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クズ人間の俺が聖女と呼ばれている  作者: いかや☆きいろ
七章 青春の炊き出し
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三魔王プラスラウネーズ(プラム視点)

 今日も二話更新です。

 今日もキンノは平和だ。美味い飯と柔らかなソファが既に私の居場所になっている。晩酌も楽しみである。

 シェルは最近幾らかの指輪の付与の研究で忙しい。蘇生薬作りも進めているし、大変そうだ。作業を一通り終わらせると晩酌になる。

 最近は晩酌の時間になると狙ったように先代モモとグリーンドラゴンのミドリが来る。そしてヤーカミも来る。


「ラウネーズと遊ぶの~」

『どらごんねー』

『あそぶねー』

『あるらうねー』


 ミドリはラウネーズと良く遊んでいるが五千才を超えるドラゴンが生まれたばかりのようなラウネーズに弄ばれている。あいつらは時々変な能力を発揮するからな。妾も取り押さえられてくすぐられたりする事があるし、怒らせるともっと凶悪な……ぶるり。思い出すのはやめておこう。

 なのでこの家で一番権力が有るのはシェルだが、二番目はラウネーズかも知れない。


「不甲斐ないのう」

「いや、しかしな、あいつらを痛め付けるとシェルが怒るからな。本気は出せんし」

「魔王級が聞いて呆れるわい」

「ラウネーズは強いの~」

「どれ、儂が一つ揉んでやろう」


 その後先代の悲鳴が聞こえた。やはりこの屋敷はラウネーズの巣だ。何か怪しげなトラップで拘束された先代は人間のように嬌声を……見なかった事にしよう。若い少女の姿になった先代のあのような姿はこの世界では語ってはいけない気がする。

 この屋敷でラウネーズの地位は揺るがないようだ。

 それを見てシェルが真っ赤になってラウネーズを叱っている。ラウネーズもシェルの言うことは聞くからな。この館の主はシェルなのだ。


「なんなのじゃあやつら、儂の力が抜けるように絶妙に蔦を絡ませてきおって……」

「モモが真っ赤な顔で涙目なの~。あんなところとかにあんなこととかされてたの~」

「ミドリ、あんまり詳細に語ってはいかん。世界が終わるからな」


 本当にその方向の話は他でやれ。ここでの話は健全でないとな。シェルも嫌がるし、うん。

 それはさておいて、酒を飲もう。今日は珍しくラウネーズも飯を食うらしい。いつもは酒の席にはいないのだが、どうやら今日はミドリと遊びたいようで、珍しくもシェルにお願いしていた。可愛いところも有るんだがな。


「そう言えばラウネーズは温泉に入りたいらしいぞ」

「あえっ、あいつら温泉とか知ってるの?」

「うむ、先日は銭湯に行ったな」

「銭湯で住民が異常なパワーアップしたとか聞いた気がするんだけど?」

「ラウネーズは薬草ラウネと言う伝説級の生物だぞ? その出汁が出た温泉など女神様も浸かりに来るレベルだ」

「つくづく異世界だな~。ラウネーズ薬草風呂……入りたいかも」

「な? 妾たちを温泉に連れていけ。ちなみに妾も多分薬効あるぞ」

「うーん、なんか物凄い興味がある。みんなでマヤ行くか」


 そんな風にシェルを陥落してラウネーズと妾は温泉に行く権利を得た。そもそも妾はシェルの師匠的立場なのに魔物だから人間界では扱いが悪すぎるのだ。まあ亜人や魔人も多いこの国は魔物にも寛容だ。ペット魔物とかいるからな。使役獣も普通にいる。まあ珍しくはあるが。シェルが存在を知らないのは意外でもない。

 あいつは引きこもりから一気に貴族以上の存在になったから世間はほとんど知らない。普通に出歩いたら分かることでもあいつには経験がない。普通に出歩けるマヤくらいしか分からないだろう。

 そしてそのマヤでもグリフォンやドラゴンの使い魔は日常的に使われていたりする。私は世界を旅した事が有るからな。マヤもウトリもクオトも行った事がある。

 クオトは蒸留酒が美味いし、気候が寒いからか人は割と暖かい。そのクオトがサンテドールから離反したと聞いてサンテドールが悪政を敷いたのかと一瞬疑ったくらいだ。だが、クオトの王族が腐っているならそれは、そちらの方が許しがたい。シェルたちには頑張ってもらおう。


 まあ何となくだが、上手く行く気はしている。女神様がシェルを復活させてこの地に降ろしたのは植物ネットワークで明らかだ。植物の情報収集能力は人間の諜報を超えるからな。シェルの前世がむさい山賊風味のおっさんと言うのは未だに頷きがたい。あいつは何故あんなに女の子なのだ? 外面を取り繕っていたら内面が引きずられてしまったのだろうか?

 うむ、なんだか分かった気がする。


 そしてまあ、妾たちとラウネーズは薬効を推してマヤの温泉に来れる事になった。何故かサンテドールの女王が鼻息を荒くして是非是非言っていたのは気になるが、ラウネーズは何故かお堅い貴族に特に好かれているからな、リカとか。

 やはりああ言った可愛らしいのはみんなに愛されるのだろうな。妾も何だかんだ言ってあいつらを大切に思っているし。

 ラウネーズって洗脳能力とか持ってないよな?


 まあ、何はともあれ妾たちはラウネーズと温泉に行く権利を得た。グリーンドラゴンとかどんな薬効が有るか想像もつかないぞ。妾も薬効が有るらしいが分からん。魔王級植物だから実は凄いのかも?


 シェルたちや女王が一緒に温泉に入って、ああ~、っとなんだか獣のような声をあげていた。ラウネーズの薬効は魂から疲れを取るらしい。

 植物魔物と人間の親和性は実は高いんだろうか?

 妾ほど長く生きていても分からないことは意外と有るものである。






 らうねーず風呂は女湯限定。

 次は十九時に更新です。

 私→妾に修正

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