた。あれ、皇帝もなんかスキル持ってたの?


 ぎゃりぎゃりと音が響き、剣を打合せているのが分かる。後に残る火花しか私には見えないけど。目にも強化かかってるのになあ。

 しばらく打ち合いが続いていたが、雷撃や爆発が響き渡り始めた。あ、細かいルール決めてないから殺し合いになってしまうのか。しばらくして二人は止まる。


「なかなかやるね」

「無敵スキルを持っていて腕が落ちているのではないか?」

「挑発ならもっと上手くやらないと」


 ふー、やれやれ、と掌を上に向けて片腕は剣を杖にしてため息を吐くルート。格好いいと言うか可愛い。言わないけどね。前に可愛いって言ったら泣きそうな顔してたし。小さいの気にしてるからね、ルート。あ、決闘中なのにこっち向いて心読まれた。泣きそうな顔しちゃ駄目です。大丈夫、好きだから。

 それを隙と見たのか皇帝が仕掛ける。しかしルートは軽くいなし、また消える。

 スキルの影響で爆風が発生したりはしないけど、二人の動きは音速を越えていそうだ。チートだよねー。

 ルートの雷撃が何度か地面を抉り、謎の爆発が地面にクレーターを作っている。皇帝のスキルは火神とかなのかな? けっこう強いなあ。ま、まあ負けないよね、ルートなら。

 一瞬ルートの姿が見えたと思ったら体を雷に変えた。その次の瞬間には決着がついていた。全身を雷に打たれたら普通に立てなくなるよね。生きてるのが凄い。身体強化かな。

 皇帝もぜんぜん弱くはなかったよ。


 やっぱり本気になったルートに一対一で勝つのは無理だ。でも皇帝自身にも敗戦の理由が必要だったんだろう。


 これで戦争は終わったんだ。戦争はね。






 遂に決戦です。

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