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クズ人間の俺が聖女と呼ばれている  作者: いかや☆きいろ
八章 決戦の炊き出し
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聖女を守る者たち

 いよいよ大詰めなので戦闘ばかりですみません。

 私たちは地図を確認しながら邪悪な錬金術師ネリ=ヤリムの研究施設に向かう。一泊くらいしたいところだよね。

 この地図は忍者なヨドミちゃんスタッフが用意してくれました。本当に優秀な忍びたちだよね。忍びとちゃうけど。


 今回はネリは素材を回収に来なかった。ドラゴン素材なんてレアなのにね。自分の命の方が大事だった? それは無いか。アイツは研究に命かけられるタイプに見えた。

 何の思惑が有るのかは分からないけど、ポッシはネリに騙されていた気がするんだ。私を回収するのにレッドドラゴンのホムンクルスは過剰戦力でしょ。殺し合いにしかならない。もっと捕縛に向いたスキルとか有るべきだよね。

 まあ生半可な攻撃で捕縛に来ても結界が貫通できないと言う問題は有るけど。

 人拐いは難しいんだよね。ほとんど成功したケース無かったはずだよ。私が誘拐したりはしないし、された事もないけど、でも狙われてはいるんだよね。物語だとヒロインがポンポン誘拐されるけどね。

 竜に拐われる聖女なんか居なかったんだよ!


 とりあえず一晩休むことにした。森の中に地下を掘ってくれるプラムたち。ガチガチに結界を張って中にテレポーターを設置。帰宅。


 戦争中に毎日帰宅するのは私たちくらいだよね。そしてお酒飲んで寝る。


 まあ夜には鋭気を養わないと。絶対に勝たないと駄目な戦いだからね。今日もみんな頑張ってくれたし、労おう。

 人間を材料としか見てない奴に負けてたまるか。負けたら悲惨すぎる。たくさんの自国の人たちが研究材料にされる。そんなこと、許せるわけない。


 バッチリみんな睡眠を取ったら朝粥を炊き出し。そのあと、テレポートして戦争だ。

 朝粥の具は鶏肉の佃煮とか甘辛系と山椒やお酢を使ったさわやか系、唐辛子を使ったピリ辛まである。

 お粥がどうかなと思ったけど割と大好評。まあ朝粥は名物になるくらいの代物だからね。簡単だし。

 私が食べたからか梅干しジャムを試す人も多かったよ。あと、肉も多かった。ユサめ……。

 鮭は一緒に炊いた方が美味しいけど焼いた鮭を乗せた粥も抜群に美味しい。柑橘系の黄色い皮を薄切りにして彩りにしても良いし、胡椒と胡麻油を足しても面白いよね。お粥は色々広がるよね~。広い世界は幸せを生むんだよ。自由になれるのは世界が広いからだよね。

 ホムンクルス研究は確かに凄いけど、誰かを犠牲にしなきゃ出来ない研究より私の世界の方が、絶対に広い!


 二日ほどかけて、ホムンクルス研究所にたどり着く。ポッシが連絡入れてたらもう私たちが来たのはバレバレだろうね。でも、なんか静かだ。

 試しにユサが爆裂弓を研究所にぶつけてみる。流石にこの兵器、建物くらいは砕くよ。念のため天井の人のいなさそうなところや外壁を砕かせる。


 ん? なんか大騒ぎになってる。……。知らされて、無かった? あんなに派手に戦ったのに?


 ポッシはあいつを嫌ってるっぽかったもんな。切られるの分かってて、最後に噛みついたんだ。報告を入れてない。

 遭遇した時点で報告を出すように指令は出せるからね。明らかな裏切りだ。ポッシさんもこいつらを、こいつらのホムンクルス研究を許してなんかいなかったんだよっ!

 民衆を犠牲にしたこいつらを、決して。

 私も、私だって許さない。


 アタノールシューター、フル、チャージ!

 消え去れ、邪悪な研究施設!

 民と、民を思う兵のために、私は!


「シェル! 待って!」

「ルートっ!?」

「君が手を汚さなくても良いよ……。僕らに任せて」

「でも、ルート……」


 私に手を汚して欲しくないって……。多分もう汚れてるのに。私は、聖女なんて器じゃ無いのに。

 そう思ったら、ルートは私の心をまた読んだ。


「僕の聖女様。君は汚れてなんかいない。いつだって誰かのためを思ってる君が、例え間違いを犯しても、僕は君を赦し、守り抜く」

「ルート、ルートぉ」


 首に手を回し、額に額をくっつけて、ルートは私を許してくれる。癒してくれる。

 甘えて……しまうよ……。


「うおおおおおおあああっ!!」


 突然響いた声と共にゲハマナさんが走る。研究所から出てきたホムンクルスたちを蹴散らしていく。

 あの人は、私の幸せを守ろうとしてくれる。本当に素晴らしい騎士様だ。リカちゃんもそりゃ大好きになるよね。

 ルートもアンセルもカナイも、それに続いて走り出す。


「はっはっはっ、シェル様はモテモテじゃのう!」

「人間を食らうのは魔王の仕事なの~」

「じゃあ、私たちも行くか」


 三魔王たちも続けて走り出す。既に災厄レベルなんですけど。

 みんなが私の代わりに戦ってくれる。獣人娘たちとリカちゃんは私を守ってくれる。近付く敵は速攻で撃破されている。

 ルートの雷撃とゲハマナさんのインパクトを合わせた合体技が研究施設を破壊している。……いや、流石にやりすぎじゃない?

 研究施設はどんどん倒壊していき、残った敵もどんどんと殲滅され、生き残った研究員も、何割か余波で死に、残りはイルたちに捕らえられた。残念だけど私は、人間が死んだとは感じなかった。悪魔以下のゲス共。何千人殺したんだろう?


 …………なんで出てこないの、ネリ。


 邪悪な錬金術師、ネリ=ヤリムは、ホムンクルス研究施設を捨てて、逃亡していた。

 恐らくは、ポッシさんが稼いだ時間で。






 次は一呼吸置いて、最終決戦になります。

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