三獣人娘(イル視点)
二話目です。この話を含めてあと二十話。最後までよろしくお願いいたします!
私たちはシェルを守る三獣人。
守りのイル、癒しのレコ、攻めのユサ等と言われたりもする。同じパーティーなのだから三人で戦う事も当然多いし、コンビネーションは取れていると思う。
ユサがたまに狩りに行かずにシェルの家にいる時は訓練したりもする。ユサは狩りに行きたがるので、狩りで訓練する事の方が圧倒的に多いが、対人鎮圧戦闘はやはり訓練でないと身に付き難い。
私たちはシェルを守るのだ。その点はユサも分かっている。よって対人訓練は何度も行っている。
相性の問題が有るので対人戦闘はユサよりレコ、レコより私が強い。ただコンビネーションを取るならユサが一番攻撃力が高く、攻撃の命中精度も一番だ。私が前にたち、レコが遊撃でかき回し、ユサがとどめを刺す、そのパーティーとしての完成度が私たちの強みだろう。
「肉を食べたい」
「訓練もこの辺りで切り上げますか」
「イルは普通人種みたいに喋るようになった」
「物語の騎士に憧れていますから」
「どの話?」
ユサと最近は本の話を良くする。最近はユサは獣人美食旅とか言う本を出版したらしい。これが王都で受けていると言うから世の中分からないものだ。まあシェルの料理の話などが主体なので憧れも有るんだろう。私も読んでみたがシェルの料理に対する情熱、兎獣人も肉が好きな者もいると言う熱い主張など、中々に引き込まれる内容になってる。……本当に人間はどう転ぶか分からない。
印税で奢ると言われたが肉だった。狩りで散々食べてるのに何故飽きないのか? 私は少し飽きたので根菜の煮物を食べた。……うーん、やはりシェルの作った物の方が美味しいんですよね。出汁が決め手だそうだ。
たまには違う事にお金を使おうとマヤの温泉に行く事にした。最近リーカやロコ、簀巻きの三人が良く遊びに行ってるらしい。シェルは何かアイテムの実験で動けないそうだ。私たちが温泉に行くと告げると血の涙を流していた。今度はシェルも連れていこう。
温泉に行くのだが時間が早い。興味はあまり無いが植物園を見てこよう。シェルは森の聖女なのだからその御付きである私たちが植物に興味がないと言うのは少し不味い気がするし。意外にもユサは乗り気だった。やはり本を書くようになって変わったのだろう。
それにリーカたちも植物園を良く巡ってるらしいし、会えるかも知れない。
何故かトマヤの王女ラクサに会った。……さすがに獣人ルールで呼び捨てて良いものだろうか? 最近は獣人の村から離れて長いせいでこの獣人ルールに疑問を感じ始めている。ユサは気にしないだろうし、レコはもっとどうでも良いと思っていそうだ。丁寧に挨拶だけしてその場を後にする。
植物園に辿り着く。やはり三人が居たので合流する。レコとユサが肉串に食らい付いたので話す相手がいない。しかしここの肉串は美味いな。シェルの味に匹敵するとまでは言わないが。
「あら、イルじゃないですか、珍しいですわね」
「ああ、植物園をたまには見て回ろうと思いまして」
「シェルにお土産も買えますしね」
「そうでしょう、何が良いだろうか?」
「この、さぼてん野郎ストラップを集めているらしいですわ。可愛くて私も好きなんです」
「ほう、色々な種類が有るのですね」
被ったりしたら私がもらえば良いか。何種類か買っておこう。
私たちは最近Aランク試験に合格したのでお金はかなり持ってる。キンノが大きくなってきて依頼も増えているし、森の魔獣を狩るだけならいつもの事だ。
そしてそのお金をシェルに使えるのは幸せな事に感じる。やはりこの辺りは私は獣人なのだ。
「イル、これなんかどうだろう。シェルは喜んでくれそうだ」
「ん、これか。ユサはセンスが良くなってきたか?」
ユサが選んだのは三匹のさぼてん野郎がダンスを踊っているストラップだ。ラウネーズを思わせる。
「このストラップはシェル持ってますわよ。初めてこれを見付けた時に貴女たちのようだと言ってすぐに買ってましたわ」
「私たち? ラウネーズには見えたが」
「ラウネーズはもっと可愛いですわ!」
「リーカはラウネーズを好き過ぎだ」
リーカは自作ラウネーズ抱き枕とか作ってるらしい。裁縫が出来るのは凄いな。そう言うのは貴族の嗜みらしいが。私たちも既に貴族の一員ではあるが、そう言った教育を受けた方が良いんだろうか?
ユサなんかは私よりずっと器用で何でもこなせるから、もし学ぶとなると負けるだろう。レコは寝そうだ。ユサも狩りに逃げるかもしれないな。文章を書く力になると思えばやるかも知れないが。
六人で温泉に向かう。レコの目が怪しく光る。む、胸を揉まれる! 何故メスなのにメスの胸を揉むのだ! 女らしくした方がモテるのでは無いのか? そう言ったら一時は止まる。最近アンセルと更に仲が良くなって女らしさを意識するようになったらしい。うん、貴族教育もその方向ならレコも頑張るかも知れないな!
そう思ってリーカに聞いたら笑われた。勉強なんてやりたいことをやりたいようにやれば良いと。まあ私たちは学校には行かないからな。自分に役に立つことを学べば良いか。
だが時々、リーカたちが羨ましくなるんだ。私たちもシェルと学園に通えたら、もっと話が出来るのに。シェルは嫌がるかも知れないが私たちの縫い包みをリーカに教わって作って渡してみよう。シェルは喜んでくれるだろうか?
次に書くお話迷ってます。みんなどんなお話読みたいのかな。
この話の続編ぽい話、異世界転移物二つか三つ、メラ使なろう版、エロ、TSネタ、現代不思議系二つ、書きかけで止めてる話とか色々有ります。
人気のなさそうなお話を書くのはきついし、楽しいお話は選びたいと言う矛盾で悩みます。




