戦い
友達と料理の研究するの最高に楽しいですよね。
ありすちゃんとルートの戦いが始まる。
まず先に手を出したのはありすちゃんだった。鉄柱を林のように発生させる、雷対策の魔法のようだ。卑怯だよね、あのスキル。土魔法で金属を作れるなら錬金術師は苦労しないので、恐らくはありすちゃん個人のスキルなんだろう。上級貴族だもんね、それくらいスキル持ってるか。
ルートもそう来ると分かっていたんだろう、直接剣を抜いて斬りかかる。しかし、土の林でありすちゃんは身を隠した。
物理化術式の難易度から言えば考えられないほど魔力が高い。私やルートにも並ぶ魔力保持者だ。普通人種じゃないの? ひょっとしてあのロリ化魔道具に何か秘密が有るんだろうか? 種族改変効果とかは少なくとも有りそうだ。もしそうならヨドミちゃんやありすちゃんが常時あの姿でいる意味がある。
「ただの趣味ですわ」
「ヨドミちゃん突然出てきてそのセリフで良いのか?!」
まあ冗談みたいだ。流石に一族の秘密なので教えてもらうわけにも行くまい。この世には解明されてはいけない謎が幾つもあるのだ。てつがく。
解明したことで兵器や戦争の種になった謎なんてごまんと有るしね。
ちなみにヨドミちゃんを筆頭に会場警備している。カナイも大会に参加するより私の身を守ると言う事で隠れていたりする。男性陣は戦いを見たいと言ったら文句も言わず大会に参加してくれた。
見た目だけは女神様にチートもらったなー。いや、植物会話もチートですけどね。
ルートたちが激しく戦っているが私はできる限り女王様やララキお姉様、リカちゃんたちと無防備にわいわいと盛り上がる。
この大会は釣りだ。未だに燻っている闇ギルドの残党、クオト、キルレオン帝国、………色々狙う魚が多い五目釣りだ。
もし私が殺されたらその時のために蘇生薬をイルたちに持たせて隠れさせている。女王陛下も狙われるだろうし。
リナトのモトくんたちや、ラクサさん、今回は参加してないマヤのラジク王様やキスリカ様も、ここに集まって釣り餌になってくれている。
下手をしたら全滅だ。だけどこんな美味しい状況だからかならず何らかの動きは有ると言うのがヨドミちゃんやシンクお父様の読みだ。
私にできるのは餌としてここにいるだけである。私は美味しいぞー。いや、ルートにも食べられたこと無いからね!
試合の方はルートの攻めにありすちゃんの守り、その対決と言った様子だ。ルートは相性が悪いのだろう、攻めあぐねている。
二人が疲れきってしまったら危ないな~。私も拐われるか殺されるかするかも知れないね。
そう言う状況を作らなきゃ釣れないよね。
この戦いは最初から釣りだ。クオトの動きが悪すぎるし帝国の動きもおかしい。そもそも邪骸騎士たちは何故私たちを攻める事を公言しているんだろう?
そう、皇帝は私が欲しいとは言ったが、宣戦布告はしていない。まだ本当は始まっていないのに、何故あいつらは………。
私たちが釣りたい魚は三匹では済まないと言うことだ。
ルートは業を煮やしたのか、思いきり魔力を貯めている。あれを食らったら鉄でも溶解しそうだ。そんなレベルで雷を集めている。あ、そう言う事か。
雷が落ちた避雷針に近すぎると雷のダメージは受けるのだ。いくらありすちゃんが鉄柱を立てようが、ありすちゃん自身にも雷が通るのは変わらない。
つまり、力押しだ。実際に避雷針が有っても落雷の音や衝撃だって簡単には消せないはず。試合開始から一方的に魔法を放っていたありすちゃんと、ほぼフルパワーで放てるルートの雷の威力。果たして、避雷針の林の中に入ればダメージを受けないんだろうか?
ルートは突然に消えて林の中に突っ込んだ。ありすちゃんはそれを予測していたのか土のドームで身を守る。
しかし、雷は実は岩を通る。その際岩を溶かしつつ雷は進む。雷により溶かされた砂から閃電岩と言う岩ができる現象が存在する。つまり、雷の力は一つではない。衝撃波や熱など、そのエネルギーは簡単には止まらない!
「洒落になりませんわっ!」
「砕け散れ!」
「十年来の幼馴染みを砕かないでくださいまし!」
どうやら雷撃の威力が収まったところでありすちゃん自身の魔力で結界を張ったらしい。魔力と魔力をぶつけ合うような凄い戦いだ。
ロコちゃんが「はかどる」とか謎の言葉を放ったが聞かない振りをしておこう。彼女は意外と属性が多いな。
ロコちゃんと簀巻きが簀巻き語を介して流暢にほもーな話をしだしたので私はチベスナモードになってスルーした。私には危険すぎるネタだ。私はノーマルです。そう言うの苦手です。
おろおろしていると後ろでピシリ、と音がする。どうやら魚が一匹釣れたみたいだ。
闇ギルドの生き残りがカナイに凍結させられていた。後で蘇生して取り調べしよう。
蘇生薬が出来たのである程度殺す気で行っても良い状態だ。相手も殺す気で来るんだから当然では有るけどね。
カナイやヨドミちゃんがバシバシ釣れた魚を氷絞めしているが、ルートとありすちゃんの戦いはありすちゃん魔力切れで終わったようだ。
ゆっくり倒れるありすちゃんをルートが支える。ロコちゃんと簀巻きが盛り上がってるが無視だ。ありすちゃんはオスだしルートは浮気しない!
そんな阿呆なやり取りをしていると、北の空からもう一匹魚が飛んできた。いや、飛んできたのは、………豚?
この章は終わりです。閑話四話を二話ずつ更新して、次は決戦の炊き出しです。次で本編は最後になります。
よろしくお願いいたします。




