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クズ人間の俺が聖女と呼ばれている  作者: いかや☆きいろ
六章 生と死の炊き出し
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恋と理想の狭間(モト=リナト視点)

 誰得? な、モトくん視点です。

 今日は二話更新します。

 僕はリナト王国の王子、モト=リナトです!

 昔から引きこもって研究をしていたので、僕は太っちょでぷにぷにしています。

 ぼ、僕だって男なのです。しかも王族なのです。こんなぽよぽよで良いとはちっとも思っていません! ……お父様みたいなマッチョがマッチョを呼ぶようなマッチョもどうかと思いますが。ああ見えてお父様は優秀な錬金術師だったりしますが。筋肉をアダマントにすげ替える実験が今の研究課題らしいです! 素晴らしい!

 女の子に興味? も、ももももちろん有るのですが、我が国は錬金術大国であり、その次代王たる僕は、錬金術に於いて何者にも負ける訳には行かないのです!


 た、確かに錬金術は体力なり、と言う方針のお父様に比べれば明らかに運動量が足りていないたるたるの肉体では有りますが、そもそもお父様はそこに行き過ぎて、肉体美が錬金術と誤解しているようですらあります! それは流石に行き過ぎだと愚考します! 兵士たちはお父様に負けてる訳には行かないので凄まじいハードトレーニングしているとか。だから王族と兵士のマッチョ率の高さについて研究してる人もいるくらいです。うちは細かい分野の研究にまでお金を出していますが流石にその研究は認知されてませんけどね。お父様のせいで決まりです。


 こんなマッチョ大国なので女の子はあんまり王宮に近付いて来ません。まあ怖いですよね、マッチョさんは体が大きいですから。でもみんな心も逞しいので実際はぜんぜんうちの兵って犯罪に手を染めないんですよ。ビックリするくらい一般兵の犯罪率が低いんです。賄賂も受け取らないし情報の秘匿は我が国では重要事項ですが、そこも徹底的に守られています。だから僕はマッチョになっても良いかと思うんですが……。どうやら僕の好きな人は大きい人が苦手みたいです。


 僕の大好きな人、シェル=イセイス様は聖女様です。錬金術師の中の錬金術師、二千年前の天才錬金術師のレシピの一つとされる欠損回復ポーションを作ったポーション研究の大家でもあります。

 欠損回復ポーション自体は我が国の研究部でも作れていますが、それはエリクサー研究の副産物で古代のレシピ通りに作って成功するのは二割程度の成功率だと報告されています。彼女に直接聞いてみたところモンスターに手伝わせたら百パーセント成功するとか。いや、シェル様、凄いですよそれって。自分一人だと最近の成功率は八割くらいとか。うちの研究員が泣きますよ?

 彼女に言わせると材料が無限に手に入るからだとか。それで腕がメキメキ上がってそのレベルだとか。本当に凄い方です。恋人になりたい気持ちも有りますが、むしろ錬金術師としての尊敬が大きいですね。国家最高の錬金術師たらんとしている僕ですがそれでも彼女は雲の上の人。逆に言えばそこまで可能性は有るんですね。

 そんな彼女を有名にしたのは何と言っても奇跡のスープ。欠損回復ポーションの効果を大鍋一杯の料理に溶け込ませる凄い技術です。我が国の錬金術師で再現できた人は未だにいません。本当に奇跡のレベルですね。

 彼女が時折研究所で小鍋で奇跡のスープを作って見せてくれるのですが手順に複雑な物は有りません。研究員の考えでは彼女の莫大な魔力とその魔力の属性がポーションと鍋に注がれることでこの効果が出ているのでは無いかと言うことです。つまり……エルフでも高い魔力をもち、魔力の属性が植物であることが奇跡のスープの条件らしいです。えーと、その条件に合致する人は聞いたこと無いですね。うちの国もエルフは多いですが火の属性や氷の属性は多いですが、植物属性は人気が無いのかほとんどいません。

 精霊傾向の研究によるとやはり自分の好きな分野の精霊に人は好かれやすく、彼女のようなエルフは森で暮らす種族なのだから居そうなのですが、エルフは魔法が大好きですのでどうしても初めに火を使ってそのまま精霊傾向が火に、火に焼かれるから水に、氷に、そんな風に精霊傾向が決まっていくようで、割と植物属性は珍しい事になってしまいます。植物傾向の得意分野は生命魔法ですが、光属性や聖属性の方が人気です。

 彼女の持つスキルが植物属性なのも大きいでしょう。そこから彼女の傾向が植物になったのだと思われます。

 なんだか奇跡の種明かしをしているみたいですが、錬金術とはそう言うものですからね。


 そんな彼女を僕は、その、大好きなのですが、彼女は既に王弟ルート殿と恋人同士でした。この胸に起こるそこはかと無い寂しさはいったい……。で、でも二人はお似合いですし、祝福しないと行けませんよね! シェル様も「モト君とはずっ友(ずっと友達)だよー!」と言ってくれました。

 嬉しいはずなのにその夜は何故か涙が止まりませんでした。


 でも恋人欲しいなあ。僕の体型のせいでお見合い話は断られてしまいます。僕の近くにいるのはマッチョな女騎士くらいですね。オーク狩りが趣味らしいです。女性の肉が大好きなオークですが彼女たちを見ると逃げ出すので楽しい狩りになるそうで……。うーん、この国大丈夫なんでしょうか? いや、兵が強いのは良いことですよね、うん。


 僕もマッチョにはなれませんがダイエットはしないと行けませんよね。シェル様のような素敵な方と、僕はいずれ恋出来るのでしょうか?






 二話目は十九時に更新します。

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