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クズ人間の俺が聖女と呼ばれている  作者: いかや☆きいろ
一章 クズ人間は聖女と呼ばれる
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冒険者!

 二日連続三話更新とかやってみます。

 なんか分かったらしい。俺が分からんがいつも作ってる飯の匂いとかが俺の臭いと認識されていた可能性は有るな。あとイルたちの名前を知ってる知り合いが少なくて、俺が色々体を使う癖も余り変わってないのもあるか?

 それにしてもこいつらデカくなったなぁ。前が痩せすぎのチビすぎだったのかも知れん。ぜんぜん気付かないくらい変わった。


 イルとレコは俺に抱き付いてきた。なんか泣きながら説明するから分からないが、予言者だか占い師に居なくなった俺が何処にいるか聞いたらしい。そしたらここで女になって炊き出ししてるとか言われて、そんな馬鹿なと思いつつ来てみたそうだ。あのあとすぐに奴隷から解放されて冒険者になったらしい。気候が変わらなかったので俺は気付かなかったがあれから丸一年たっているんだった。


 その占い師に女神様が伝えてくれたのかも知れないな。ユサも魚の尻尾を掴み吊り下げつつ号泣している。お前本当にぶれねえな。


 まあ飯を作ってやるか。魚の切り身とネギとかの野菜をバターと塩胡椒で豪快に炒めてパンに乗せて皿に盛る。これ美味いんだよな。奮発して柔らかいパンを買ってきた。かなり高いから大量には用意できないし、毎日炊き出しには使えないが柔らかいの有ったよ……。

 ヤーカミももう夜なのに食材を運んでくれるのでスープとかパスタも作ってやることにした。人が多いから速い。


 どうやらあのイケメン騎士はこいつらを見つけたが俺を殺した事は言わず、奴隷をそのままにしておけないので半ば無理矢理三人を連れ帰って足輪とかを外して、服とかも用意してある程度サポートしつつ三人を解放したらしい。

 三人も一年経ってだいぶデカくなっている。……俺の体感だと数日なんだが、凄く懐かしい気がしてしまう。

 三人を落ち着かせてから料理を続ける。俺の好きな魚を主体にした牛乳のスープを作ってやる。塩胡椒とクローブの香りが美味い。


 こう言うとこで揚げ物とかをすると火事が怖いから出来ないが、塩胡椒で下味をつけて小麦粉をまぶして、サラダ油でにんにくを炙って焦げないうちににんにく片を取り出した、にんにく油で炒める。にんにく油は刻んだにんにくを漬け込んだのも美味いよな。

 一つ味見して塩胡椒を足して調整。これはつまみに良いんだよな。冒険者たちに酒も回す。


「暴れんなよー!」

「はーい!」

「有り難う御座いますシェルさん!」


 好評だな。これから冒険者に色々仕事を頼むつもりだしな。片腕でパンをかじってたカナイを呼び寄せる。


「よく知らないんだが冒険者に依頼を出すにはどうすれば良いんだ?」

「普通は冒険者ギルドに依頼を出してもらうが」

「隣町には有るんだったか。面倒だが行くかな」

「直接依頼と言うのも有る。酒場や道具屋なんかで募集の張り紙を出してみろ」


 最初の時は無愛想だったのにずいぶん喋るな。酒飲むと喋るタイプか。

 俺は少し笑いつつ酒に酔った勢いで叫ぶ。


「この村の周囲の魔物を一匹倒したら銀貨一枚、先着千体! 素材はいらん、誰かやってみないか!」


 その俺の言葉に冒険者たちは、オオーっ! と片腕を突き上げて叫んだ。わはは、乗りのいい奴らだな。今の俺が女になってるせいかも知れんが。女冒険者も盛り上がってるからやっぱり乗りがいいんだろう。金はダツヤナ村長とクシワク婆様から受け取ってもらおう。金貨にして十枚分だから余裕だろう。


 金を稼ぐ手段は有るがクシワク婆様の懐が心配だな。後で相談してみないと。

 薬草を輸送してもらうのも信用の置ける冒険者が居ないと無理だ。持ち逃げされてもなんにも出来ん。カナイは魔術師だし片腕を怪我してる。一人じゃ無理だろうし信用出来る仲間がいるか分からない。

 ラウネーズは街に入ったら捕まって売られるだろうな。珍しいし何よりこいつらを奴隷にしたりペットにするのは禁止する法律が無いだろう。


 ガキ共も帰って寝てしまったようだし、今日は解散だな。クシワクに色々相談してみるか。イル、レコ、ユサは宿を取っているらしい。この町の宿はウルルのところくらいかな。この大量の冒険者が泊まれるはずないから夜営してるか、他に宿を臨時に作っているのかも知れないな。ダツヤナ村長ん家とか。





 翌日。今日も昼から炊き出しをする予定なので朝のうちは仕事とか薬草配達とかをクシワクに相談に行くか。

 クシワクの婆様は何故か俺を見ると嫌な顔をした。なんだ?


「冒険者があんたの事聞きに来るんだよ。なんだいあれ」

「あー、仕事頼んだからだな。魔物を退治したら一匹銀貨一枚って、渡してやってくれ」

「なるほど、だけどそんな感じでもなかったけどね。恋人はいるのか、とか婆にそんな話されてもね」

「ブッ!」


 やべえ、たいがい気にしてないと駄目だと思ってたのに身の危険が迫ってきた。三人娘もいるし守ってもらうか?

 あ、三人娘に移送も頼むかな? 駄目だ、あいつらが強盗とかに襲われる。


「とりまそれは置いといて、なんか金策無いかな」

「置いとくのかい! まあいいや、あんたの問題だしね。金策ねぇ……。あんたが町に行ってみるかい?」


 俺が……? いや、少しは強くなったけどまだヤバいだろ。だけど道中は大丈夫だし結界指輪はなかなか使えるんだよな。……何より行ってみたいし。それに、イルたちと行ってみるのも良いかも。なんか楽しそうだし。心配なのはガキ共だな。誰かに面倒見てもらうか? 冒険者で炊き出しを手伝ってくれた女冒険者も何人か知り合いになったし、頼んでおくか? 金貨一枚くらいで。


「まあ子供らは私たちも気にしてるんだよ。一週間程度置いといても大丈夫さ」

「そうか、じゃあ行ってみようか」


 冒険だな! 初めての冒険……。私は冒険者! いやあ、力が無い時はとても冒険なんてする気は無かったけど、今は錬金術がある。近くの街までくらいは行けるだろう。うおー、待ってろテンプレ、私が今行くぞーっ!






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