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海を歌う愉快な黒板

陳腐な指

作者: 海之本

この指が

あなたを綴るのは

憂鬱です


雨 雨 雨

雨が降っている


濡れた空気は

人の匂いを消し

私をひとりにしました


アイセナイのは

楽でいて

辛いことです


ぬるい珈琲が

胃を抜け落ちる音

雨音より静かで


イキタイとか

シニタイとか

よく聞こえない


目を

開けても

閉じても


雨 雨 雨

雨が降っている


窓のそば

水滴の底へ

沈んでゆき


皮膚から

あなたが

湯気立つのに


この指は

使い古した言葉で

あなたを綴る


アイされる

幸せも

ウトまれる

痛みも


誰が

いったい

信じるのでしょう


触れる代わりに

言葉で注いだ

私という存在


音を立て

揺れる水溜りに

浮かんでいます


雨 雨 雨

雨が降っている


口はつくろえても

この指は

嘘をつけない


ふける夜に

言葉は呑まれ

隠れる


湿った風は

あなたの気配を

纏っているのに


私の言葉で

温めたいのに


この指


雨 雨 雨

雨が滴っている

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― 新着の感想 ―
[一言] ども。読みに入ったので読ませていただきました。 言葉ではなく直接触れられていたなら「あなた」を温めることはできたんでしょうかね。 言葉で温めてあげたいのに言葉では温められないような、そんな切…
感想一覧
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