決戦!
火竜戦、最後です。
様々な準備を整えていると、ついに火竜は溜め切ったブレスを放ってきた。
敵のドラゴンブレスは凶悪な威力で、結界に使ってる畜魔石の魔力がグングン減っていくのが分かる。超ヤバイ。途中からプラムが魔力を足して結界にチャージするも、暑さによるダメージが凄い。氷で冷やすと湿度は高くなるので湿度は伝えず温度は伝えるように内面を皮張りにした木のケースに氷を閉じ込めて設置。水分は後で結界の外に流す。簡単エアコン!
究極の切り札は切りたくないので連携で仕留める事にしてみんなで話し合う。
って言うかアタノールシューター耐えるとか半端じゃないね! 最上位のドラゴンをホムンクルス化したらああなるのか。良いなあ。……ミドリちゃんのホムンクルスなんか作りませんよ? でも強いなあ。個体戦力ではこいつが最強でしょ。……作りませんよ?
隣の芝は青く見えるんだよね。うちだってアタノールシューターとか戦局を覆す兵器有るんだから。ルートもまだ究極の技は放ってないしね。なんたって勇者様なんだからね。ドラゴンを倒すのは勇者の仕事でしょ? ルートなら倒せるよね? そして今はここにいないミドリちゃん。
火竜のブレスに耐えきったところで、反撃、少しだけチャージ出来たアタノールシューターを放つ。私たちは準備してきた。準備しまくって来てるよ!
火竜の頭蓋が抉れ、脳は吹き飛ぶけどホムンクルスには止めにはならない。こいつらの生命力は生物の限界を超えてるよ。
結界を解除して飛び出すゲハマナさんの全身全霊の一撃で火竜の背中側から一撃を叩き込み、脊椎から肺まで潰す。えー、凄まじい。全開状態で全部叩き込むとは聞いたけど凄まじい。あれ物理攻撃じゃないよね。万能物理攻撃? 獣人たちが魔力体力尽きたゲハマナさんを回収する。
天空からあの子の声が私の心に直接聞こえる。
『じゅんびおっけーなの~』
「プラム!」
「魔石四連結多重結界!」
これが奥の手の一つ、畜魔石を四つ連結してとにかく守る! 実はある発明を思い付いて、そこから派生した結界発生装置だ。本気を出しても奥の手は出し尽くせないくらい作ってきてます!
『ぐりーんどらごんぶれす~ふるぱぅわーなの~』
グリーンドラゴンのブレスが火に効くのか? 答えは効く。めっちゃ効く。
もし、火に良く燃える物を投入したらどうなるか? ガソリン? いいえ、酸素と燃料の塊、グリーンドラゴンの優しい緑のブレスです。ちょっと町一つ滅ぶ優しさ。
そんなの爆発するに決まってる。火を爆発させて消すなんて方法も有るんだよ!
そこで味方から身を守るための四連結結界です!
「ううっわあああああああっ!!」
「きゃあああアあああっ!!」
いや、この結界でも地震や閃光は部分的にしか防げないよ……。全部防ぐと真っ暗になっちゃうからね。奇跡のスープ食べよ。もうすぐお腹一杯ですよ私。直接戦闘はしてないのにね。
まだ残骸が残っててそれが合体を始める。一つの塊になっていくドラゴンの群れ。邪骸竜とか名前が有ったのかな? 知らん。
削りまくったので集めても火竜の四分の一にもならないけど。もう戦いは終わってる。
固まり、形になったところで、私の大切な人は結界を出る。彼のフルパワーは、誰にも負けないんだから!
「シェル~っ! 行ってくるね!」
「行ってらっしゃいルート!」
一人だけ仕様が違いすぎる勇者様、フルパワー!
今、雷神の真の力が炸裂する! いっけーっ!
「宇宙の果てまで、飛んでいけえええッ!!」
「ぷぎゃ……」
ルートの全身全霊での蹴り上げ、その一撃で、ドラゴンだったものは宇宙に消えた。途中で燃え尽きたかもね。見えなくなった。
流石にあそこまで削ればルート一人、フルパワーなら余裕だったようだ。疲れた。ルートも倒れちゃった。結界~。ルートに傷付ける敵が居たら流石に私も躊躇せず殺す。躊躇した記憶がない? あれ? いやいや、この戦いの最初で躊躇したもん! したよね?
やっぱり雷神スキルヤバイよね。人間が雷になると本当ならブラックホールが発生すると思う。つまりルートのスキルは制約がスッゴく多いんだよね。それでも超一級のチートだよ。それとやりあえるゲハマナさんもおかしいね。なんか凄いスキル隠してるのかな? 軍事機密だから教えてもらえないけど。こっそり聞いてみたらスサノオって言うスキルらしい。身体能力強化系スキルみたいだ。名前からしてアイツが作ったんだろうなあ。中二病が治らない女神様。雷神もトールや建御雷神とかインドラや、雷神は強い神様が多いよね。うーん、私にももっと良いスキル有ったんじゃ無いかな~。涙目になって来るよね。まあ良いスキルだとは思うよ、植物会話。チートはチートだよね。
さて、どうやらしぶとかったドラゴンももう起きてこない……と言うか宇宙ごみ増やしちゃった?
まあそれは未来の人に頑張ってもらおう。敵が居なくなったので目的地、ホムンクルス研究施設を破壊するよ!
戦争は国に任せる。これが私の、最終決戦だ!
まだ終わりませんけどね。
ヤクラ『あついねー』
ヤクリ『たたかいねー』
ヤクル『あるらうねー。いっしょにたたかいたかったねー』
プラム「流石に足手まといだろ」
ミドリ「わたしたちが~?」
モモ「ひいっ、来るでない!」
プラム「トラウマになってるな先代……」




