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クズ人間の俺が聖女と呼ばれている  作者: いかや☆きいろ
七章 青春の炊き出し
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キンノの住民は幸せですわ(ウルル視点)

 二話更新の二話目です。

 初めましてですわ、新しく移住された方ですわね?

 私、この町で一番の宿を経営しております、ウルルともうします。ハーフリングなので子供のように振る舞っておりますが実質宿の経営は私がしておりますわ。是非お泊まり下さいませ。


 聖女様の町へようこそ、です。


 この町は聖女シェル様により拓かれた地と言っても過言ではないのです。貴方がよほどの無礼者で無い限りこの町は貴方を受け入れますわ。あ、何か犯罪行為をなされるならお気をつけくださいまし。

 普通に治安組織が人外的に強いので私たちは心配しておりません。つか人外どころか魔物が治安維持しております。魔王級ですので貴方がSランク冒険者やそれ並みに強い兵士でも、まあリンゴ一つ盗めないと思いますわ。

 この町で犯罪など……命が惜しかったらやりませんことね。そこいらの商店主が無敵ですからね。


 例えばここには錬金術師の中でも戦闘力は最高峰に位置するクシワクお婆様がおられますが、ご高齢にも関わらず聖女様に並ぶ戦闘力を有しています。拳で岩を破壊する錬金術師など彼女くらいでしょう。当然彼女の力を取り戻したのは聖女様ですわ。

 錬金術師なので当然様々なアイテムを使えますし、Sランクのアイテムも幾らか作られているそうですわ。得意は攻撃系の道具や捜査系の道具らしいです。貴方のことを察知されたのもクシワクお婆様ですわ。私はいつもは宿にいるのですがこう言う時には案内役もしております。ハーフリングは見た目が子供なので相手様も警戒しませんのでね。


 次にこちらにお住まいのヤーカミさんですが、お一人で魔物が蔓延るこの地域で毎週のように行商に行かれている凄い商人様です。彼の祖父だったか、一流の魔導師で冒険者だったそうですわ。彼自身の戦闘力は未知数ですが相当な強さだと思われます。まあ彼が戦闘力を自慢することは有りませんが。聖女様とはお友だちらしいですわ。まあこの町に聖女様と関わりがないとか嫌いと言う人は一人たりともいません。でもまあ彼が行商に行った先でも手を出したら酷い目に遭うのは間違い有りませんわね。人脈も凄い方らしいですわ。


 次にこちらにお住まいのヨルア=モデンナさん、彼の父も暗殺者でご存命です。当然聖女様のお力で若い頃の力を保っておられますわ。迂闊なことをされると殺されてしまうかも知れませんわよ? 察知能力も隠密能力も桁違いです。隠れてこそこそ悪いことをしてもすぐに見つかりますわ。私も何度か叱られましたわ。


 そしてこちらが村長様の、ああ、今は町長様ですわね。町長様のダツヤナ=キンノ様のお宅ですわ。町長様は有名なSランク冒険者だったそうで、やはり聖女様の奇跡のスープのお陰で当時の力を保っておられるそうです。ここで騒動など起こそう物なら間違いなく彼が飛んで来ますわね。勝てるとお思いなら暴れてみるとよろしいですわ。


 だいたい紹介してしまいましたかね? あ、この町にはまだまだ紹介しきれていない退役した冒険者の方がたくさんいらっしゃいますし、当然聖女様のお力で彼らも復活していますわ。

 子供もみんな聖女様のアイテムと奇跡のスープでそこらの冒険者が裸足で逃げ出す程度に強いです。拐おうとした人が何人も返り討ちに遭いましたわ。聖女様を脅そうと考えていたらしいですが頭が悪すぎますわね。この町で人拐いなど生きていけません。まあ犯罪者にも寛容になってしまうのは仕方有りませんわね。子供のいたずらとテロがあんまり変わりませんからね。


 例えばあそこにいる方は元盗賊だそうですが今は聖女様に忠誠を誓われていて、この町の治安維持を担う兵士様になられた方なのですが、地獄耳で、何かあればすぐに駆けつけて下さいます。このように有名な犯罪者の方もこの町では聖女様の信望者です。表も裏もなく聖女様の守りを固めているのですわ。


 さて、そろそろ聖女様のお宅ですわ。

 分かっていらっしゃるかと思いますが、彼処が一番の魔窟です。魔王級の魔物が毎日のように出入りして、この国の王侯貴族やその護衛や戦えるメイド様たちが出入りして、Sランク冒険者やAランク冒険者がいるのに家を守っているのは小さな薬草の妖精さん、そんな奇怪な家ですわ。いえいえ、聖女様の家を奇怪などと言ってはいけませんわね。

 そこにいる方々のお陰でこの町は無敵の要塞になっているのですわ。石垣も塀も堀も必要が無いのです。あの方たちが出てくれば一国潰すくらいは訳がないので。


 あ、申し遅れました、私はハーフリングの魔導師、隠者ウルルと申します。年は内緒ですわ。乙女に聞くものでは有りませんわね。

 当然私も力を隠しておりますので貴方がこの町で何かをやろうとしているスパイなのも理解しておりますが、んー、今までの話を聞いて何かをやろうとしているのならお利口では有りませんわね。


 あ、お帰りになられるのですか? 一口聖女様の奇跡のスープを食べて行かれたらよろしいのに。

 そうすれば何故かみんな改心されますわ。まあ改心せざるを得ないくらい美味しいので食べていって下さいな。


 私から逃げられると思いまして?

 シェル様を聖女様とするためなら私どんなことでも致す所存ですのよ。貴方も聖女様の素晴らしさを味わうのです。いいえ、味わわせてあげますわ。


 うふふ。やはり聖女様の偉大さには皆さん畏怖しますわよね。聖女様はこの町のシンボル! 私の宿も大繁盛ですわ!

 一年くらい泊まっていっても構いませんのよ?


 聖女様の御座すキンノは、幸福な町です。私たちは幸せですわ。


 ん? あれ? 聖女様がなんか引いてますわね。私たちは聖女様の味方ですわよー!







 ブラックウルル。実は成人?

 次から最終章です。

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