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4人目

 お待たせ致しました。

 第7話をお楽しみ下さい。

 



 翌日。

 集合場所であった宿の待合室にシズクを連れて行き、彼女をヘルトとセリーナ王女に紹介した。

 そして、彼女が魔王討伐に巫女として加わりたい事もだ。


「嫌です! 絶対に嫌ですっ! わたくしは反対ですっ!」


 案の定、真っ先に反対したのはセリーナ王女殿下だった。


「理由をお伺いしても宜しいですか?」


 一応、念のためにセリーナ王女殿下に訊いておく。


「シルト君は意地悪です! わたくしが父上にどれだけお願いして巫女を外してもらったのか知ってるのに!」


 ああ、知ってるよ。

 たかだか嫉妬で、ただでさえ勝率の悪い魔王討伐をさらに悪くするとか、どんだけ脳内花畑だよ? って、心底思った程だ。


「セリーナ王女殿下、落ち着いて下さい。

 自分はセリーナ王女殿下のお考えはある程度察する事は出来ますが、彼女には伝わりませんし、わかることはできません。

 理由があるならば、彼女に分かるように説明して頂けませんか?」


 むぅーとセリーナ王女殿下は唇を尖らせ、シズクを睨む。


「わたくしが、貴女が魔王討伐に加わるのに反対なのは、ヘルト様に他の女性が近寄って欲しくないからです!

 1ヶ月もいたら、ヘルト様に惚れてしまうに決まってます!」


 シズクはというとコテンと首を傾げ、


「魔王討伐に加わりたいのは魔王を殺すため。

 恋愛に興味はない」


「そんな事言ったって信じられません!

 それにヘルト様は英雄色を好むを体現してる方です!

 この前なんて、奴隷制度を復活させて奴隷ハーレムでも作るかとか言ってたんですよ!」


 おいおい、そんな事言ったのかよ!?

 奴隷制度なんて、500年前の必要悪だった頃の話だろうに!

 そこでシズクもため息なんてつかないでくれ!

 俺の白髪が今度は全部抜けて禿げるぞ!


「わかった。

 そこの勇者には近寄らない、話しかけない、話しかけられても無視する。

 これでいい?」


「ヘルト様を無視するなんてどういうつもりですか!?」


「……なんて面倒臭い」


 辟易したシズクが助けを求めるかのように俺に視線を向けてくる。

 そこで俺に助けを求めないでくれ。

 俺もどうするか頭が痛いんだ。

 そう言外に目で答えると、シズクは首肯し、


「なら、魔王討伐までシルトと共に行動して、離れないようにする。

 シルトがずっと目を光らせてるなら、貴女も安心のはず」


 予想の斜め上の回答をした。

 って、何で俺の視線からそんな回答が導き出されるんだよ!


「うーん、それなら……

 でも、やっぱり……」


 そして、セリーナ王女殿下もそこで悩まないでくれ。

 防御や頭を下げる事は得意だが、女性と話したりするのは苦手なんだ。

 ずっと離れないようにするとか俺を殺す気か?


「そういえば、勇者と王女は婚約を結んだと聞いた覚えがある」


 心が揺れているセリーナ王女殿下を見て、ここが好機と言わんばかりにシズクが言葉を紡ぐ。


「そうですが、それがどうかしましたか?」


「それと、勇者と王女の結婚について、王宮で今揉めるに揉めている事も」


「う~、皆さん意地悪なのです。

 わたくしはこんなにもヘルト様をお慕いしておりますのに……」


「そこで提案。

 私を連れて行ってくれて魔王を倒せたら、帰還した後にカグラの巫女の名の下、2人の婚姻を認め、祝福の御言葉を贈ってあげる」


「えっ、本当ですか!?」


 途端にセリーナ王女殿下が目を輝かせる。


「神に誓ってもいい。

 それと、カグラの本殿にて最高の結婚式を開いてあげる。

 これでどう?」


 この時の俺は知らなかったが、カグラの本殿というのは女性貴族の中では1番人気の結婚式場らしく、ここで結婚式を挙げることはステータスであり、女性にとって憧れだったらしい。

 そんな餌をぶら下げられたセリーナ王女殿下は、


「シズクさん、いえ、シズク様っ!」


 興奮を隠さず、シズクの手をぎゅっと握った。


「わたくし、シズク様のことを誤解しておりました!

 こんなにもわたくしの事を気にかけてくれてたなんて!」


「いい、気にしてない。

 ところで、私を魔王討伐に加えてくれる?」


「ええ、勿論です!

 むしろ、こちらこそお願いします!」


 呆気なくセリーナ王女殿下は陥落し、シズクに結婚式をあーしたい、こうしたいと願望を言い始める。

 てか、気が早すぎんだろ。


「で、ヘルトはシズクの魔王討伐に加わる事についてどう思ってんだ?」


 俺はヘルトに訊ねる。


「ん、別にいいんじゃないか?」


 てっきり強く反対するものだと思っていたが、ヘルトはあっさりと了承した。


「いいのか?

 詠唱魔法は古いってあんだけ言ってたのに」


「まあ、魔王討伐は4人がやはり様式美だしな。

 それに使えないなら切り捨てれば言い訳だし、


 そもそも、ここで反対しても、彼女は一人でだって、魔王を倒しに行くだろ?」


「まさか、ヘルトと同意見だとは思わなかった……」


 なんか、癪だ。

 そう、俺が彼女の魔王討伐に対し強く反対出きなかった理由の1つがそれだ。

 反対しても意味がない、と。


「なら、反対するだけ時間のムダムダ。

 まあ、巫女は目の保養になるしな」


「ヘルト、お前なぁ……」


 そんなんだから、セリーナ王女殿下が危惧するんだよ。


「それに、な」


 クスクスとヘルトが俺を見て笑い出す。


「何だよ?」


「いや、堅物でつまらないと思ってたが、まさか朝になったら女を連れて来るとは、おかしくてな。

 これから、彼女の尻に敷かれてあたふたするお前の姿を見るのも、また一興じゃないか」


「お前は本当悪趣味だな」


 やっぱり、俺はヘルトの事が大っ嫌いだ。

 

 

 

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