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クズ人間の俺が聖女と呼ばれている  作者: いかや☆きいろ
六章 生と死の炊き出し
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婚約式典前夜

 シェルが過去最高にウザいです。

 つ、ついに、私とルートの婚約の日取りが決まった。

 ある日突然の知らせに私はキャーッ! って叫んだよ。もうね、完全に女の子ですね。


 まあ女王陛下から二大公爵、上位伯爵家までコネが有りすぎて決まらない方がおかしいんだけど、決まった。むしろ祝福されている。

 皆さんには見苦しいところをお見せしますが私のハッピーテンションを分かち合って欲しいです! うざいすね。

 前は不安を感じてたけど、なんか今はスッキリとこの感動を味わえている。

 ルートにも味わわせてやる! 返り討ちですね!

 ハッピーにされてしまいます。抱き締められて、そしてキスをして。っていうかされてしまいます……。んっ。…………。


 式典の準備で色々な方面がてんてこまいしています。申し訳ない。ルートは爵位を伯爵としてキンノ西を領地として与えられるみたいです。王弟の地位が失われることは無いのでこの爵位は誰かに与えても良いそうですね。ルートはアンセルに与えるつもりみたい。

 アンセルはしっかりしてるからね。アンセルはかなり渋るだろうけど、私も良いと思う。アンセルはずっと真面目だし、私たちがいずれは作る国も支えてくれそうだ。


 ……もうアンセルに対する気負いは無いな。アンセルを好きと言えるくらいには、アンセルを避けてない。もちろんアンセルと付き合うとかは無いけど、それでも受け入れてくれてるように思える。私の思いを応援してくれてるんだ。


 色々と複雑だな。私たちの関係は。アンセルが私から逃げなかったから、ルートが居てくれたからこう言う関係になれたんだと思う。アンセルはレコと更に仲良くなってるし、私はレコを応援する感じかな。…………いやっ、娘は嫁にやりません! まだ早い! 成人してないしね。でも婚約なら大丈夫だからね。名誉男爵だから地位も充分!

 そう考えるとイルレコユサって凄いな、この若さで名誉爵位とか。チートか、チートなのか? 私がチートにしてました。まあね、普通に筋力倍増するくらいの身体強化リングが有ったらチートだよね。武器も洒落にならない高威力だし。


 色々と迷走しているとルートが式の段取りを教えに来てくれた。ルーナ女王様も一緒に何回か予行してくれるようだ。

 今はお城でスタッフの皆さんが走り回ってるのを、何か悪いなあと見守ってる。まあ私たちもこの後が大変なんだけどね。


「大事な大事なシェルちゃんの晴れ舞台ですからね! 絶対失敗は許されませんよルートくん!」

「分かってるよ姉さん。僕がシェルに恥をかかせたりはしない」

「か、格好良いルート…………」


 震えてしまうよね、男前過ぎて。身長差なんてなんの意味もないと思う。ルートは格好良い。素敵。最高。そんな言葉を三つ重ねたくらいではこの思いは表せないよ。愛してるし、ずっと輝いて見えてるし。

 あ、私過去最高にうざいな、我ながら。でも大好きなんだから仕方ない。どうしてこんなに好きになったのかな~。付き合うと決めてからずんずん気持ちがルートに落ちていく。私の好みがルートになっていく。ルートだけが世界になっていくみたい。

 ……私元男、山賊風おっさんだったのに、今や元の顔や風体なんて思い出せないし、……もう普通の女の子だ。


 これは普通の女の子と格好良い男の子の恋。


 それでも良いかな、女神様…………。


 女神様は何も応えてくれなかったけど微笑んでくれてる気がする。今の私の心は満ち溢れる幸せに包まれている。ずっと彼の隣にいたい。


 ここから乙女ゲームよろしく婚約破棄とかなったら余裕で自殺するな。当て付けとかそんなんじゃなくて普通に死ねる。

 またマリッジブルーな思考になってるな。甘いもの食べに行かないと。


 ルーナ様とルートとダンスしたり、けっこういい加減な感じで何度か打ち合わせする。まあ一回は本番を想定してリハーサルするんだけど、もうね、本番用の真っ白なドレスとか、死にそうなくらい恥ずかしいと言うか照れると言うか。スッゴい可愛いって自分で言うのもなんだけど、私が凄く輝いてて……。結婚式かっての。婚約式典だよ、ただの。これ本番の結婚式にはバージョンアップするの? なんか舞台が衣装みたいな事にならないよね?

 恥ずかしいと言うか現実感無いと言うか、いや、凄いね。


 ルートと手を繋いで何度もダンス練習する。私過去最高に踊れてるよ。今日は色々と過去最高記録更新する日だね。っていうか楽しいな。好きな人とダンスするのが一番だよ……。まだまだ初心者だけどね。

 ルートの足を踏んだりはしない。踏みそうになったら体ごと飛び込むね。抱き止めてくれると信じてるし、実際抱き止めてくれる。女王陛下がその度に顔を赤くしながら茶化してくる。わざとでは無いですよ? 何か気持ちいいとは感じてるけど。


 ルートと見詰め合い、ルートと抱き合い、ルートと踊り、それをルーナ様が祝福してくれて、私は夢を見てるみたいな気持ちになっている。

 こんなに幸せな時間を邪魔する人がいたらユサアルケミガンでミンチですよ。アタノールシューターまである。

 浮かれた頭でずっと二人で、女王様の前で踊る私たちは、今、世界で一番幸せだと思う。


 ついに、私たちの婚約式典が始まる。







 あと一話でこの章は終わりです。

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